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プロローグ
人を指差しするのは行儀悪いわ。
なぜか目の前の光景を見て最初に感じたのはそんなこと。
「アンネリーゼ、今日を限りに婚約を破棄してもらいたい。私が愛しているのはこのミリアムただ1人なのだ」
少女を指差しながら斜め前にいる金髪の青年はそう言って、空いてる手で私の腰を強引に引き寄せた。
え?!
「エドワード様、、、」
正面にいる栗色の髪の少女は驚いた表情でフラリとよろけ、隣にいた黒髪の青年に支えられる。
これは一体何事?!
私、さっきまでバスに乗っていたよね。仕事帰りのいつものやつ。
ちょっとうたた寝しただけのはずが、目を開けたらこの事態。
夢でも見てる?妙にリアルなんだけど。
「あ、あの、、、」
私の声に黒髪の青年がこちらをギロリと睨みつけた。
怖いけどめちゃめちゃかっこいい!
なんだこの人。
怜悧な美貌にクラクラする。
青年は抜刀し、その刃を私の方に向けた。
そのまま暗転。
次に目覚めた時、私は記憶そのままに十五歳のミリアムになっていた。