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第百二十五話 苦戦中?救援に行こう

 食糧輸送を行うため、俺とサグナとアオイはイースティア村のエルフ達数名と共にエルベット村に戻ってきた。

 村に戻ってくると何が起こったのか、エルベット村は少し騒がしかった。

 一体なんだろう。


「む?なにやら良くない雰囲気のようじゃな」


 村に入るなりそう感じたアオイが村を見渡しながら言う。

 エルベット村のエルフが俺達を見つけると慌ててこちらに来た。


「アトス様、サグナ様、アオイ様!ご無事でしたか!

 先程南に向かっていたはずのレイ様とミュリン様が引き返してきたのです!

 それとハクリュウ様が二人を逃がすために一人で魔物と戦っているようなのです」


 エルフの話を聞いてアオイをチラッと横目で見ると、アオイは俺の視線を受けたのか、エルフに話し出す。


「ハクリュウが?あやつなら心配は要らぬじゃろうが」


 俺はハクリュウがどれほど強いのかは知らないが、アオイが信頼しているような発言をしていたので推測だが、それなりに強いんだと思う。

 それよりもミュリンとレイに話を聞きたいな。


「あっ、アトス様!」


 ミュリンがこちらを見つけたらしく、声を出しながら近づいてきた。

 レイもミュリンについてここへやって来た。


「話はミュリン達から聞くから、イースティア村のエルフ達に協力して食糧輸送の準備してくれるか?」


「わかりました、では私は彼らと準備を始めます」


 そう言って、エルフ達は準備をするために離れていった。

 五人になったところで話を聞く。


「それで、詳しく話を聞いてもいいか?」


 俺が二人にそう言うと、レイが悔しそうな顔をして話し出した。


「役に立たず申し訳ないのでござるが、南の村へと向かう道中、拙者達は謎の巨人の大きさをしている魔物に襲撃されたでござる」


 レイは見るからに落ち込んでいるので少しフォローしておいてやるか。


「そんなこと言うな。その気持ちがあるだけで十分だ。

 巨人って言うとこの国の木と同じくらいの大きさの魔物か?」


 俺が聞くとレイとミュリンが驚いた顔をしていた。

 なるほど、その表情ってことは俺達が戦ったあの魔物と同じような姿をしている魔物なんだろう。


「もしや、東のイースティア村の道中にも同じような魔物が居たのですか?」


「私は観戦していたようなものですけど、アトス様が戦った魔物は巨人といってもいい大きさでした」


「アトス殿は本当に強いのでござるな!ともかく、ハクリュウ殿は我々を逃がすためにその魔物と対峙しているはずでござる。

 あれは拙者達の手に負えるような魔物ではなかったでござる。

 ハクリュウ殿は無事なのだろうか……」


 ハクリュウのことをよく知っているであろうアオイがレイの話に答える。


「あやつは死なぬよ。仮に死んだとしたら妾の近くに再び現れるのじゃ。

 あやつは妾が契約を解除しない限りは死ねないのじゃ」


「ハクリュウ様も何やらアオイ様と昔いろいろあったと言っていましたが」


「それは事実じゃ。確かにいろいろあったのじゃが、話すと長くなるのでのう、今は置いておくとするのじゃ」


 アオイは別に話してもいいような顔をしていたが、今はそんな話を聞いている場合じゃない。


「ハクリュウってどれくらい強いんだ?」


「そうじゃなー。妾と同じくらいやもしれん。契約を解除したら妾より強いと思うのじゃ」


 え?

 アオイより強くなるとか、何者だよ。

 ただの式神って訳じゃなさそうだな、話を聞く限りは。


「じゃから、負けるような事態にはならないはずじゃ」


「ハクリュウ殿は底の知れない強さを秘めているような気がしていてたでござるが、本当でござるか?」


「あやつめ、お主達に自分の実力を隠しておるな。

 本気のハクリュウであればむしろ魔物の方が可哀想じゃのう」


 あのハクリュウってやつ、なに考えているか分からないもんね。

 でも東に向かう途中で、あの巨人の魔物を一歩も動かずに倒してしまったアオイが言うならハクリュウの心配はしなくても良さそうだ。


「え?!ハクリュウ様ってそれほど強いのですか!?」


「うむ、妾と同等の強さを持っておるからな、あやつは。

 二人を逃がしたのは単なる遊びの類いじゃろ、ハクリュウは時折仲間でさえも遊びの道具として使ってしまう残念な式神なのでのう」


 面倒な式神もいたものだな。

 よくアオイとヤマトはそんな式神と一緒に居られるよな。


「はぁ……心配したのに遊びなのですか。

 また頭が痛くなってきました」


「じゃが、冷静に戦況や敵味方の力量差を見ておるから、お主達を逃したのは余計な被害を出さないようにじゃろうな。

 残念な式神じゃが、味方をむやみに死なせるようなことはせん。

 そこだけは信頼してもよいところじゃ」


 長年ハクリュウと一緒にいたであろうアオイがそう言うなら、二人を逃がしたのは計算の内ってところなんだろう。


「ハクリュウ殿は変わった者なのでござるな」


「変な式神というのは間違いないのう」


 召喚者が変な、というのもおかしな気もするが、アオイとハクリュウはただの召喚者と式神って関係じゃないんだろう。


「でも、それならハクリュウ様の助けにいかなくてもいいんでしょうか?」


「サグナが気になるなら俺が様子見てこようかな、アオイ達は東の村へ食糧輸送を準備しているエルフ達を手伝っていてくれ」


「私達を退却させてくれたハクリュウ様のことは気がかりですが、アトス様が様子を見に行ってくださるというなら心配ないですね。

 わかりました、こちらの準備はお任せください、ハクリュウ様のことよろしくお願いします」


「任せてくれ」


 手伝いをするために四人がエルフ達の元へと向かって行った。

 別に見に行かなくてもいいとは思うんだけど、あの巨人の大きさの魔物は厄介だろうし、もしハクリュウがやられたら南の村までの道を確保するつもりで向かうことにする。


 東の村程ではないにしろ、封鎖されるのは良くないだろう。

 俺は現地に即座に迎える機動力はあるつもりなので、すぐ戻っては来れるはずだ。


 北の村や、世界樹の麓にあるという村のことも気になるが分身でもしない限りは手が足りない。

 まあ、北の村は世界最強の魔法使いのシャーリーを始めとして、伝説の忍者と言われているらしいヤマトやエルフィリン樹神国のまとめ役みたいなツーイットもいるのでなんとかなると思う。


 さて、それじゃあ南の村の方向に向かうとしようか。




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