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学園に着くと護衛騎士のリックに連れられ、講堂に入った。

まだ早い時間だったせいか、人は少ない。

講堂の中心には大きな水晶のようなものが見える。

この学園は本人の持つ魔力の器の大小でクラス分けされるそうで、その大きさをここで見極めるらしい。

近づくと濃紺のローブを着た片眼鏡の男がこちらを見た。まだ若いが教師のようだ。

涼やかで整った顔をしている。モテそうだ。

「おはようございます」

祖父に引き取られてから習った挨拶の型をとる。

社会人経験の記憶も持つ私は必須事項だと思い、早々にマナーについて教えてくれる家庭教師をつけてもらったのがやはり正解だったようだ。早速役に立った。挨拶だいじ。

「おはようございます。お名前を伺っても?」

「ミリアム・オルブライトと申します」

ああ、あのという様子で男はうなずいた。

オルブライト家に引き取られた平民育ちの令嬢の噂は聞いていたのだろう。

「非常勤講師をしているサイラス・ハバードです。ようこそ学園へ。今からクラス編成のため、あなたの魔力の器の大きさを見せていただきます。こちらの玉に両手のひらを向けてください」

「はい」

言われるがままに両手を伸ばし、水晶玉の方へ手のひらを向けた。

その瞬間、手のひらの中心が熱くなる。

「え?!」

慌てて手を水晶玉から離そうとすると、手のひらから水晶玉に向かって白い光のようなものが大きく波打った。

光は螺旋を描くように講堂の天井を駆け巡った。

「危ない!」

隣にいたサイラス先生が何か唱えて、私と水晶玉の光を断ち切った。

舞い上がった螺旋は花火のように消えた。

手のひらにあったジリジリとした熱が徐々におさまってくる。

青ざめた先生は、私の腕を握った。

「大丈夫ですか?あなたは、、、」

顔が近い!顔がカーッと熱くなった。イケメンの破壊力に真っ赤になった気がする。

「せ、、先生」

騒めく周囲の生徒たちに気づいたのか、慌てたように私の腕を離すと、サイラス先生は顔を離し、何事もなかったかのように表情を改めた。私の右手をそっととる。

「オルブライト嬢、あなたは特別クラスです。またお会いできるのを楽しみにしていますよ」

私の手の甲にそっと口づけを落とすと、護衛騎士リックに私を託し、次の生徒の器を調べるために水晶玉へと向き直った。

心の中の叫びが漏れなかったことに安堵する。

手の甲にキスって!!!

ひー。

呆然とする私は周囲の視線を浴びながら顔も上げられずリックに連れられ、特別クラスへ向かうのでした。

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