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最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職  作者: 鎌霧
16章

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413話 エリア4

「まあ、及第点だな」


 煙草の灰を落とし、すぱーっと大きく紫煙を吐いてから私の前にいる4人を見つめる。何で1人増えているのかは良いとして、あれからボスを難なく……とはいけなく、最後の最後で攻めきれなく、ぐだついた。それもひどい物で、シャールが崩れかけたせいで、それをカバーしようとアオメが雑魚への攻撃の手を緩めた。そのせいでサンダースと後ろにいた銀髪の行動に淀みが出てると言う大失態……ではないが、危なかった。


「……悪かったな……」

「サンダースとそこの銀髪は安定していたというに、もっと状況や状態を見てだな」

「すいません……」


 傍から見たら完全に圧迫面接。戦犯ではないが原因を作った2人が、大股開いて自分の膝に寄りかかりながら眉間に皺を寄せて睨みつけている相手に対して正座でお説教を受けているのは、中々にない絵面だ。


「それで、そこの銀髪は何でいるんだ?」

「此処から先に行くために、一番勝てそうなパーティと一緒になりたいっていう欲求」

「狙撃能力は随一でしたよ!」


 それは知っている。戦闘開始から全くもって微動だにせず、同じ場所から撃ち続けていたのでかなりの胆力があるのは分かる……いや、それしか出来ないって可能性もあり得る。そうなった場合、それしか出来ないのにどうやって此処まで来たのかって話にもなり、ソロの立ち回りが謎過ぎる。


「そして何より……私は、役に立つ女だ」


 片方だけの目でこっちをじろりと見てくる。この自信や根拠がどこから出てくるのか……と、思ったが、何となく私と同じような感じがある。


「他の3人は?」

「俺は構わねえぞ」

「右に同じく」

「戦力アップはいいですね!」


 まあ、私としても戦力が上がるのは良い事だし、次のエリアがどうなっているか分からんからこの辺りで戦力確保は良いタイミングか?ただ移動中どう戦うのかが不明瞭なので、下手したら介護必須って可能性もあり得る。ただ、あれほど私の事を調べている奴だ、普通ではないってのは確定済み。


「付いてくる条件は1つだけ」

「足を引っ張るな」

「なら行くぞ」


 やはり私の事をよく分かってる。


「さてと……様子見したうえでエリア4か」


 パーティの加入申請を飛ばしてやるとすぐに受理してくるのでこれでパーティ会話が可能に。すぐさま何回か会話を交わして問題ないのも確認。祭壇の場所は既に分かってるので、前3枚後2の編成にして強行軍、私、シャール、サンダースが前で後ろにアオメとベギーを据える。流石に前衛の破壊力が高いのであっさりと祭壇まで到着、いつも通りに手をかざすと転移開始。





 そんなわけでサクッと転移完了。

 相変わらず変わり映えのしない森の中……ではなく、がっちりと石造りの遺跡に辿り着く。


『これはまた、雰囲気がらっと変えてきたな……気を付けろよ』

『隊列はどうします?』

『私が前、サンダースとベギーが中、シャールとアオメが後だ』


 がっつり一番後ろで戦うであろうベギーはしっかり中に入れて死なない様にしておく。流石に全部伏せ撃ちするしかないわけじゃないだろうから、どうにかはなるだろう。弱いなんて散々言っていたサンダースも並みのガンナー以上の強さはあるし、SMG特有の取り回しの良さと装填のしやすさがあるから組み合わせとしては良い所だろう。シャールとアオメに関しては、言い合いながらも連携がしっかりとれるようになっているし、このまま行けば上位には……上位には?

 いや、進行が遅れてる。エリア3のボスを倒した時はたまたま前のパーティが下手こいて全滅したけど、私らよりも先に進んでボスを倒している奴がいるなら負ける可能性は大いにある。襲撃休止中の今だと後続もがんがん来ているわけだし、序盤のゆったり速度じゃヤバい。


『ペース、速めないとまずいかもな』

『私がダンジョンアタックしたのは、1回目襲撃の後だけど、その時で数人、数パーティは見ている』

『なら先行組は予想よりいるって事か』


 本当に勝てるんだろうか?

 どこまで進んだらいいかもわからないうえに、どれだけ人数がいるのかも分からない。適度にサンダースから情報を共有しているとは言え、全体像を把握するって言うのは難しい。本当はもうダンジョンクリア済みで、稼ぎに入っている奴もいるかもしれん。あのクソムカつく奴も下手したら先に行っている……訳はないわ、ただただアホなだけ。


『まあ、取り合えずはやってきた雑魚を倒すのに集中した方がいいかもしれませんね』


 アオメがそう言うと共に、全員がトラッカーを使って索敵。

 進行方向右側から大きめのモンスター。モンスターと言うかゴーレムだな。少し大きいレンガ造りの人型兵器……と、思っていたらいきなり目の部分が光り、ビームの溜め準備。慌てて散開しろと合図を出すと共に、ピシュンと音が鳴りビームが飛んでくるので慌ててガンシールドで受けてしまう。

 直撃して貫通してくるかなと思ったら当たった瞬間に爆発が起きるので、ガンシールドを前面にしたままで堪えつつ後ろに吹き飛ばされる。


『クソ、受けてもダメージ高いな』


 ガンシールドの表面が焼け焦げて、その匂いを辺りに撒きつつ、後ろの4人に促す。

 流石に的が大きいので一斉射撃をすればするほど体が崩れて、殆どなぶり殺しのように片付いて行く。


『威力の割には弱いですね!』

『ガンナーは数が揃ったら強いのは常識だろ』

『大体こういうのは、数を揃えて来るのが鉄則』

『……そんな事言ってたら来てますよ!』


 さっきよりも小型になったゴーレム、人型と言うよりも、円柱に4つ足が付いた感じの物がわらわらと出てくる。攻撃手段は勿論ビームだが、細かく連射してくる。とりあえず全員が沸いてくるゴーレムから射線を切ったうえで射撃戦を開始する。

 それにしてもこいつらのやらしい所は手数の多い遠距離攻撃じゃなくて、命がない人形扱いなので、ダメージを食らおうが、何しようが前進してきて攻撃を続けてくる所だ。しかも数も多いからこっちの手数が少ないと押し込まれて逆に滅多打ち。


『結構本気だと思ってたが、それ以上に相手も本気って事か』


 いつものようにインベントリから煙草を出し、飛んでくるビームで煙草の先に火を付けて一服しつつ、少しずつ捌いて行く。

久々の肉体労働で体ばっきばき

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