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第五十五話 初移住者!ついでに温泉作る!

 シャーリーを助けて数日後、フォクトライト自由連合国にちょっとした出来事が起こった。


 なにかと言うと、移住者がやって来たのだ。


 時間を戻すが、シャーリーを助けて二日後のことである。

 シャーリーが国主をしているマジェス魔道国はしばらくこの平原の周りの空を浮遊することにしたらしい。

 シャーリーはマジェス魔道国には帰らずしばらくこの国に滞在するとのことだ。

 代わりにミュリンが国のことを代行することにしたらしい。


 それはいいとして、王国でバクラ王は俺の要望の宣伝を本当にやってくれて、連絡役のレスリを通して貧民街の中から行ってみたいと言う人が現れたと聞いたのだった。

 俺はその話を聞いて、そういえば、ゴールドを渡すと言っておきながら王国に資金を預けていなかったことを思い出したので、単独で王国に向かった。


 あの光速の走り方だったので、王都アルデシュザールには出発して数分も経たないうちに到着してしまった。

 なのに全然疲れていない。

 いや、うん。

 改めてこの体の化け物具合を認識した。


 そして執務中のバクラ王の元を訪れ、ゴールドを十万ゴールドほど渡した。

 これくらいで足りるのだろうか?


「ほほう、やはりお主は面白いのう。そんな大量のゴールドを連絡してすぐに持ってくるとは、ワシの目に狂いはなかった」


 バクラ王は俺の突然の訪問を全然嫌がらず、むしろ嬉しそうな顔をしていた。


「門番の兵士に執務室の場所を聞いていきなり来ちゃったけどよかったのか?」


「何を言う。ワシとお主は友だ。これくらいで怒るようでは器が知れると言うもの」


「バクラは本当に王様らしくないよな」


「ワッハッハ。よく言われる。ではゴールドはしっかり預かろう」


「よろしく頼むよ」


 そう言って俺は王都を出るとまた光速で走り、数分でフォクトライト自由連合国へと帰ってきたのだった。


 そして、現在。

 あれから大体三日後、俺がシルキーを助ける前に見ていた町の光景にいたボロボロの服を着た少年が来たのだった。

 偶然だろうが、あの貧民街と思われる場所は意外すぎたのでその少年のことも覚えている。

 さらには騎士団を呼んでもらうために金貨を渡したあの地域の住人だったはずの、おじさんと言ってもいい外見の人もいた。

 来た人は合計六人。


 みんなやっぱりとても裕福とは言えない服装で、破れてきている服などを着た人しかいなかった。

 風呂に入れていないのか、少し臭うが、そんなことより来てくれたことが嬉しかった。


「えっと、フォクトライト自由連合国へ、ようこそ、でいいのかな?」


 俺はこの国の代表なのでレスリと共に対応に当たっていた。

 入国管理局みたいな組織も作った方がいいかもしれない。

 その六人の中で、みんなをまとめているらしい頬に傷のある青年のような男性が答える。


「あなたが噂のアトスさんかい?」


「うん、そうだけど」


「僕はモーラ。モーラ・ランドル。この六人のリーダーをしている者だ」


 その頬に傷がある男性は俺を鋭い視線と疑惑の目で見ていた。


「この新しくできるという国に新しい生活を求めてやって来た。許可してもらえるのだろうか?」


「そりゃあもちろん。むしろ来てくれて嬉しいよ」


 こちらとしては全く問題ないので、なんでそんな疑惑の目を向けてくるのかはわからなかったけど。


「そうか。……君はずいぶん若そうに見えるが本当に国の代表なのか?」


 なるほど、確かに俺の外見は16くらいに見えるから成人しているとしても、そう思うのは無理もないことかもしれない。

 一緒に聞いていたレスリが口を開く。


「そう思うのも無理もないことじゃろうが、アトス殿が代表なのは間違いないぞい」


「では失礼な態度をとったことを謝らせてもらおう」


「いや、そんなことしなくていいよ。俺もこの外見だからそう思われても仕方ないと思ってるし」


 するとモーラは謝ろうとしていた体勢から少しの驚きと共に体勢を直しこちらを見る。


「君は他の王と違う感じがする」


 この人はたぶんアルデイト王国の王様をみたことはないんだろうな。

 俺は性質的にはあのバクラ王みたいな対応をしていると思うのでそう思った。


「しかし、こんな若い少年が代表で大丈夫なのか?噂によればそんな心配はないはずだが」


 モーラの心配はもっともだろう。

 国を治める人物がこんな少年だったら俺だって困る。


「俺もまだこの立場に慣れてないけど、やれることはやってるつもりだよ」


 まあ、俺が一人でやれることなんてあんまりないんだけどね。

 と思うけど、俺にしかできないことをやっているのでそうも言えないのかもしれない。


「まだ自分の目で見てないから信じられない」


 モーラはそう言う。

 噂だけでは夢物語に聞こえるんだろうな。

 そうだ、ちょっと試してみようかな?


「ならちょっと待ってて」


 俺は探知魔法のアナライズを使い、さらに条件にある項目を設定する。

 地面に向けて手をかざす。

 モーラ達はなにをしているんだろうという顔をしている。


 少ししてそれを見つけた。

 俺はその場所に歩いていって貫通魔法と土魔法を複合させた岩をいくつか生成して、地面にぶつける。


「アーススピア!」


 何回か地面にぶつけているうちに地面に穴ができはじめる。

 これは穴を掘っているような感じだろう。


 しばらくすると、掘った地底から音が聞こえてくる。


「これはもしかして」


 モーラとついてきた他の五人も俺がやっていることを理解し始めたようだ。

 そのモーラの言葉が終わると、掘った穴から勢いよく温水が吹き出てきた。


「というわけでだ、あとから整備するけど温泉を作ろうと思う」


「信じられない。アーススピアはここまで地面を掘ることなどできないはずだが?」


「あんまり気にしないように。とりあえず、これで俺がおかしい人物なのは理解したよね?」


 俺は吹き出ている温水を背にモーラに言う。


「これだけのことをされたら信じるしかないだろう」


 そんな光景を目にしてしまったモーラは呆然と少し苦笑いをしながらうなずく。


「じゃあひとまず家探しでもしてくれ。まだ窓のある家でしかないし、ベッドもイスもテーブルもないけど。レスリさん、あとは頼みました」


 この数日の間、俺の生成したガラスでそれぞれの家に窓を作った。

 俺が作業するしかなかったので一つ一つ丁寧にだ。

 単純作業だったけど、国を作ってるって感じがして楽しかった。


「任せておくとよいぞ!」


 あとはレスリに任せておけばなんとかなるだろう。


「そうだ、皆さん、これからよろしく!」


 俺がそう言ってその場を去ろうとしたら来たばかりのあの六人は目を輝かせていた。


 この国、気に入ってくれるといいな。


 俺はその光景を見終えるとその場所から離れ、温泉を作るために建築に詳しい警備隊の兵士に依頼をする。

 俺はただの小説家でつぎはぎだらけの知識しかないので、やはり専門知識がある人がいるならその人に頼るのが一番だろう。

 国作りとは一人でするものではないのだ。

 俺が何から何までする必要はない。


 もっとも、電気とかの概念はこの世界にあるわけないので生前のおぼろげな知識でやるしかないんだけどな。

 毎回言うけど、メクリエンス帝国はどうだか知らないけどね!


 そういえば、国の名前とかはつけたわけだけど、このフォクトリア大平原の地形を把握していない。


 国土を把握していないのはいろいろマズイのでは?!


 日本国の知識だけど国土交通省みたいなものとか必要か?

 まず、国土調査団みたいな組織を作らなくては。

 俺もその調査団には加わりたいところだ。

 いろいろ発見ありそうだし、俺しか知らないものの存在もあるかもしれないし。


 ひとまず、家作りでも手伝うかと歩いているとシルキーが向こうからやって来た。


「アトス?なんか難しい顔をしているのだ。どうしたのだ?」


「ん?いや、いろいろやることが多くてな」


「国作りなんてそんなものなのだ!アトスだけで悩む必要はないと思うぞ!」


 シルキーは国作りのことを分かっているのだろうか?

 そんな俺の顔をみたシルキーはさらに言葉を続ける。


「オイラ達は移動するごとに国を作っているようなものなのだ。だからアトスより分かるのだ」


「そっか、獣王国って住む場所毎回変わるんだもんな」


 前にシルキーから聞いた話を思い出せば確かに俺より国作りには詳しいはずだ。


「じゃあ、今足りないのはなんだと思う?」


「んー?まだ作り始めたばかりなのに何を言っているのだ?足りないものなんてそれこそ山のようにあるのだ!」


 シルキーって子供だから素直にそんなことが言えるんだろうな。

 俺としては参考になるのでシルキーの話を笑いながら聞いている。


「質問を変えよう。今、一番必要なものは?」


「自給自足なのだ!」


 おお、そうか。

 確かに自給自足しないといけないよな。

 現状はヴァレッタ村からいくつかの食品を俺のゴールドを使って供給している状態なので、シルキーの答えは本当に必要だと思う。


 シルキーすげー。


 何も考えてないとか思ってたけど、今一番足りないものを冷静に分析できている。

 ともすれば、俺なんかより。

 俺が驚きの表情をしているのをみてシルキーは不思議そうな顔をする。


「どうしたのだ?」


「いや、シルキーってすごいなーって思ってたの」


「何を言っているのだ?アトスよりすごいなんてことあるはずないのだ」


 でも誉められて嬉しいのか、耳としっぽがピコピコ動いていた。

 なにこの小動物、癒される。


 そんなシルキーの話もあったのでひとまず稲を持ってくるために水田を作ることにしたのだった。

 まあ、収穫できるのは秋だけどね。



少々忙しくて、投稿時間がずれました、すみません!

ここから三章開始です!

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