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第四十二話 みんなで大平原に出発!

 修羅場を終えた俺はその日の夕方に王宮へと再び呼ばれた。

 そして、謁見の間。


「アトスよ、西のアルデイト魔法学校の事件の解決、この国の代表として感謝する」


「はい」


 俺は王の言葉にあの礼法で頭を下げている。

 最初にここに来たときは発言は宰相の許可が必要だったが、バクラ王に、


「ワシとアトスは友達だ。ならばいちいち発言の許可をする必要はない」


 と言われたそうで俺とバクラ王は普通に話す。


「それで、お主に頼みがあるのだが」


「なんだ?」


 王からの頼みとなれば断るわけにもいかないよな?

 なので、真面目に聞いてみる。


「魔法学校の教師だったエルネスとその妻アイーシャをお主の国へと連れていってはくれまいか?」


「え?なぜ?学校は元通りになったから問題ないと思ってたんだけど」


「いや、さすがにあの事件を起こした人間をこの王都においてはおけないのでな。周りの大臣や、国民は事件の真相をあまり知らぬ。だからあの二人はこの王都で肩身の狭い思いをしよう。

 ならばお主の国で生活したほうが生きやすいだろう」


 なるほど、それもそうかもしれない。

 これはバクラ王の配慮なのだろう。

 俺としては別に断る理由もないので連れていくことにした。


「それから、ヴァレッタ村の国境警備隊もお主に貸そう。アトスがフォクトリア大平原に国を建てるのであれば同盟国となった我が国の国境警備隊は役目を終えるのでな。

 代わりの任務としたいのだ」


「王都の騎士団に戻さなくていいのか?」


「うむ、このアルデイト王国は平和だからのう。現在は少し過剰戦力となっておる。

 騎士団に戻しても恐らく人件費の無駄といわれるのでな」


 これはこの王国の事情なのだろう。

 とはいっても手を貸してくれるのはありがたいので、これも承諾する。


「他には何か要望はあるだろうか?」


 現状ここまでやってもらうとアルデイト王国に大きな借りを貰うことになるので、これ以上はと思ったが、一つだけ要望を出すことにした。


「じゃあ、あのスラムとなっているあの地域の住民にフォクトリア大平原に来ないかと宣伝をしてくれ、もしこちらの国に来るのであれば道中のゴールドはこちらが払うと付けて」


 すると、王は驚きの表情とともに少し申し訳無さそうな顔をする。


「よいのか?」


「あんまり効果はないかもしれないが頼む」


 宣伝効果がどれ程あるのか見当も付かないが、一人でも来てくれればこちらとしては嬉しい。

 スラムの住民からすれば怪しい宣伝にしか見えないと思うけどね。


「よかろう、ならば、国境警備隊の専属魔道士のレスリを我が国とアトスの国の連絡役としよう」


「これから建てる国の代表としてここまでして貰うと申し訳ないのだがよろしく頼む」


 頭を下げた俺の姿をみて王は笑う。


「おかしなことを言う。アトスがいなければこの国は滅んでいた。これくらいは気にするでない」


 なんかすごくなんちゃって建国しているような気がするけど、王はそう言っているので忘れることにしよう。


「他には何かあるか?」


「いや、今のところはないな。ここまでして貰ってこれ以上はとなると、俺が納得いかなくなるから」


「フハハハ!アトスは無欲だのう。よい、何か国の運営で困ったことがあればワシに聞け、ある程度は教えよう」


 無欲ってこの王様ここまでお願いしておいて無欲とか言うのか。

 このバクラ王、王としてはいろいろ問題があるけど器は大きいんだろうな、たぶん。


「ありがとう。そうすることにするよ。よろしくバクラ」


「うむ」


 王は玉座から立ち上がり俺の近くに歩いてくると、俺に手を差し出す。


「良き同盟国として、握手をしておこう」


 そう言うので、俺も立ち上がりバクラ王と握手をする。


「じゃあ、改めてよろしく頼む。どんな国ができるか、楽しみにしていてくれ」


 こうして、俺の建国予定の国とアルデイト王国は同盟国となった。

 でも、できるかどうかも分からない国と同盟を結ぶとか王として大丈夫なのかな?


          ☆


 そして、王都を離れて数日。

 フォクトリア大平原。


 エミリアとハーシェルは学生なので学業を真面目にするようにと俺が言ったので、二人は王都に残してきた。

 でもさすがに少し大所帯になってきたな。


 ヴァレッタ村に到着すると国境警備隊が俺について来たのだ。

 あれからすぐにバクラは行動を起こし、国境警備隊にあの話が伝わったのはなんとあの同盟締結した日のすぐあとだったらしい。

 やるな、バクラ王。


 それで俺についてくるのはカイ、リコリス、ノルン、シルキー、セレスティ、それとエルネス夫妻。

 あの二人夫婦でいいよな、もう。

 それと国境警備隊の付いて来られる隊員全員。

 これだけ見るとどこかに戦争でも仕掛けるつもりなのかという感じになっていた。


 そりゃあ、アーティファクトを使ったら俺と同じくらい活躍するカイに、天界から来た死神のセレスティ、さらにはあの死王国動乱で獅子奮迅の活躍をした国境警備隊。

 そのうえ、恐らくこの世界で最強と呼ばれ始めている俺、アトス・ライトニングもいるからそう思われても仕方ないよな?


 王国で旅人とか商人に聞いた話によれば、俺はあの死王国動乱以来、世界各国でアトス・ライトニングに敵う人間はいるのかと言われ始めているらしい。


 そんな俺達は徒歩でフォクトリア大平原の中心地を目指していた。 

 俺は先頭を歩き、その隣には国境警備隊の隊長、少し後ろにカイがいた。

 さらに後ろにいる女性陣は集まって楽しそうに雑談をしながら歩いている。

 そして、最後尾に警備隊専属魔道士レスリを含む国境警備隊がいた。

 国境警備隊はそこまで人数がいない。

 たぶん、50人くらいかな?全員とは言ったが、さすがにヴァレッタ村の警備のためにもう半分は置いてきている。

 

「しかし、アトス殿、国を建てるとは大きく出ましたなぁ」


 国境警備隊の隊長は笑いながら話しかけてくる。

 そういえば、この隊長の名前聞いてないな。

 まあ出会ってからゆっくり会話することもなかったし、仕方ないけど。


「今さらなんだけど、隊長さん、名前何て言うの?」


 すると隊長はそういえばという顔をする。


「そういえば、全然名乗っていなかったな。私はセブルス・シルビーナイト。改めて言うが国境警備隊の隊長だ」


「セブルス・シルビーナイト、覚えておくよ、改めてよろしく」


 俺達は徒歩で歩いていたのでそのままセブルスと握手をする。


「私の家系は代々騎士をしていね。シルビーナイトというのはずいぶん前の王からの賜った名前なんだ」


「そうなのか。ならなんでこんな辺境の騎士団に配属されていたんだ?」


 そんな名前を貰ったのなら王都の近衛騎士団と言われている第一騎士団所属でもいいはずなんだけど。

 この話はリコリスの父親から聞いた。

 俺達が王都に呼ばれていたとき、置いていかれたリコリスの父親も慌て俺達をというかリコリスを追いかけて来たらしく、あの魔法学校事件の次の日に王都に戻ってきたとのことだった。

 その日にその話を聞いた。


 セブルスは少し考え込む仕草をしたが、顔を上げる。


「君には話してもいいだろう。私は元々は第一騎士団の副団長をしていたのだがね。見ての通り職業軍人でね、騎士団内の権力争いに負けたのさ」


 また複雑な話を聞いたなぁ。

 確かに、セブルスはどうみても政争とかに興味なさそうだもんな。


「騎士団内って権力争いなんてしているのか」


「まあ、アトス殿も見た通り、今の時代はそれなりに平和なのでね。権力争いくらいしかやることがないんだろう」


 暇な連中だな。

 確かに上の立場に行けばこの分ゴールドも多く手に入るのだろうけど。


「確かに、戦争なんてしているわけでもなさそうだしな」


 死王国動乱からリヒテリンス共和国は議会の建て直しをしているため、他の国に目を向けている余裕がないと、これまた王都の山猫亭で聞いた。

 あのマスターと少し話したかったってのが一番の理由だったけど、あの酒場はやはりそれなりの客が来るらしいので情報は多く知っているとエルフのマスターは言っていた。


 何か情報を探すなら山猫亭に行ってみようと決めた俺だった。


 セブルスとそんな話をしていたのが、カイが割り込んでくる。


「なあ、最近俺空気じゃね?」


 と突然そんなことを言ってくる。

 確かに最近カイと話していない。

 それというのも、ここ最近毎日のように女性陣に引っ張り回されていたから話している暇がなかった。


「おお、カイ殿か。死王国動乱では世話になったな」


「おう、今の話聞いてたけど、セブルスって言ったか?」


「うむ、そうだが」


「アトスが居なかったら俺達今頃あの世だもんな。というわけで魂取られました同盟でも組むか」


 なんというネーミングセンスの無さなのか。

 しかし、セブルスは笑って、


「いいですなー、魂取られました同盟とは!なにやらカイ殿と仲良くなれそうな気がするぞ!」


 と言う。

 同じレベルの会話だった!

 そんなわけで魂取られました同盟なんてのが作られたそうな。どうでもいいな!


「それで?いきなりどうしたんだよ」


「いや、最近構ってくれないから寂しいぜ!」


「いや、構ってちゃんか!めんどくせーな!」


 俺はツッコミを入れるのだが、カイは寂しそうにしていた。

 だが、そんな表情は一瞬で体をクネクネしながら俺に言葉をかけてくる。


「だってだって、アトスくんったら私に全然構ってくれないんだもん!」


 その女言葉やめなさい。

 なんでそんな口調にした。

 というか、そのクネクネもやめなさい、カイは見た目少年だからそんなに違和感ないのが逆に怖い。


「普通に話せよ!俺が怖いわ!」


「えー、だってアトスって女の子に構ってばかりで俺の扱い雑じゃん。俺がヒロインだったら最初の正妻候補だぜ?」


「ハッハッハー、その机上の空論は現実になることはないから安心しなさい」


「ひどい!ひどいよこの色欲魔神!アトスの出べそー!」


「色欲魔神でもないし、出べそでもないから!」


 色欲魔神は、周りから見たらそうなんだろうけどな!

 ていうか、出べそってなに時代の呼び方だよ。


 セブルスは俺とカイの会話を見て笑う。


「ハハハ、アトス殿とカイ殿は面白いですな!」


「楽しそうで何よりだよ。俺は大変だけどな」


「俺は楽しいからオールオッケーだぜ!」


 そんな会話をしながらフォクトリア大平原の中心地を目指す。

 あともう少しだ。

 さて、最初は何をしようかな?


読んでいただきありがとうございます!

皆様はここまで読んで誰が気に入ったでしょうか?

この先の話から少し中だるみが始まってしまいますが、よろしければお付き合い下さい!

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