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第十一話 王国、動く

 俺達がヴァレッタ村でアーティファクトの話をしている頃、アルデイト王国の中心にある王都の城ではこの国の王である人物が謁見室で兵士の報告を聞いていた。


「報告します、ヴァレッタ村近くのゼータ連山で1000mの土砂崩れが発生し、地形が変わるほどの被害が出た模様!王都の警備兵からの報告です」


「ほう、山が崩れたとお主は言うのだな?しかも1000mとな」


「おい、お主、嘘を言っているのではないだろうな!」


 王の脇に控えていた宰相が兵士に詰めよりながら聞く。


「よい、話を続けよ、それだけではないのだろう?」


 宰相を片手で制すると、宰相は元の位置に戻る。

 玉座に座っている王は姿勢を直し頬杖をしながら目の前の片膝をついて頭を下げている兵士を見る。


「はい、おっしゃる通りで、崩れた姿からなぜか完璧に元の姿に戻ったとの報告です」


 その話を聞いて、王は少し驚いた表情になったが、即座に元の表情に戻る。


「世界最強といわれているマジェス魔道国の魔道士ならばそのような芸当もできようが、お主、ワシをからっているわけではあるまいな?」


 兵士の話はにわかには信じがたいがマジェス魔道国が関わっているのであれば一応納得はできた。

 王は話の真偽を見定めようと兵士を鋭い眼光を飛ばす。

 その眼光を受けた兵士は慌てて王に話をする。


「い、いえ、間違いなく真実の出来事です」


 兵士は冷や汗をかきながら王の反応をチラチラとうかがい見る。

 だが、宰相の次の一言でマジェス魔道国はかかわりがないとわかってしまう。


「マジェス魔道国がそんなことをする理由が分かりませぬ。

 それにマジェス魔道国は現在この空域には移動してきていません」


「む、そうなのか。ではマジェス魔道国は関係ないな」


 マジェス魔道国。

 その国は大地や大陸に存在している国ではない。

 いや、正確には大陸ではあるが、普通の大陸ではないのだ。


「はい、距離的にも全く関係ないと思われます」


 宰相は王の右腕として王を支えている人物だ。

 それに付近の国の情報管理も行っている。


 宰相の話を聞いた次の瞬間、王は立ち上がりながら豪快に大音量で笑い始める。


「フ、フハハハ!面白いぞ、一体何が起こっているのだ!全く分からんぞ!」


 王の笑い声に宰相は頭をかかえる。また王の好奇心旺盛が顔を出したと。

 兵士はいきなりの出来事に呆然としていた。


「よし、ヴァレッタ村へ調査団を派遣することにしよう!興味が湧いた、そのような芸当を起こせる人物がどういう人物なのか見てみたい」


「え?」


 兵士は相手が王だと言うのにマヌケな声を出してしまった。


「え?、ではない!早速調査団の編成に取りかかれ、ワシも楽しくなってきたぞ!ワシはどうせ留守番をさせられるだろうがな」


「当たり前です。王が王都を離れるなど、戦争の遠征位でしょう」


 この王は王国では賢王と呼ばれているのだか、それ以上に好奇心が旺盛でさまざまな事柄に首を突っ込むことが唯一の欠点だった。

 王はまだ王子だった頃からよく城を抜け出し、庶民と共に遊びケンカし、国民に愛されていた王子だった。

 脇に控えている宰相も幼い頃より王と城を抜け出すことに付き合わされていた。

 だが、それゆえに現在の王は王座についた時、庶民目線で物事を考え国を動かす王となった。

 そして宰相はそんな王を支えようと宰相になったのだ。


「わ、わかりました!至急調査団編成を行います!」


 兵士は立ち上がり王に一礼し、玉座の部屋を出ていく。

 入れ替わりに騎士団の団長が部屋に入ってくる。

 先程の笑い声を聞いたのか、様子を見に来たようだった。


「王よ、ヴァレッタ村への派遣、ぜひ私も編成に加えてください」


「ふむ、理由を聞こうか」


 王は再び玉座に座り直す。

 団長は先程の兵士と同じように片膝を床につけ、頭を下げる。


「はい、個人的な話なのですが先日ヴァレッタ村へ私の娘が向かいました。

 珍しい薬草を採取すると張り切っていたのですが、帰ってくるはずの日に帰ってこなかったので心配になってしまったのです」


「娘の心配はワシも分からないわけではないが、お主は第二騎士団の団長なのだぞ?指揮系統はどうするつもりなのだ?」


 このアルデイト王国は近衛騎士団を第一騎士団とし、王都近辺の警備を担当する騎士団を第二騎士団としている。

 他にも何個か騎士団が編成されているが、第二騎士団は王都近辺の魔物を討伐することを主任務としているため、指揮系統の乱れは王都周辺の治安が悪くなることと同じである。


「その件につきましては副団長への一時指揮権の譲渡としようと思っております」


「お主の騎士団の副団長ならば問題はあるまいが、他の国では許可されない事例であるぞ?」


「王がそれを言われると説得力がないのですが」


 自由奔放な王を見ているからそんなことを言ってしまう。

 騎士団の団長が個人の事情で立場を一時的にでも捨てるとなると規律が乱れるものである。


「……出すぎたことを申し上げました。返す言葉もございません」


 団長は頭を深く下げる。

 その姿を見て王はどうしたものかと考えて、なにかを思い付いたようで、ニヤニヤし始める。


「お、王よ、一体何を考えておられるのですか?」


 いやな予感がした宰相だったが王はそんなことを構いもせず次のように言う。


「出すぎたことを言った罰としてお主に数日間の自宅謹慎を言い渡す。その自宅謹慎の際に外へ出ようなどと想ってはならんぞ?特にヴァレッタ村へは行ってはならんぞ!」


「王よ、それは」


 団長は顔を上げて王を見る。

 王はニヤッとして話は終わりだとでも言うように目を閉じる。

 またしても宰相は頭をかかえる。


「もうよい、さっさと自宅に帰って謹慎せい」


 王は手をヒラヒラさせて団長を追い出そうとする。

 団長は立ち上がり深く一礼し玉座の部屋を後にした。


「少々強引だったであっただろうか?」


「そうですね、しかしそんな王だからこそ私もついてきたのです」


 王の言葉にそう返す宰相。


「いつもすまないな」


「なに、これくらいいつものことでしょう。今さら何を言っているのですか」


 そう言って二人で笑いあう。


 その日のうちに、アルデイト王国調査団が編成され俺達がいるヴァレッタ村への派遣を決定した。


 こうして、少しずつ俺の行動が世界を動かし始めたのだった。

 もちろん、この時点で俺がこの話を知っているわけはない。

主人公の出番はなかった


「面白い!」


「続きが読みたい!」


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