第十九話 アーティファクトを使ってみよう!
次の日。
さて諸君!
いや、諸君と言っても俺の心中だから諸君でもなんでもないんだけどね!
昨日のゴーレム騒動と診療所の蘇生魔法?ではないが、その両方でこれまで以上に目立ってしまったわけなのだけど。
なんと一夜にしてその噂は村全体を駆け巡り、さらには大量のゴールド持ちとか言う完璧超人などという話になってしまっていた。
噂に尾ひれがつくのはよくあることなのだけど、大体真実だから否定もできない。
そんな俺は宿屋のロビーにいるわけなのだが、朝から忙しかった。
あの鉱山で悪口を言っていた冒険者や作業員、警備隊の兵士が次々に謝りに来たのだった。
正直ここまで手のひらを返されるとなんか人間不信になりそうだった。
そして今は宿屋の窓から村の娘達がずーーっとこちらの行動を入れ替わり立ち替わりみていた。
すごく行動しにくい。
なんせ歩くだけで黄色い歓声が聞こえてくるのだ。
つ、疲れる。
生前こんなに注目を集めたことがなかったので余計にどうしたらいいのか考えて疲れる。
「よう、人気者!元気にしているか?」
カイは階段の途中の隙間から手を振る。
リコリスとノルンは仲良くショッピングに出かけてしまったので俺は一人だった。
「いや、ここまで人気者になるとは全く思ってなかったから困惑している」
国境警備隊の一部の兵士からも村を救った英雄として崇め奉られる始末である。
「あれだけの功績あげちまったら仕方ないことだけどな!」
そう言いながらカイは階段から降り、ロビーのイスに座る。
「確かにあのゴーレム少しだけ手ごわかったけどさー、なんか解せぬ」
「コアが逃げるゴーレムだろ?そんなの初めて聞いたぜ!しかも隠しておこうって言っていた複合魔法使ったんだろ?」
「まあ、あのゴーレムうらやましい武器持ってたからマネしただけなんだけどな」
魔法の仕組みを理解していないだろうから、他の人から見たらなんか珍しい魔法使ってるくらいの感覚なんだろうけど。
「よくやるよ、ホントに。俺もこの体じゃなかったら活躍できるんだけどなー」
とカイは銀髪をいじりながら言う。
「それはすまないな」
「これはこれで楽しいから気にしてないけど、魔法が使えないのは痛いな」
魔力でできた体か、肉体は器と言っていたがやはり不便なんだろうな。
「そう言えば俺が体作ったらどうなるのかな?」
「それは考えてなかったな。でも結局魔力の体っていう縛りは消えないだろうから変わらないだろうな」
「それもそうか。そうだ、アーティファクト使ったらできるかも」
サフィーネはアーティファクトを他の人の精神力と合体させたらその人の潜在能力を引き出せるとか言っていたけど、使う機会がなかったためまだ使ったことはない。
「アーティファクト?それって何かに使えるものだったのか?」
「そうらしい、夢で天使が言っていた」
「へえ、アトスって天使と話せるのか?」
「ああ、カイが俺と出会う時にカイに話しかけたあの天使だよ」
「あの天使か!いろいろ祝福されているんだなアトスは」
祝福というか遊び道具にされているというか。
なんとも複雑な感覚だが祝福と言えばそうも言えるのだろうか?
まあ確かに、俺の能力を引き出したのは間違いなく祝福と言えるだろうし、カイの言い分は的を射ていると言ってもいいのかもしれない。
「それはどうかわからないけど、アーティファクトは最終兵器とか言っていたから多少の効果はあるんじゃないかな?」
「最終兵器か。それなら本当の切り札になるかもしれないな、アーティファクト」
「ただ時間制限付きらしいけどな」
それだけが欠点だろう。
でも時間制限にでもしないと力に飲み込まれるなんてことありそうだし。
あれは神の力の一部なのだから。
「試してみるか?」
「まあ、どれくらいの時間使えるかは知らないといけないと思うし、思いきってカイさんで試してみろよ!実験台になってやるから。
それに初使用でもし事故が起きたら嫌だろ?特にリコリスとノルンに使う場合は」
カイって意外と気遣いうまいんだな。
これも1000年の知恵っていうやつなのだろうか?
そりゃあ、周りの人達が放っておかないわけだ。
俺が普通の人間だったらそんなカイについていきたくなるというものだ。
「いいのか?」
「いいさ、俺がこの体を維持できなくなったらアトスの中に戻るだけだし」
そうか、それなら別に何か事故っても問題ないというわけか。
「わかった。でももし危なそうになったら言ってくれ。俺もカイを失うのは嫌だしな」
出会った時からカイのポジティブさに助けられたこともあったし、何よりからかわれたりもするがカイとの会話は楽しいのだ。
それに記憶のこともある。
カイの記憶がなければ俺がここまで活躍することは困難だっただろう。
「じゃあ、行くぞ」
空間袋からアーティファクトを取り出し、うなずくカイの手に預ける。
カイはアーティファクトに魔力を通し、合体を試みる。
すると若干の光と共にアーティファクトはカイに吸い込まれていく。
光が収まると別に外見からすれば何の変化もないカイの姿があった。
だが、次の瞬間あのアーティファクトからなのだろうが、とても澄んだ声がどこからか聞こえてくる。
「魔力固定、完了。魔力流出、停止。精神力、魔法ランク、神級、限定解放」
「なんだ、この声?カイなんともないか?」
俺は心配になってカイに話しかける。
「ああ、俺は何ともないが、体の魔力流出が止まった。すごいぞこれ!これなら俺も問題なく戦える」
カイは喜びながら自分の手をグーパーする。
「本当か!?何も不調はないか?」
「ああ、むしろ絶好調だ!感覚としては神の加護を受けているみたいで今まで以上の力が出せそうだ!」
さすが神の体の一部だ。
どれ程の力が出るのか不透明だが、カイが今までにないくらい顔を輝かせていたので恐らく想像以上の力が出せるんだろうな。
「どれくらいの時間持ちそうだろうか?」
となると気になるのは時間だ。
この時間を把握しないと戦闘をさせるのは無謀だろう。
戦闘中にアーティファクトの効果が切れるとどうしようもないしな。
「それなんだが、頭の中に数字のカウントが浮かんでいるから多分それが稼働時間なんだろうな。俺の時間はあと40分くらいだと思う」
40分か。
結構時間使えるんだな。
ところで、この時間制限は個人差などあるのだろうか?
もしそうだとしたら、実戦で使えるかと聞かれれば使えないかもしれない。それは博打だろう。
「あと、これは任意で解除できるみたいだ。いつでも外せる」
それは有用かもしれない。
俺が持っているアーティファクトは一つなので使いたい能力があっても他の人物が使っている場合、他の人が使えないとなると臨機応変には動けないだろう。
「そっか、別に何も悪影響がないなら使っても問題なさそうだな」
「みたいだな。神聖な力っていうだけあるなこれは。
確認は一通り済んだし、一度外してみようか?」
「ああ、頼む」
そして、カイは片手を出すとその手のひらにアーティファクトが現れる。
「外してもなんともないか?」
「そうだな、なんとなく精神力が少し消費されたようだけど、問題ないな」
「カイの精神力は並外れているからその消費はあてにならなそうだけど?」
「いや、本当に少しだぞ?」
「基本的には問題なさそうだけど、精神力を消費するってことは魔法石の進化系みたいなものかもしれないな」
魔法石も確か多少の精神力は使うはずだからそれと似ているのかもしれない。
とりあえず安全性は問題なさそうなので、あとは時間だけだな。
あとでリコリスとノルンにも頼んでみよう。
とアーティファクトの実験をしていたところに見知らぬ鎧姿の男性とリコリスとノルンが入ってきた。
「ここにいるアトス・ライトニングという人物に用がある!誰だ?」
「お父さん、いきなり失礼ですよ!」
リコリスはその男性にそう言う。
「えっと、アトスって俺のことですけど、なんですか?」
「君がアトス君か、うちの娘の命の恩人と聞いてこうしてやって来た!」
うちの娘?
と思ってリコリスの方を見ると、
「えっと、私の父です」
と恥ずかしそうに言って来たのだった。
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