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第十五話・カムラ国際会議−4

【新生暦1948年 2月4日 夕方−−−マカルメニア民主国首都カムラ アルノルト・ベリーロンド=カムラ 協議会場】


「では次にロブロセン内戦に関する事項です。」


近年の情勢悪化と軍事拡大の根源である。ロブロセン王国側とロブロセン共和国側の各国はこの地で軍事的、経済的支援をはじめとした様々な活動を行い、これが情勢悪化と軍事拡大を進めている。


「現在停戦中のロブロセン内戦における、第三国の干渉に対する制限について、まず提案された非武装地帯の制定に関してです。」


ロブロセン内戦は、[ユト大陸でのロブロセン王国と反王国体制派における軍事活動に関する一方ロブロセン王国宰相及びロブロセン王国軍総司令官と他方ロブロセン革命軍総大将及び諸外国義勇軍総司令官との間の協定]に基づき停戦状態となっている。その協定の中に非武装地帯に関する記述があった。


両国同意のもとで定義された停戦同意境界線、いわば国境であるが、その場所から7kmは非武装地帯とされており、許される武装は小銃や手榴弾など、個人携帯用の小型な銃火器のみが認められている。


「当事国ではない第三国は、この協定において制定された停戦同意境界線から10km以内の完全な非武装化を認めるというものです。」


完全な非武装化とは、国境警備に要される小銃などの銃火器の装備をはじめ拳銃など、警察レベルの武装も認めないというものだ。しかしこれは第三国の軍部隊の進入を制限しているのと大差ない。


「では全会一致で決定致します。」


ちなみにロブロセン王国はロブロセン共和国を国家承認していないが、この協定ではロブロセン共和国を反王国体制派と呼称しながら暫定的ながらも国家として扱っている。


「次に第三国の軍事的介入についてですが、まずロブロセン王国とロブロセン共和国の両国に置かれている第三国各国の駐留軍、これを撤退するべきという意見が出ています。」


現時点で両国に置かれている第三国の駐留軍は、ロブロセン王国にレンツ帝国が陸軍歩兵連隊を7個、同国海軍駆逐艦を2隻と巡洋艦を1隻。相対するロブロセン共和国には、ペント・ゴール帝国が陸軍歩兵連隊を2個と砲兵大隊を1個、同国海軍巡洋艦が2隻である。


レンツ帝国は以前、本土に駐留していた陸軍東部方面軍集団第8軍団から2個師団と1個連隊、すなわち歩兵連隊を10個をユト大陸へ移動していた。ロブロセン王国に7個の歩兵連隊を駐留しているが、残りの3個の歩兵連隊はすぐ近くの別の保護国へと置いている。


同じようにユト大陸で考えれば、レンツ帝国海軍は1個艦隊まるまる全てを駐留させている。


「ロブロセンからの完全撤退は現実的ではありません。」


ロブロセン王国とロブロセン共和国の軍事力は均衡しているがそれは各国の駐留軍の影響が大きい。


もし各国が撤退すれば疲弊しているとはいえ元々大陸で覇権を確立していたロブロセン王国、そして蜂起した民衆や寝返った一部の王国軍部隊と各国の義勇兵で軍が構成されたロブロセン共和国など比べるまでもないだろう。


「ロブロセン王国からのレンツ帝国陸軍を最低6個連隊規模の撤退を求めます。叶わぬ場合には、我々ペンゴは、ロブロセン共和国との相互安全保障条約の締結も考えねばなりません。−−−」


しかし各国とも勿論賛成できるはずもない。


「−−−もし我々第三国がロブロセン内戦に不干渉の場合、王国が共和国へ攻め入るのは容易に想像できます。皆さんも王国と共和国の戦力差は知っているはずですがどうでしょうか」


レンツ帝国が突き通す姿勢とペント・ゴール帝国の主張が食い違い、両国の強硬論は崩れぬまま話が進んでいく。結果、カムラ国際会議事前委員会で決定された提出案の採決が行われる。


「では各国軍の駐留について、これは最大で陸軍1個半師団規模までとし、またロブロセンの国に対する軍事的支援を約束する条約の締結は認めないという案を採決いたします。」


とこのように、一時会議が乱れた場面もあったが、着々とロブロセンにおける事項が決定されていく。


気づけばこの会議は食事会の時間までに食い込んでいた。よくよく考えてみれば軍縮の事項とロブロセンにおける事項の両方を審議するものが3時間程度で終わるはずがないのだ。


その後、すぐ隣の記者会見室として見繕われたもう一つの大宴会場にて、選ばれた記者団たちに囲まれながら会議の進捗が話された。

お久しぶりです、[虎石_こせき]です。


次の投稿は久しぶりに1週間ほどの時間が空きます。サブタイトル[カムラ国際会議−〇〇]が始まってからかなり内容が薄くなった上で申し訳ないです。読み返せば−3と今回の−4は分ける必要もないくらいに両方とも内容が薄く文字数も少ないですね。次の投稿ではもう少し内容分量共に濃いものを描きたいです。

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