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第十四話・ロムア制圧-1(おまけスクショつき)

【西暦2042年 9月3日 未明‐‐‐レンツ帝国領ロムア ルボ陸軍基地 上空】


夜闇に紛れて制空権を確保しつつある空域を、我が物顔で飛ぶジェット機が20機。正規航空母艦あかいしから飛び立った艦上機だった。


第605無有人戦闘飛行隊の5個小隊全20機。[F−UC/31B誘導制御戦闘機]が5機に、[FU−32B無人戦闘機]が15機だ。


F‐UC/31B誘導制御戦闘機が1機あたり、3機のFU‐32B無人戦闘機を誘導制御しての編隊飛行である。


4機からなる1個小隊に人間は2人しかおらず、つまりこの1個飛行隊には計10名しか人間がいない。


『投下5分前。』


第605無有人戦闘飛行隊の任務は、テグラ軍港から北北東に80㎞の地点に位置するルボ陸軍基地への空爆だ。


既に先行した第402戦闘飛行隊が、敵航空戦力を打撃した。そのため敵に航空戦力は存在しないか、限定的であると考えられている。


戦闘機による空爆とは、特定の目標に対する精密爆撃というのが想定された運用だ。国防軍では戦略爆撃機を保有しているため、戦闘機の少ない爆弾搭載量という弱点は取り組むべき課題ではなかった。


しかし、今回はその戦略爆撃機が使用できないのだ。第一に航続距離の問題があるが、これは空中給油も可能であるし、今回は政治的な判断での決定だったのだろう。


戦闘機による対地攻撃となると、敵の勢力圏内に浸透しての精密爆撃という性質上、自衛のために空対空誘導弾を搭載する必要がある。すると、どうしてもペイロードの全てを対地兵装に割くわけにはいかない。


しかし、それを無視できるのが無人戦闘機の強味である。とはいっても、今回は有人戦闘機が付き添っての作戦であるが。


『ペッパー1から各機、テグラを超えた。ルボの航空戦力は先発のアルファ隊が排除したが残存兵力は未確認である。敵航空戦力の存在に留意せよ』


テグラ軍港から北北西に80㎞のルボ陸軍基地までは、約5分だ。


テグラ軍港の上空を飛び越え、ルボ陸軍基地に向けてロムア内地へ侵入する20機。ハイドラ・ダイヤモンド編隊と呼ばれる編隊で進む。


これは3個小隊以上で行動する際に用いられる編隊だ。誘導制御戦闘機1機と無人戦闘機3機の4機、つまり一個小隊でダイヤモンド編隊を構成し、3個以上のダイヤモンド編隊でV字編隊を組むものだ。


今は5個小隊全てがそろった一個飛行隊でこのハイドラ・ダイヤモンド編隊を組んで飛んでいる。


『ペッパー1から各機。これより作戦を実施する。各隊行動を開始せよ。ペッパー2、3、5ユームは降下しアプローチに入れ。ペッパー4は現状を離脱し目標に当たれ。』


ユームとは無人機を指す言葉だ。


ハイドラ・ダイヤモンド編隊から、第4小隊を除いた12機のFU−32B無人戦闘機が高度を下げて離脱する。


同時にハイドラ・ダイヤモンドの左翼最後方に就いていた第4小隊は編隊を離脱し、西に転針する。


第1、第2、第3、第5小隊のF−UC/31B誘導制御戦闘機、計4機は尚も相対距離を変えずに残るので、編隊は20機の大所帯から間隔の広いフィンガー・フォーへと瞬時に移行する。


数分で急降下した12機のFU−32B無人戦闘機は、高度500mからアプローチに入る。


『小隊各位、小規模の施設と敵機甲戦力には500型を、中大規模の施設には1000型を充て、各自任意に投下せよ。投下始め、繰り返す、投下始め。』


斯くして、総重量24,000㎏の無誘導爆弾による爆撃が始まった。


フィンガー・フォーで飛ぶ4機は直列配置の複座機だ。後部座席に誘導制御を担当する支援通信官が搭乗する。


任意に表示を変えられる三面のモニタで、誘導制御する機の状態や、そこから得られる情報を元に照準を合わせ、ボタンを押すだけだ。


『ペッパー1ユームA、Bomb’s away.』


『ペッパー2、ユームA、ユームC、Bomb’s away』


『ペッパー3、ユ‐‐』


まずは各機から、39式500型爆弾が5発落とされた。


少しの時差を置いて、青白い光が点々としていたルボ陸軍基地にオレンジ色の光が炸裂する。まるで噴火のような爆発の連続は、基地の南から直線軸上に北進し基地を両断する。


『ネクストアプローチ入る。』


進入、投下、旋回、また進入、投下、、、、巡航速度が音速手前であると、一瞬で基地を通り過ぎて一回では投下しきれない。


今回の重要目標は3つ。2本の滑走路と基地の司令部だ。


ルボ陸軍基地は2000m級の滑走路2本に沿って左右に施設が並ぶ陸軍基地で、基地の敷地の北端は滑走路に対して垂直方向に突出しているL字型の敷地である。


突出部には特に重要施設が密集していると思われ、基地司令部もここにあると目されている。


何度かアプローチを繰り返すと、滑走路の左右の倉庫群や営舎は大方爆撃が終わり、火の海と化していた。


L字の突出部にも、黒煙が何本も上がっている。


↓ ワキペディアより引用

(https://wakipedia/ja.wakipedia.org/waki/無人戦闘機)

挿絵(By みてみん)

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