表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職  作者: 鎌霧
21章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

594/614

570話 システムの把握

 このVRローグライクのダンジョン、中々に強敵と言うか、難しい。

 簡単に言えば、上から見ている視点じゃないので、足元のアイテムがどこにあるか、相手との正確な距離、自分の周りの状態等、あれこれの把握がぱっと出来ない。さらに言えば厳密的なマス目での距離ではなく、あくまでも自分の『一手』が相手の動きに連動する。1歩だけ動く、攻撃する、何かしらの道具、装備を使う……そういった行動に連動しているのが中々の曲者。


「ふー……ふー……さーて、どうするかな……」


 様々なローグライクシステムのゲームをやってきたが、これは中々に難度が高い。回復アイテムや補助アイテムなどはあるが、合成は無し。防具に関しては体用の物だけで、ガンベルトなどの補助装備はまだ見つけていない。銃弾も今の所落ちているのを見ていない。この状況だけで見れば杖アイテムだけで突破しろくらいだからそこまできついもんではない。


「向きを変えるのだけは一手じゃないのは温情か」


 基本的に突っ込んでいってやばいから引く、こういうローグライクでありそうな状況で対応しにくいのが今回のダンジョン。そもそも一人称視点のゲームでローグライクなんかやらせるんじゃないって言われればその通りなんだけど。


「レベルとステータスは据え置きなのはありがたいけどなあ」


 あれこれツッコミどころはあるとして、そういう文句は後で。今は目の前の状況をどう切り抜けるかがポイント。

 前に3体、後ろに1体。通路は前後だから逃げるなら速攻で後ろのを倒して通路に逃げ込めば良いんだけど、それをするには不安材料が多め。攻撃の命中率もしっかり設定しているから、撃ったら明らかに銃口との向きと違う方向にすっ飛んでいく時が2割くらいある感じなので、それで倒しきれなかったときがあったりする。


「とは言え、動かなきゃ動かないんだけど」


 フロア3、まだまだ2階層上がっただけだが、そこそこ強い奴がちらほらと出始めているので油断も出来ない。目の前にいるのはとりあえず、倍速1回攻撃のイタチみたいな奴、こっちの攻撃力を下げてくるキノコ、前の1と後ろの1は2足歩行のモグラで、最初に会った奴よりも1段階強い。


「たった2階層上がっただけでレベルアップしたの出るのおかしくね?」


 とにかくここをどう切り抜けるか、手持ちの銃は何丁かあるし、汎用アイテムもまだ在庫はある。速攻で後ろのを倒して通路に逃げ込んで各個撃破するのが、アイテムを節約するパターンの方法。もしくは手持ちのアイテムでさっと離脱する。どっちかになるのだが、手持ちのアイテムに飛ぶ系のアイテムはないので後者はなし。


「此処は、素直に通路に逃げよう」


 くるりと通路側にいたモグラにさっき拾ったショットガンを取り出してぶっ放す。何とも言えない獣のような咆哮が響くとモグラがあっさりと消えていくので通路の方に歩き出す。ダッシュと言うか走ると距離感がおかしくなるのでこういう時にはあんまり多用できない。時間はかかるが、しっかり1歩ずつ動いた方が事故は少ない。


「それにしたって強力な銃ほど残弾少な目に設定しているのはバランス調整なのか、嫌がらせなのか」


 こういう時の運営は恨むわ。


「牛歩戦術なんて電車ゲーの時に使って以来だっての」


 通路の方に歩きつつ、立ち止まり振り返って相手の詰め具合を確認。流石に倍速行動してくるやつは通路に逃げる前にこっちを殴ってきそうなので迎撃しないといけない。まだそこまで強敵というわけではないが、こういう積み重ねでダメージをもらい続けていると思わぬところでやられる場合もあるし、危険は少しでも減らしておきたい。


「微妙にショットガンの射程じゃないっぽいのがやなところ」


 インベントリを開いて拾っておいたハンドガンを取り出し、狙いをつけて1発。銃声をがんがん響かせても問題ないってのはいつもよりも簡単と言うか楽な部分ではある。っていうか幽霊に実弾あたるのか?って思ったけど、その辺は流石にゲームをしているだけあって普通に当たってくれた。余計な属性要素を入れてシリーズにとどめを刺したりするからその辺も考慮してたのかな。


「ハンドガン直撃で2発じゃないと倒せない相手か?」

 

 いつものように消えないのでそこそこ耐久はあるっぽい。一旦通路側を見て、特にモンスターが来ていないのを確認してからもう一度狙いをつけて1発。銃口はまっすぐだって言うのにあらぬ方向にすっ飛んでいったので1発無駄な上に、一手損する。残りのやつらも距離は詰めてくるし、倍速のやつはあと1回でこっちを殴ってくる距離まで来ている。


「んー……倒すか」


 もう1発と言うところで、残弾が空になってるハンドガン。こんな時に試すもんじゃないけど、幽霊に向かってぶん投げてみると、直撃して消えていく。銃の威力は投げても反映されるっぽい。弾拾えてたらまだ良かったんだろうけど、今のところ見つけてないので、インベントリ圧迫するものはさっさと消化。


「よし、これで等倍、あとは通路に逃げたら各個撃破なり逃げるなり」


 そこからはスタスタ歩いて通路に出る。そこそこの距離があったので、通路までは認識しない親切設計で、追ってはこない。


「ふーい……やりごたえのあるこって……」


 とりあえず大丈夫なのを確認したのち、逃げ込んだ通路から部屋の様子を見ながらどうするか考える。逃げ込んだ通路はさっき通ってきたルートなので、大きめに迂回しないと未探索エリアに行けない。かと言って今突っ込めば、2回くらいは殴られる。足踏みしてターンスキップするって方法もあると言えばあるが。


「低階層で慎重になりすぎてる気もしないでもない」


 序盤で稼いで後半は階段即降りが鉄板だけど、戦闘が増えれば弾は減るので銃を拾えるかどうかもかかってくる。こんなことなら銃を使わないスキルもうちょっと取っておけば良かった。AIディレクターが優しさ見せてアイテムドロップなんてこともないだろうし、やっぱりちょっとリスクは取るべきか」


「はー……大変だこと……」


 思っている以上にのめり込んでいるには事実だが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 [一言] 一人称での足踏みスキップ、想像したらシュール過ぎた
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ