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最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職  作者: 鎌霧
19章

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517話 真っすぐ行って右ストレート

 片腕だけ、利き腕じゃないって条件付きだけど、戦力が増えたことには変わりなく、前で攻撃をいなしてくれるだけでこっちが攻めに転じられるようになったのはデカい。が、弾やら回復のリソースを削られまくったのを考えるとぎりぎりな感じはあるが。


「大振りとサポート殴り、大振りを相手するから後ろを叩け」

「分かった」


 駆けつけてから数度の打ち合いをした後、指示を飛ばして動きの限定化。何度もカコルを倒せるチャンスはあったが、そのタイミングをずっと潰されてきたわけで、それさえなければさっさといける。


「時間とリソースを削られすぎた、他の所も人数差でやばいはずだから一気に行くぞ」

「全く、怪我人に無茶をさせおる」

「お前が下手こいただけだろ」

「不利相手に頑張ったろう」


 確かにまあ、それはそうだけど、利き腕やられてたらダメだろうに。

 そんなくだらない言い合いをしながらカコルの大振りをいつもの如く避け、射撃。さっきまでなら此処で障壁を張られて直撃せずだったが、関口がガヘリスを止めてくれるおかげで一発一発確実に入れることが出来る。こうなったらこっちが負ける要素は殆どない……と、思いきや、利き腕じゃない分、ガヘリスの奴相手にそこそこ苦戦している。


「本気でやばいかもしれんなあ……」


 追撃の大振りを避け射撃。障壁は来ないので撃たれるとあうあうと呻いて動きが鈍る。こうなったら一気にガンカタを使っての接近戦を仕掛け、でかい得物特有の接近戦が苦手なのを付いて接近してバシバシと格闘と射撃を撃ちこんでカコルを攻め立てる。


「いで、いでで」

「ああ、もう丈夫すぎでしょ!」

「取り得だから?」


 これだから脳筋ビルドは面倒なんだ……と、言いたいところだけど、高耐久の相手に関してはガンナーの得意なところ。固定ダメージって本当に凶悪な要素だわ。結局のところ障壁とカットインが面倒なだけであって大振り大味な相手には負けないって事よ。数度のかち合いをした後、あっさりとポリゴン状に消えていくカコルを見届け、大きく一息。


「おい、そっちは」


 ガンカタ使った後の疲労感を覚えながらちらりとガヘリスと関口の方を見ると、思い切りぶん殴られたのか横たわっている関口、肩口を抑えているガヘリスが撤退していくのが見える。


「1人沈んで、それなりに弾使わされて2人か……まー、上出来っちゃ上出来だな」

「良い所でやられてしまったよ」

「ご褒美は私と喧嘩だからな」

「楽しみにしておくかの」


 かっかっかと笑いながら消えていくのを見届けてから撤退していったガヘリスを追い始める。あいつがこのまま回復役として復帰すると面倒すぎる。


「ああ、もう、走らせやがって……!」


 リアルの体が疲れるわけじゃないけど、手間取らせる事を選択するとは。本当に私のリソース消費と足止めがメインで他の連中は適当にあしらえば大丈夫、なんて事を思ってるんだろうか。って言うか足はえーな、あいつ。


「クソ、前衛を担えるってのもあって足回りもスキル取ってたか……機動力の高い殴りヒーラーって厄介すぎる」


 ずっと走れるから横っ腹が痛くなることもないんだが、単純に足の速さが向こうの方が上ってだけだ。あー、やめやめ、深追いしてやられたら何の意味もないし、他の連中の所に合流した方がまだいい。

 歩みを緩め、一息入れるため煙草を咥えて火を付ける。こういう時にせかせか戦う訳じゃなく、状況を見て息を入れれる方が長続きするってもんよ。とりあえず大きく煙草を吸って紫煙を肺に入れてから大きく吐き出す。


「これでもあと8人、こっちは6人……次の相手次第、残り6人がどういう相手なのか……」


 少しだけ一服した後、煙草を咥えたまま先に進もうとした時に何かの気配を感じ足を止める。その瞬間、煙草の先が吹っ飛んで宙を舞う。斬撃とも射撃とも言えない、何か見えない何かが横切った……ような気がする。

 

「あーら、こんな所で奇遇……って訳じゃないわねぇ」

「ほんと、あいつの人脈どうなってんだよ!」


 切り捨てられた煙草を吐き捨てていると、障害物の裏からぬっと出てくるのは筋肉モリモリのマッチョマン。そういえば自分で素材を集めに行くとか言っていたな、こいつは。


「薫まで連れ出すって本気すぎるだろ、あいつ」

「自分で作った防具の性能を本気のアカメちゃんで試そうって言われたら、ねぇ?」


 でかい体なのにくねりと女性らしい動きをしながら目の前に現れる、裁縫クランのマスター。こいつはこいつで何を使って、どういう感じの戦闘スタイルなのか全く未知数なんだが?いや、金髪エルフの菖蒲もそうだったけど、糸系っぽい感じはあるな。


「今まで散々使用感を教えてたろう?」

「この手で、この目で見るのも大事じゃないのぉ」


 ざっと腰を落として歴戦のプロレスラーみたいな構えをしてくるのだが、多分ブラフ。じゃないとさっきの攻撃の説明が付かない。格闘戦もやりますって事なら別なんだろうけど。手は大事にしそうだからいきなりぶん殴るって事はしないような気もする……。


「おらぁ!」


 いきなり走りだしてきての右の真っすぐ。銃も刀も構えられないから咄嗟に腕でガードするけど、思い切り吹っ飛ばされてごろごろと転がる。急なパワータイプやめろよ。って言うか、脳筋ばっかり揃えすぎだろ。もうちょっと魔法型やら射撃型の相手ともやってみたい……訳でもないわ、相手しやすい奴とやり続けたい。


「速いし重いし、急に攻撃するし……むかつくわ」

「ふむふむ、しっかり防御力はあるわねぇ」


 メモ帳開いてあれこれ書き込んでるのを見ながらため息一つ。本当にモニターしに来ただけかお前。


「でも、アカメちゃんを叩けって言われてるから、そこはきっちり相手しないといけないのよねぇ」

「オールスターで襲い掛かってきやがって」


 ぷっと血反吐を吐いて一息。無駄にリアリティある要素いれやがって。


「文句ばっかり言い始めたら、末期だわ」


 ふらつきながら立ち上がりハンドガンと刀を抜いて真っすぐ正面を向く。バキバキと骨を鳴らして次も殴りますみたいな感じに構えている訳だが、裁縫なんて細かい事をしているからもうちょっとテクニカルな事してくると期待したのに。


「あの犬畜生、絶対倒してやるからな」


 こっちももっと人脈使えばよかった。

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