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第十七話 村の危機?解決しちゃいました?!

 風呂でカイとのんびりしたあと風呂から上がり、リコリスとノルンに謝ろうとしたのだけど、二人は顔を赤くしながらも、


「アトスさんなら、見られても構わないです」


「アトス……もし見たいなら言って、アトスなら……見せてあげるから」


 なんて目が飛び出るような言動をされた。

 この女性たちはいろいろ大丈夫なのかと引きつつ、四人で風呂上がりのフルーツミルクを飲む。

 あー、うん、こういうの定番だよね。

 平和だなー。 

 ていうかフルーツミルクなんてのがあるのに少し驚いたけど。


 と、のんびりしていたのはそこまでだった。

 宿屋のドアがいきなり開いたかと思うと鉱山の作業員と思われる服装の人が顔を真っ青にして入ってきたのだった。


「大変だ!鉱山で古代のゴーレムが発掘された!」


 それを聞いて宿屋の主人はなにやら慌てて、カウンターから出てくる。


「それは本当ですか!?」


「ああ、作業員の一人が堀り当ててしまったんだ!ゴーレムは掘り当てた衝撃で起動して、無差別に人を襲っている。

 冒険者ギルドにも国境警備隊にも出動要請を出したが鉱山に向かった冒険者や警備隊の中にも重傷になって帰ってきた人が多くいる」


「大変だ、冒険者でも警備隊でも太刀打ちできないなどゴーレムの中でも最高ランクの災害級ではないですか!」


 俺たちはその光景を見ていたが話を聞く限り、かなり危ない魔物ではないだろうか?


「ほう、災害級のゴーレムか、するとタングステンゴーレム系か?」


 カイはその話を聞いてそう言う。

 俺もカイからもらった魔物の記憶を呼び起こす。


 タングステンゴーレム。


 その魔物は大量の魔力石が偶然長い間同じ場所にあった場合に発生する魔物だ。

 だから目にすることは普通に生きていればほとんどない。

 そのゴーレムは少し衝撃を加えただけで、起動してしまうという鉱山で働く人達が頭を悩ませるゴーレムらしい。

 普通のゴーレムは鉱員だけでも対応できるそうだ。


 だがタングステンゴーレムは強度がすさまじく、並みの武器はほとんど弾かれてしまうという。

 俺の生前の記憶では、確か戦車とか戦艦に使われるあのタングステンと似ているかもしれない。

 まあ、あれは合金らしいけど。


 というか、タングステンってその鉱石のことなのだろうか?

 記憶を見る限りではタングステンゴーレムというのはどうもそれくらいの硬さがある。


 なんていっても、あの魔剣ステラ・マグナで切れないような硬さではないだろう。

 あれはなんでも切れる剣だし、なにより俺の破壊の力でさらに強化されている。


「それで、作業員の中の一人がアトス・ライトニングという人物ならなんとかできるかもしれないと言っていたのでこうして西側の宿屋をそれぞれ訪れていたのです!」


 ふいに俺の名前が呼ばれたので思い返してみると、もしかしたらあの馬車に引かれそうになった子供の父親ではないだろうか?と思った。


「ご指名みたいだぜ?」 


「アトス……行くの?」


「アトスさんならできますよ!」


 と三人ともそう言ってくる。

 俺もそのタングステンゴーレムっていう魔物が気になったので行ってみるとしようか。


「えっと、アトスって俺のことです」


「え?君がかい?!どうみても少年ではないですか」


「アトス様は見た目こそ少年ですが、三国の国家予算以上のゴールドをお持ちです。

 見た目で判断しないほうがよいかと思います」


 宿屋の主人が俺のことをそう思っていたのを知って何気に嬉しくなった。

 その作業員は少し驚いたあと真剣な顔をして話し始める。


「わかった。では、君にお願いしよう。私は鉱山の管理をしている社長のようなものだが、君にこの村の命運を託す」


「いやいや、そんなにおおごとにしなくていいですから。それでその鉱山まで案内してくれませんか?この村に来てまだ少ししかたっていないからわからないんです」


「わかった、案内しよう、ついてきたまえ!」


 そう言ってその社長は走り出す。

 俺は先行するわけにも行かないので、その社長についていく。


          ☆


 鉱山はなかなか地獄だった。

 作業員が休憩するための小屋が燃え、鉱山へと続いている坑道は崩落間近という状況で、その入り口付近でゴーレムが暴れていた。

 それに抵抗する冒険者・作業員・警備隊の連合でなんとか押し留めている様子だった。


「あれが、タングステンゴーレム」


「みんな!援軍が来てくれたぞ!」


 先頭を走っていた社長はなんとか踏みとどまっている連合の人達に声をかける。

 そして、振り返った冒険者や作業員、警備隊の視線が俺に注がれる。


「一人?!何を血迷っているんだ、そんな少年一人で何ができるというのか!?」


「くそ、ふざけんなよ!こっちは冒険者なんだ、そんな少年より強い!」


 と、やはりこの少年の姿だとそう思われてしまうらしい。

 俺だってあっち側の人間だったらそうも思いたくなる。


「おお、アトス・ライトニング君じゃないか!来てくれたんだね!」


 その中で俺のことを嬉しそうに呼ぶ人物がいる。

 あの子供の父親だった。


「見つけたぞ!この人物で間違いはないのかね?」


 子供の父親はうなずく。


「君は、山の崩落現場にいたあの少年ではないか!」


 あちゃー、国境警備隊の隊長さんまでいやがるぜ。

 ここで倒すしかないし出し惜しみしてられないんだけどなぁ。

 こうなった以上仕方ないがとりあえず挨拶をしよう。


「あ、どうもです。助けに来ました」


「君のような若者の手を借りるのは少々心苦しいが、そういってられる状況でもない。戦えるのかね?」


 最前線で戦っている国境警備隊の隊員の中には山が崩れたはずの現場に、隊長を追いかけて来ていたあの少年もいた。


「た、隊長、もう持ちません!撤退の許可を!」


 少年が泣き声で訴えてくる。


「皆さん、ここは俺に任せて後ろに下がって下さい!」


 俺がそう言うと隊長や社長はそれぞれ撤退の指示を出す。

 そして、俺は退避していく警備隊や作業員とは真逆のゴーレムのいる場所へ剣を抜きながら歩き出す。


「本当に大丈夫なんだろうな!?あの少年どういう存在なんだ!」


「これで倒しちまったら冒険者の名が地に落ちちまうな、本当に倒せるのか?」


「バカ、ああいうやつは早死にするんだよ!」


「ふん、ガキが。

 あいつに何ができるというのだ」


「みてみろ、あれは魔剣だ。どっかの金持ちのお坊っちゃまがイキがってるだけだろう」


 口々に俺のことを知らない人々がそんなことを言う。

 聞いていて正直あんまりいい気分ではなかったが国境警備隊の隊長は、


「私は見てみたい、あの山が崩れたはずの現場にいたあの少年にどれほどの能力があるのか」


 と真剣に見てくる。

 さらには子供の父親の男性はなにか安心したような表情をしている。

 俺のことをどうみているだろう、あの人は。


 さて、ゴーレムだが水色の体で光を反射してテカテカと光っている。

 しかも遠くからみても明らかに大きかったが、近くまでくるとあの小屋の屋根ほどの大きさがあり、俺は見上げるような格好になる。


 頭部と思われる場所には二つの目があって両方とも赤色の光を放っていた。

 あの体のテカテカは光沢というやつだろうか。

 俺は赤と青の光が交互に放たれる魔剣を自分の体の前で構える。

 ゴーレムはこちらを敵と認識したのか体ごとこちらを向き、真っ赤な目をギラギラさせて俺の姿を見る。


 ゴゴゴと土砂崩れでも起きてるのかと思うくらいの音と共に動き出した。

 あの巨体から想像もつかない鋭い速度のパンチが飛んできた。

 それを横にステップして回避する。


「意外と素早いんだな、驚いたぜ」


 記憶にはそういった情報も含まれていたので別に驚いたりはしていないが、本当にそんな速度で動くのかと思っていた。

 ゴーレムの片腕の近くにいる俺はゴーレムの体の下に潜り込んだ形になっている。

 なので、とりあえず足と思われるところに斬撃を繰り出す。

 すると片足はキレイに切れ、体勢を崩したゴーレムは胴体ごと俺のいる場所へ倒れ込もうとする。

 俺は光速でその場所から抜け出す。

 もちろん、逃げられないわけがないのでゴーレムの倒れた横に立つ。

 遠くからみていた人々は俺がいきなり現れたような姿を目撃し驚く。


 カイの記憶によればゴーレムとは体のどこかしらにコアのようなものがあるらしい。


 試しに胴体をゴーレムの背中から切ってみると人間でいう心臓付近に赤い光を放つ球体があった。

 それを突き刺そうとした瞬間、球体が横に逃げた。


 ん?

 コアが逃げる?


 そんなことカイの記憶にはなかったんだけど。


 ゴーレムの背中で少し呆然としていると、ゴーレムの背中は水色の装甲が復活してきていて、切ったはずの片足は再生を始めていた。

 そして、ゴーレムがいきなり起き上がると俺はジャンプして地面に着地する。


「マジかよ、あの記憶にはそんな再生能力なかったんだけど」


 完全復活したゴーレムを眺める。

 するとゴーレムの背中からなにやら小さい円形に刃がついた浮遊物が無数に出現する。


 おいおい、勘弁してくれ。

 あれどうみても自立型攻撃兵器だよな!脳波で操る系のアレ!


 そして、その無数の刃は俺をめがけて飛んできた。

 動体視力がおかしいこの体ではすべての軌道が完全に見えるため、俺は一つ一つ高速で切り落としていく。


「むうう、ずるいぞ、そんな攻撃!」


 そのゴーレムの攻撃兵器が羨ましくなった俺は複合魔法でも使おうかなんて考え始めてた。


 俺は両手剣を片手に持つ。

 両手剣を片手で振るなど普通はできないが、この体の筋力では造作もないので、初となる重力魔法をなんとか応用して剣の反動を反動とは反対の方向に力が加わるようにしたりして、空気抵抗を減らす。

 そして、もう片方の手では魔法の合体を始める。


 イメージ。

 風魔法の軌道に氷魔法の刃を付け加える。

 風の軌道を俺の思考と融合。

 そして氷の刃を俺の思考と風の軌道に融合。


「シンクロ、アイスウィンドー!」


 そう唱えると俺の後ろの空中に無数の氷の刃が現れる。

 試しにあのゴーレムに対して無数の氷の刃の一つを突き刺そうと思考する。

 空中の氷の刃の一つは思い描いた通り頭部の片方の目に突き刺さる。


 よっしゃ、これならあの円形の刃を全部破壊できる!


 両手剣を両手で持ち直す。

 思考を飛ばすと超高速で氷の刃と円形の刃が激突する光景がそこにはあった。

 多分遠目からみたら何が起こってるかわからないんだろうなーなんてのんきなことを考える。


「よし、あの兵器は全部破壊できたな!」


 ゴーレムのあの自立型攻撃兵器を全て破壊すると残っていた無数の氷の刃をゴーレムに突き刺していく。

 ゴーレムの外見は完全になくなり、骨組みとなっていた石が露出する。

 ついでにコアも見つけた。 


 そして、氷の刃を一度水分に戻し、ゴーレムに広がったところで再び氷に戻すように思考すると思った通りにできゴーレムと、さらにコアの動きも凍結で固まる。

 そのコアに剣を突き刺すとゴーレムは完全に停止し、ただの鉱石へと戻ってガラガラと音を立てて地面に落ちたのだった。


 勝利したことを確信し鉱山に響き渡る歓声。


 こうして、噂ではすまないレベルの俺の話が村中に流れることになる。



読んでいただきありがとうございます!


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