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第十四話・カムラ国際会議−3

【新生暦1948年 2月4日 夕方−−−マカルメニア民主国首都カムラ アルノルト・ベリーロンド=カムラ 協議会場】


悪化の一途を辿る国際情勢、それに伴う各国の軍事力拡大はさらなる関係悪化は勿論のこと、国庫を圧迫し止まることを知らない。そんな事態に終止符を打つべく、ここマカルメニア民主国にて軍縮に向けた国際会議が開催されようとしていた。


「まず初めの議題は、海軍戦力に関するものです。」


海軍艦艇の保有数に関してだ。補助艦艇及び、フリゲート艦や駆逐艦、軽巡洋艦などは各国共に無制限を主張し納得しているが、問題は巡洋艦をはじめとした戦艦と航空母艦などの主力艦艇だ。


「レンツ帝国から、主力戦艦級と正規航空母艦級の艦艇の保有数は、それぞれ12隻と8隻までの保有制限を設けるべきとの意見があります。−−−」


海軍艦隊の中心として位置付けられる2種類の大型艦艇、戦艦と航空母艦。その保有制限について主張するのは列強海軍を有する列強国、レンツ帝国だ。


レンツ帝国は近年、アシュニスィ海峡係争の影響もあり急速に海軍力の強化に乗り出した。


レンツ帝国には3隻の主力戦艦を基幹とした砲艦艦隊を4個、3隻の正規航空母艦を基幹とした水上航空艦隊を3個建造する計画が存在している。そして現在、既に主力戦艦9隻と、正規航空母艦8隻の建造が完了している。


多額の血税を注ぎ込み苦労して作り上げた艦隊を、この会議で手放さねばならない状況は何としてでも避けたいのだ。しかしそれを望んでいる国も多く、その筆頭格が長年対立するペント・ゴール帝国だ。


「これに対しペント・ゴール帝国、エルテリーゼ大公国から、戦艦を6隻、航空母艦を6隻までの保有に限定する案が提唱されています。」


カムラ国際会議事前委員会というものがある。これは各国の軍関係者が集まった多国間組織であり、既にこの委員会にて大まかな結論がなされている。


この国際会議では、そこで決定された事項の最終確認が行われる。決めきれなかった事項に関しては、その際に各国から出された複数の案を選択肢として全会一致で採決が行われる。


「では事前委員会より提出された3案について。まず第一案では、レンツ帝国の主張を全面的に受け入れる場合、ペント・ゴール帝国からは保有数の上限に達した場合にはその時点から排水量9,700t以上の艦艇の建造を5年間禁止する。また保有するフリゲート艦、駆逐艦、巡洋艦などの艦艇は主力艦艇1隻に対し、2隻までの保有制限を設けるという条件が提示されました。」


排水量9,700t。数字だけ見れば多く感じるかもしれないが主力艦艇は勿論のこと、巡洋艦を造っても簡単に超えてしまう数字だ。つまり軽巡洋艦と駆逐艦、フリゲート艦以外の軍艦の建造を禁止されることになる。


そして主力艦艇1隻に対する他艦艇の2隻の保有制限とは例に出すと、正規航空母艦を2隻で守れということだ。


もしこの案が採択された場合、元々就役している航空母艦はすべてが同時に稼働しているわけではないためこのような極端なことになることはないだろう。


しかしレンツ帝国の航空母艦9隻で考えれば、3隻で1個の艦隊が3個であるため任務に就いているものが3隻、訓練を行っているものが3隻。定期整備を行っているものが3隻。というローテーションになるのではないだろうか。


その場合、定期整備を行なっている3隻と共に行動していた追従艦艇6隻が、3隻づつに別れ、任務についている艦隊と訓練を行っている艦隊にそれぞれ一時的な異動になる。


この場合、水上航空艦隊に関して言えば航空母艦1隻に対してそれを護衛する追従艦艇は3隻となる。


実際にはその追従艦艇にも同じように任務、訓練、定期整備とローテーションがあるためこのような運用は難しいが、全く不可能というわけではない。そして裏を返せば、このような無理をしたとしても1隻に3隻までしか当てることができないということだ。これでは全くもって心許ないだろう。


そして海軍には主力艦隊以外にも、小型艦艇だけで編成された部隊などもたくさんいるのだ。それを考慮すれば、平時において艦隊運用等に大きな穴が生じることは確実だ。


「そして第二案です。ペント・ゴール帝国及びエルテリーゼ大公国からの連名での提案です。前述の通り主力艦艇に関して戦艦を6隻、小型正規に関わらず航空母艦に6隻までの保有制限を設ける。並びに戦艦に関しては主砲口径を最大で16インチまでとする。というものです。」


この場合、レンツ帝国は大きな損失を被ることとなり、採択はあり得ない話だろう。


「最後に第三案として、フリト帝政国からの提案です。主力艦艇に関しては戦艦空母合わせて13隻までの保有制限を設け、主砲をはじめとした兵装並びに艦載機に関する制限は無し。その年度に就役する主力艦艇を2隻までとするというものです。」


この採決も既に事前委員会を通して意思疎通がなされている。


「では第三案を採択致します。」


その後も海軍を中心として陸海空軍の軍縮についてが討議もとい最終確認が行われた。


「では次にロブロセン内戦に関する事項です。」

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