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プロローグ・2

【新生暦1945年 3月13日 昼前−−−ペント・ゴール帝国 帝都シェイド 中央行政機構舎群 行政執行院11階 会議室】


「レンツ帝国は現在、本土に駐留していた陸軍の東部方面軍集団第8軍団の2個師団及び1個連隊をユトへ送りました。更にこれに、海軍の西部防衛軍第9艦隊を護衛につけ、これによってアシュニスィ海峡に展開していた南部防衛軍第5艦隊はその2割が西海への配置換えを余儀なくされました−−−」


中央行政機構舎群の中心に聳え立つ、行政執行院の会議室。ここに居並ぶのは世界に名だたる列強国が一国、ペント・ゴール帝国。その中枢に籍を置き、この国を動かす者たちである。


「−−−これらにより、我が国との仮想戦線を管轄しているレンツ帝国東部方面軍集団の機能は劇的に低下しつつある状況にあると言えます。第8軍団が抜けたことで、我が軍と対峙するのは第2、第4両軍団の合わせてわずか5個師団と、残った第8軍団の2個連隊のみです−−−」


そう高らかに話すのは、ペント・ゴール帝国軍務省長、ロバート・キース・フランシスだ。


「−−−さらに本土に駐留する軍も、近年続いていた紛争の影響もあり、東部方面軍集団の5個師団と北部方面軍集団の2個師団、南西方面軍集団の4個師団、中央軍集団の3個師団、計14師団のみであります。これで我が軍の優勢が確立されました」


近年レンツ帝国は、抱えている各地の植民地に軍部隊を派遣しており、本土の残存兵力は現在、ここ数年で最低となっている。


この隙を突き、ペント・ゴール帝国はアシュニスィ海峡での影響力を取り戻そうとしているのである。


「これで、ようやくロブロセンでの労が実ったというわけだな」


「しかし、まだ安心はできません。エルテリーゼ大公国がどう動くか、国内情勢の悪化により予測できない状況です。新勢力の誕生も憂慮すべき事態です」


「コミュニズムとか言ったな…」


「だからロブロセンと同時にエルテリーゼにもテコ入れしておくべきだったんだ」


「しかし、これでエルテリーゼは表立って身動きできる状況ではなくなりました。手段は違えど目的だけは達成されたのです、それも我々が手を出さずして、喜ぶべきでしょう」


エルテリーゼ大公国は、アドレヌ大陸におけるフリト帝政国の仮想敵国である、エルトラード皇国に軍部隊を駐留させている。これは平時よりユト大陸への展開も想定して配置されている機動力の高い部隊だ。


「あの部隊さえいなくなれば、エアセル文書は完遂される。エルテリーゼもレンツも転落し、我々は晴れて国力序列2位だ」


ペント・ゴール帝国は、これらの計画を行う上で、フリト帝政国との密約を締結していた。それがエアセル文書だ。両国共に、このエアセル文書に関しては極秘情報とされ、存在を知っているものは少ない。


「エルテリーゼの動向には注視する必要があるが、まぁ大きく計画を違えるようなことにはならないだろう」

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