表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/40

攻略対象者2

 学園の馬車乗り場でヴィヴィアーナ殿下を待つ。しばらくすると、向こうからヴィヴィアーナ殿下が走ってきた。

「エルダ!」

「ヴィヴィ様」

迷わず私の懐に飛び込むヴィヴィアーナ殿下。めちゃくちゃ可愛い。


「ねえ、約束は覚えている?」

「はい、勿論です。ほら、あの通り」

背後を指差す。

「本当だわ。嬉しい」


後ろには馬車ではなく、私の愛馬が待っていた。今日は馬車ではなく、私と馬で帰りたいと言われたのだ。本来であれば、防衛上の理由で馬車が必須なのだが、結界を張る事を条件に国王様には許可を頂けた。


「少し回り道をして帰りましょう。どうせなら景色のいい所を通って」

「本当に?嬉しいわ。エルダ、大好き」

学園に通うようになってしばらく経つが、今の所、ヴィヴィアーナ殿下が悪役令嬢になる気配はない。影からの報告で、ヒロインらしき人物はいるのだが、そもそも誰の婚約者でもない殿下には彼女と絡む理由がない。


「そろそろ参りましょうか?」

殿下を馬に乗せようとしたその時、後ろから声がかかった。


「ヴィヴィアーナ殿下」

殿下と共に声の方へ振り返る。年の頃は殿下と同じ位、銀の髪をした綺麗な少年が声を掛けてきた。

「もう帰るのですか?」

サファイアブルーの瞳がじっと殿下を見ていた。


『攻略対象者だ』

彼はミケーレ・ラウレリーニ。ゲームではヴィヴィアーナ殿下の婚約者だった人物だ。


「ええ。今日は彼女の馬に乗せてもらって帰るのよ」

満面の笑みで答える殿下を見て、ミケーレ様がほんのり頬を染めたのを私は見逃さなかった。もしかしたら彼は少なからず、殿下の事を想っているのかもしれない。その考えが確信であるとすぐにわかる。


「その女性騎士と、ですか?」

睨まれてしまった。焼き餅を焼いているようだ。しかし、殿下は全く気付いていない。


「そうよ。エルダは私の護衛騎士なの。とっても強くてカッコイイの」

どんどん表情が険しくなるミケーレ様に微笑ましく思いながら騎士の礼を取る。

「エルダ・ウルヴァリーニと申します。ヴィヴィアーナ殿下の護衛騎士を務めさせていただいております」


「ウルヴァリーニ……もしかして、国王陛下と王太子殿下の側近の?」

ミケーレ様のサファイアブルーの瞳がキラキラし出した。

「父と兄ですね」

「凄い!お二人とも鬼神の如く強い方々ですよね。もしかして貴女も?」


「ええ、そうよ。エルダは刀という皆とは違う剣を使って戦うの。とっても強いのよ。騎士団の副団長の一人になるくらい」

ヴィヴィアーナ殿下が興奮気味で答えた。この答えはミケーレ様には満足のいく答えだったようだ。


「女性で副団長だなんて。凄いですね!僕も強くなりたくて剣の稽古をしているんですが、なかなか思うようにいかなくて……あの、どうしたら強くなれますか?あ、すみません、名乗りもしないで。僕はミケーレ・ラウレリーニと申します」

うっ。ヤバい、可愛いのが増えた。15歳にしては細い中性的な彼は、多分、体力的にまだ拙い部分があるのだろう。


「そうですね。ミケーレ様とお呼びしても?」

コクコクと頷く彼に笑顔を向ける。

「ミケーレ様はきっと今、成長期の最中なのでしょう。無理に筋肉をつけようとするのは身体に負担がかかりますから、まずは体幹を鍛える事をお勧めします。体幹がしっかりしていれば、剣を持ってもブレる事はありません。何においても体幹を鍛えるのが最も大切な事なのです」


「体幹……わかりました。ありがとうございました。参考になりました。あの、また色々聞いてもいいですか?」

「はい、私で分かる事でしたら喜んで」

笑顔で答えれば、とっても嬉しそうな顔をした。これで本当に15歳なのか、そう思ってしまう程可愛かった。


「ふふふ、ミケーレ様、良かったわね」

隣でヴィヴィアーナ殿下も嬉しそうに笑っている。


そんな時だった。

「ミケーレ様、見つけた!」

後ろからまたもや声が聞こえた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ