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第九話・ロムア攻略作戦:テグラ軍港攻撃‐2

【西暦2042年 9月3日 未明‐‐‐ユト洋ナンバ湾 洋上】


誘導弾による基地施設の破壊が始る頃、国防海軍第2護衛隊は早くも次の行動を起こす。正規航空母艦あかいし、その甲板はあわただしく動き出していた。


『‐‐‐Akaishi 8956, ready for launch.‐‐‐8956,cleared to line up and wait.‐‐‐Holding short, 8551.』


出撃命令の出た第402戦闘飛行隊の全部隊、3個小隊のF−3L艦上運用型ステルス戦闘機計9機。次々とエレベーターで甲板へと上げられ、蒸気式カタパルトで射出される準備が整う。


正規航空母艦あかいしの約298mの甲板はアングルドデッキであり、着艦用の斜線滑走路に被る発艦ポイントには射出機方式を、直線滑走路にはスキージャンプ方式をと、2つの方式を採用している。


『‐‐‐ts from the bow. Cleared for takeoff.‐‐‐Roger, winds 13 knots, cleared for takeoff 8551.』


F‐3L艦上運用型ステルス戦闘機たちは、蒸気式カタパルトによって一気に250㎞/h以上に加速して滑るように甲板を飛び出る。


3個小隊、9機が発艦を完了してそれぞれの作戦行動を開始するまでにかかった時間は30分程度。ちょうど発射した誘導弾が弾着した頃だろうか。


既に第1小隊は先だってテグラ軍港に向かい、対空索敵及び対艦攻撃を実施中だ。


「Departure, 8759 is climbing to 4,000 feet.」


『8759,cleared to climb to 15,000 feet. Proceed on course.』


テグラ軍港の制圧によるテグラ湾の制海権及び制空権の確保。これが第一の目標である。


第402戦闘飛行隊の第2小隊及び、同第3小隊は第1小隊の後を追うように飛び去る。途中で艦隊から分離したミサイル駆逐艦やまかぜを追い抜いて、もう少しでテグラ軍港上空だ。


『ボイジャー隊よりアルファ、マウス両隊へ。接近する不明機群を確認した。レンツ軍機と思われる、over』

__________


【西暦2042年 9月3日 未明‐‐‐レンツ帝国領ロムア テグラ軍港 上空】


テグラ軍港上空へ到達したF‐3L艦上運用型ステルス戦闘機3機からなる小隊は、他小隊に先だって任務に就いていた。


その任務は、弾着観測である。そして事前の情報にあった戦艦1隻に対する攻撃も任務に含まれていた。


『ボイジャー1より各機。情報にあった敵戦艦を視認。これより攻撃を行う。ボイジャー1がレーザー照射を実施、ボイジャー3はL‐JDAMを投下せよ』


L‐JDAM。それは無誘導爆弾に取り付ける事で誘導能力を付与する拡張キット、JDAMの派生型であり、GPS誘導とINS誘導が可能なJDAMにレーザー誘導能力を追加したものだ。


元々拡張キット自体を指し、爆弾を含まないこのJDAMシリーズだが、命名基準上では装備した時点でその爆弾はJDAM、L‐JDAMとなる。


名実共に自由落下型の無誘導爆弾が、精密誘導爆弾に早変わりだ。


今回の標的である戦艦のように、目標が船舶であれば同じJDAMシリーズでもっと有効なクイックシンクという種類の爆弾がある。しかし、これはGPS誘導のため使用できなかった。


『Bomb’s away』


L‐JDAMが2発、正確にはL‐JDAMを装備した39式500型爆弾2発が、レーザー反射波を捉え正確に落下していく。その目標は戦艦の中央構造物だった。


戦艦の中央構造物の直上で、2発の39式500型爆弾は内包する227㎏の火薬、計454㎏を炸裂する。


『complete.』


ボイジャー1からの、命中を知らせる号令が無線に流れる。


マストはその跡を残さず木っ端みじんに粉砕されていた。恐らくその真下にある艦橋も無事ではないだろう。


これでレーダ類は多くが使用不能に陥り、艦橋へのダメージで指揮系統が混濁しているだろう。


『ボイジャー3は敵航空戦力に警戒せよ。ボイジャー2は地上施設、レーダ群を爆撃せよ。レーザー照射は引き続き俺だ、over』


今の爆撃で対地攻撃能力を失ったが、空対空ミサイルを2発残すボイジャー3は対空警戒に移る。

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