第十話・ロムア攻略作戦:制空
【新生歴1948年 9月3日 未明‐‐‐レンツ帝国領ロムア ルボ陸軍基地】
テグラ軍港から北北東に80㎞の地点には、航空基地であるルボ陸軍基地があった。
レンツ帝国は空軍戦力を陸軍が管轄しており、それは第1から第8、飛んで第11と全9個の航空艦隊が組織されている。
第1から第8航空艦隊はレンツ帝国本国に置かれ、二桁航空艦隊の第11航空艦隊は海外領土における展開を主として設置された。
額面上では最大規模である第11航空艦隊であるが、世界中に分散配置されているため、今ルボ陸軍基地から飛び立った第11航空艦隊の全部隊は、小規模なものである。
「もうすぐテグラ上空だ。何度も言うが敵航空戦力の規模は不明だ‐‐‐」
ルボ陸軍基地から離陸した、第11航空艦隊ロムア分遣隊第22戦闘飛行隊、戦闘機18機だ。
「‐‐‐我々は、テグラの‐‐‐」
直後、隊長機からの訓示を遮ったのは味方機の炎上だった。
『脱出しますっ!』
『散開しろ!』
編隊を組んでいた18機は、攻撃を受けてからようやく散開する。この時、既に3機を失っていた。
強いGに耐えながら旋回しているが、敵機を捕捉出来ない。
『だめです隊長、撤退して、あぁ!‐‐‐』
次々と仲間が撃ち落されていく。あっという間に味方機は半数以上が火だるまとなって重力に攫われた。
「くっそ!落ちろ!」
暗い夜の中、自分よりも早い敵を照準に捉えることは出来なかった。機銃の軌跡は儚くも暗闇に呑まれるばかり。一向に命中する気配は無い。
『撤退だ!誰が残ってる‐‐‐、、、誰が、、、』
次の瞬間。夜空を飛び回る最後の一機は炎に包まれながら空中分解し、破片を散らしながら落ちていった。




