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第四十四話 新たな発見!

 アトス達がとりあえず家を作ろうとしているフォクトリア大平原から少し離れた上空。


 マジェス魔道国は数日前からフォクトリア大平原に移動していたが、空に浮いている大陸を任意の方向に動かそうとするとそれなりに時間がかかる。

 私、シャーリー・マジェスタは大陸の端から大陸を囲むように設置されている落下防止用の柵の上に両腕を置きながら空の下の海を見ていた。

 この大陸を空に浮かせたのもジオグラードだという話を昔母親から聞いた。


 マジェスタというのはジオグラードの名字にあたる名前だ。

 母親までの先祖達は別の名字を名乗っている。

 理由は、ジオグラードとの血の繋がりを隠すという理由もあったけど、一番の理由はその名字を名乗る資格がないということだった。


 資格がないというのがどういうことかというと、マジェスタ姓を名乗るには伝説のジオグラードの魔法を再現することが必要で、例え先祖であってもジオグラードが偉大すぎたため名を汚すことになると母親達の時代までは考えられていたからだ。


 ではなぜ私はそのマジェスタ姓を名乗っているのか?

 それは先祖の中でも過去最高の魔法使いの成績を残し、ジオグラードの使っていた魔法もある程度使えたからだ。


「はあ、移動速度が遅いのがこんなに退屈な時間を作るなんて」


 退屈は嫌いだった。

 移動速度が遅いのは知っていることだったけど、実際にやると実感が湧いてくる。

 私は早くあのアトスという少年に会いたかった。

 べ、別に好きなわけじゃないのよ?!

 私はただあいつにケンカを売るつもりなんだから。


 アトスという少年の名前はドラゴン輸送でここに来る観光客の噂で知った名前だ。

 ドラゴン輸送というのは軍からドラゴンと一緒に退役したドラゴンライダーが新たに始める仕事だとか。

 ドラゴンライダーとドラゴンとは深い絆があるため、使役していたドラゴンライダーが亡くなるまで生涯共に過ごすという。

 亡くなった後、ドラゴン達はドラゴンライダーを体内に取り込み、主と一体化してドラゴニアになってドラゴニアの国へと行くらしい。


 その観光客が話していたけど、最近では“ジオグラードの再来”とか、“新たな伝説の始まり”なんて言われているらしい。


 私としてはあまり面白くない話だった。

 それに先祖のジオグラードをバカにされているような気分でもあった。


「でも、あれ本当に神級越えているわよね」


 今、私は一人なのでほとんど独り言だ。

 アトスが使っていたあの神聖魔法軍団の召喚は神級なんてレベルに収まる話のランクじゃなかった。

 あの魔法の構造を解析したら、信じられないことにミュリンが言っていた通り本当に三つ以上の魔法を合体させていたらしい。

 ミュリンは私より絶対に年上なので魔法の知識はたぶん私よりある。


「なんなの、あいつ。ジオグラード様より上のランクの魔法使いだったわね、完全に」


 私もアトスの魔法を再現しようとしたけど、精神力が持たなくて、一回気絶してしまっていた。

 危なく廃人になるところだった。

 貫通魔法に神聖魔法を付与するところまではよかったけど、そこに軍団召喚魔法なんて組み込んだら普通は気絶どころではなく、廃人一直線だ。

 軍団召喚魔法というのは神級の魔法ランクで、使える者も数少ないレア魔法だ。

 あのアトスという少年はどこにそんな精神力があるというのだろうか?


 フォクトリア大平原に行くだけならばドラゴン輸送を使えば簡単に行けるが、私はこの魔道国の盟主の立場なので、簡単に抜け出すことはできない。

 ここにいる魔道士のほとんどは魔法研究しか頭にないため、私が職務を投げ出すと食品輸送とか、研究に使う備品納品などが回らなくなってしまう。

 助手のミュリンに丸投げしたいところね!


 そして、私は大陸のしたにある海を眺めながらため息をつく。

 フォクトリア大平原にはいつ着けるのかな?


          ☆


 さて、森林に来たわけだが、俺は森の中でちょっとした発見をした。


 何かというと、生前の日本国の主食、米の原料である、稲があったのだ!

 育ち具合からして、今はまだ春か夏ってところだろう。

 ていうか、この世界って季節あるのか?


「なあ、カイ、この世界って季節っていう概念あったのか?」


 俺は警備隊と分かれて、カイと行動をしていた。

 カイはアーティファクトを使わないと力を発揮できないが、何回か使えるのでとりあえず連れてきた。


「ん?そりゃあ、あるだろ。ってアトスはそんなこと知らなかったか」


「聞いてないよ?」


 すっごく今さら感があるのだが、そういえば季節というものがあるなんて今になるまで知らなかったな。


「だよな、俺も聞かれてなかったから言わなかったぜ。んで?なんでいきなりそんなことを?」


 それを聞いたカイは不思議そうな顔をしながら俺に聞いてくる。


「いや、あそこにある植物って俺の転生前の世界の国の主食だったものだと思うんだよね」


 その稲と思われる植物のある場所は川が流れていたのだが、水が偶然集まる場所で、ちょうど水田みたいになっていたのだ。

 自然現象なんだろうけど、信じられなかった。


「あの、緑の小さな植物の?」


 俺はうなずく。

 カイはその植物に近づいていき、それを指差す。


「そう、まだ生え始めみたいだけど、秋になれば、米っていう粒が取れるんだよ」


 その稲はまだ芽が出て間もないようで、まだまだ成長途中だった。


「へえ、この世界ではミグノニア連合国で似たような食べ物があるけど、コーツって呼ばれているぜ?」


 コーツ?不思議な名前だな。


「そうなんだ?まあそれはいいけど、今の季節は恐らく春だと思うんだけど、どうなの?」


「まあ、春で合ってるんじゃないか?この世界でも季節は春夏秋冬って言うから」


 それは意外だな。

 異世界ならもう少し違う名前かと思っていたけど。

 とはいえ、生前と同じ呼び名があるなら覚えやすいし、これはよかったかもな。

 しかし、春夏秋冬ということはこの大陸は恐らく北半球の日本と同じような場所にある大陸なのかもしれない。

 星自体の大きさと各大陸の位置を把握している訳ではないので完全に推測だった。


「でも、日付とかはないんだろう?」


 バクラ王からもらったあの書類にも、日付があるなんて気配はなかったな。


「まあ、確かに。日付はないな。でもメクリエンス帝国にはカレンダーなんてものがあるから、世界中に輸出されてるぞ?」


 え?カレンダー?

 なんで生前の日付を表すものの名前が同じなんだ?

 メクリエンス帝国ってもしかして俺以外の転生者がいるのだろうか?

 たまらずカイに聞いてみる。


「そのカレンダーっていうのを開発した人物って誰なんだ?」


「んー?確かアイデアを出したのは帝国の現皇帝だったと思うが」


 なんだろう、もしかして帝国の皇帝って転生者だったりするんだろうか?


「そういえば、技術が急速に発展したのはあの皇帝に変わってからじゃなかったかな」


 それ、確実に皇帝が転生者だろう!?誰かそうだと言ってくれ。

 転生者だったら聞いた話の技術にも納得するな。


 直接会ってみないことにはわからないけど、これからの楽しみができた。


 でも今はまず、加工するための材木を集めなくては。

 あの稲は持ってくるにしても、まずは育てられる環境を整えないといけないから保留かなー。

 ここに来てからパンとか肉しか食べていないから、魚も食べたいけど。

 アルデイト王国は内陸国なので魚というものがなかった。


「帝国ってどれくらい発展しているのかな?」


「帝国はいろいろ技術の試験をしている途中みたいだったな。俺はこの大陸に来る前は帝国にいたからこの話は割と最近だぜ!」


「それで、リヒテリンスに到着して、俺に転生されたと」


「そういうことだ、兄弟」


 いや兄弟って、確かに今はそんな設定にしているけどさ!


「さて、それじゃあとりあえず木を切ろうか」


 ということで、俺はウィンドカッターを使って数本の木を一斉に切る。


 これって、森林破壊じゃないか?


 と思ったので、切り株に木を元に戻す時魔法をかけるが、切った木が元に戻ってしまった。

 イメージ的には切った木材と切り株は別物としたかったが。


「何やってんだ、アトス?」


 カイはおかしい人を見るジト目でそんなことを言ってくる。


「いや、まあ、そうなるよね!って思ってたところ」


 俺は苦笑いをしながらそう言う。

 そりゃあ切り株に時を戻す魔法使ったらそうなるよね!

 我ながら非常にマヌケなことをしてしまった。恥ずかしい。

 疲れてんのかな?


「女子に見られなくてよかったな」


「ホントだよね……」


 こんな場面を見られたら穴どころか地の底に埋まって姿を消したい。


 なんて、そんなバカなことをしながら俺は今度は魔剣で木を切る。

 一帯全部ではなくて、窮屈そうに生えている木を切ることにした。

 これって確か間伐とかの作業に似ているよね?


 それで、切った木を見てみるがこの森を管理する人間なんているわけがないので、家の骨組みにするには十分な位の大きさだった。


「立派な大きさの木だな」


「そうだな、残した他の木も成長しやすそうだ」


 カイはなんとなく感心した顔で森を見ている。

 そこにセブルスがやってきて、警備隊の方もそれなりの木を確保したということだったので、あの中心地に戻ることにした。


 切った木材は警備隊の方の木とまとめて、風魔法で空中に浮かせながら帰った。



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