異世界ラーメン漂流記 あさみはあなたの幸せ見付けます
今回、短編のほのぼのハートフル屋台ものを書きました。
皆さんに、ほっこりしもらえると嬉しいです。
私は、さすらいのラーメンの屋台をやっているあさみ。
今日も、町の近くの橋の前でラーメンを茹でながらお客さんが来るのを待っている。
まあ、こんな夜遅くに異世界でラーメン茹でていても誰もこないかと諦めて、店仕舞いをしようとのれんを片付けようとしていると。
「ちょっとまってくれ! そこのお嬢ちゃん!」
私は、驚いてのれんを落としそうになるも、なんとかそれを防ぎ冷や汗をかく。
おじさんは、重そうな鎧を着ていて、疲れていたみたいでよっこいしょとかけ声をしながら座る。
それから、そのおじさんは色々なことを話してきた。
どうやら、娘さんが門番の仕事を気に入ってなかったらしい。
「娘はな……どうも、一流の剣士に私になって欲しかったらしい。皆に自慢したかったらしくてな」
何となく、そんな話をしているおじさんは悲しくも寂しく見えた。
私には、正直言ってその娘さんとの関係に悩む気持ちは分からないが、ただひとつ言えるのは娘が大事だと思ってることだけしか分からない。
「私は、どうやらどうしようもない父親だったらしい……娘がカッコいいと思える父親にはなれなかったから」
私は、何となくそれを否定したくて堪らなかった。
だから、つい勢いでお客さんのおじさんに強く言ってしまった。
自分でも、可笑しなことをしてしまった流布している。
「そんなことはないと思います!」
「……!!」
おじさんの表情からは、どうやら私みたいな女の子からそう言うことを言われると思っていなかった。
そんなものが垣間見えた。
「門番大事な仕事じゃないですか。私は知ってますよ、町をそう言う人が守ってくれてることも……」
おじさんは、目から涙を流していた。
どうやら、そう言うことを言ってくれたのが初めてだったらしくて。
私の事を見ながら、嬉しそうに微笑みながら。
「そうだね……大事な仕事だよな……」
私は、そんなおじさんに一杯のラーメンを出して、お酒を注ぎ改めて、愚痴を言うおじさん。
「まあ……でも、分かってくれないよ……どうしても、イメージがいい方がいいもの」
「それでもいいんですよ……大事なのは、自分の気持ちです。たとえ分かってくれなくても……」
そして、暫く経って娘などの愚痴を言い終わったおじさん重い腰を上げて帰って行った。
とぼとぼと、少しずつ町の方へと向かって。
私は、思い出した。
現代社会にいた時ことを、それは父との記憶だった。
父は、いつも私にラーメンの屋台をやることを反対していた。
父は、ラーメンの屋台をやっていたが、ほとんど客は来なかったが嬉しそうにお客さんと話をしていた。
だから、私はそんな姿を見てやりたいと思った。
だが、父はそんな私の気持ちを無視して、ラーメンは儲からないだの、不安定な仕事につくと苦労するだの言われた。
それから、父と私は口をほとんどきいてない。
私は、諦めきれなかった。
父の話を聞かずに、高校を卒業してラーメンの屋台を引きながら色々な町を訪れた。
ある日、光に包まれたと思ったら何故か森にいた。
それから、何時間も歩いて漸く町に着く。
その町は、現代だと思えないくらい古い家とか、雑貨が並んでいて、とてもじゃないがまともな状況じゃない。
私は、その辺の町の人にここは何処か尋ねると、どうやら魔法などが存在する世界らしい。
そんな異世界に着てしまった私は、最初は驚いて何も出来なかったが、すぐに町に打ち解けてまたラーメンの屋台を再開する。
ちょくちょくお客さんは来ていたが、ほとんど見てるだけでラーメンを頼まなかったな。
私は、そんな出来事を思い出していると、もう朝になっていた。
私を呼ぶ声が突然した、横を振り向くとそこには鎧のおじさんがいた。
今日も、重そうな鎧を着ていてよく疲れないなと思う。
「お~い! 探したよ! あれから、娘と話をしたんだが、お嬢ちゃんがした話をしたら納得してくれたよ。ありがとう」
そう言うと、おじさんは機嫌良さそうに町の方へと帰っていく、足取りが軽そうに。
私は、おじさんに頭を下げて、また来てくださいと言い、今日も屋台を引いてお客さんが居そうな場所まで行く……
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