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聖銀と巨大都市《メガロポリス》  作者: 久野 貴文
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3-3.再会

 爽やかに揺れる草原に、練習用の剣が打ち鳴らされる音がずっと聞こえていた。それは僕とソフィアによってつくられる音で、この場所では鳥の鳴く声と同じくらいに有り溢れているものだった。

 近くにはアーロンがいて、僕達の模擬戦を真剣な眼差しで見守っていた。いつでも模擬戦を中断出来るように気を張っているのが見ていなくても分かった。

 ソフィアが剣の訓練に参加したのは一年前からの事だった。最初はただソフィアは、他の人が持っている物を欲しがるのと同じ様に、剣の訓練をしたいと言っているだけだと僕は思っていた。時間が経てば勝手に収まるものだろう、と。

 しかし、ソフィアの情熱は意外なほどに長続きした。ソフィアは今迄見たことの無いやる気を出し、爺様に剣の訓練を認められる程に勉強した。

 剣を訓練し始めてからもソフィアの剣術に対する熱意は冷めなかった。ソフィアはあっと言う間に技術を吸収して、僕はいつかソフィアに追い抜かれてしまうのではないかと、夜も眠れない日々が続いていた。

 そして最近になって、アーロンは僕達に模擬戦をさせ始めた。最初は訓練の差もあって悠々と勝っていた僕だったが、ソフィアはみるみるうちに上達した。今では少しでも気を抜けば簡単に初めての黒星がついてしまいそうなくらいだった。

 技術や模擬戦の数ではまだ僕がソフィアに勝つことが出来ていた。しかしソフィアは他の全てで、既に僕に勝っていた。その一つに、ソフィアは模擬戦での類稀な直感の良さがあった。そしてその直感を信じ、実行に移せる思い切りの良さがソフィアにはあった。行動が前もって読まれた様なその感覚に、僕は何度冷や汗をかかされたか分からない。

 もう一つに、ソフィアには力の強さがあった。これは感の良さだとか技術だとかそういう話では無い。一番単純な筋力の話だ。

 ソフィアは力が強かった。体は僕より一回り小さく、外見は全く筋肉質に見えないのに、僕より圧倒的に力が強かった。鍔迫り合いになれば必ずソフィアがその力強さを生かして、押し勝った。剣と剣がぶつかり合えば僕の剣はいつも弾き飛ばされていた。

 ソフィアの力は時にアーロンよりも強いと思える程だった。それをアーロンは当たり前の話だと言った。ソフィアは確実に人喰いとしての力を持っていた。

 僕はその時、初めて人喰いが羨ましいと思ってしまった。





 この模擬戦も僕は苦戦を強いられていた。ソフィアの剣は素早く力強い。僕はそれを躱したりいなしたりしながら、反撃の機会を窺っていた。しかし中々それは現れない。反対にソフィアは縦横無尽に剣を振るい、油断すればこちらに隙が出来てしまいそうだった。

 ソフィアのこの攻撃をどう攻略すれば良いか、悩んでいる僕の思考を打ち切る様に、ソフィアは真っ直ぐな剣撃を放ってきた。僕はそれを横に避け、剣を振り切って隙が出来たソフィアに素早く剣を振った。

 しかしソフィアの剣はいつの間にか体の近くまで帰って来ていて、僕の攻撃は敢え無く防がれた。やはりこの程度の隙ではソフィアに防がれてしまう。もっと大きな隙でなければ、ソフィアには届かない。

 僕はソフィアの嵐の様な攻撃を躱しながらその好機を探った。しかし、ソフィアのそんな隙は中々現れてくれなかった。しかもこのまま来るか分からない好機を待つ間に、着実に僕の体力は削れていっていた。ソフィアは体力も無尽蔵だった。早くどうにかしなければいけない。

 やはり、好機というのは自分でつくり出さなければならないようだ。僕はそれに気づき、どうにかソフィアに隙をつくろうとする。

 僕はまず力を抜いた、偽の攻撃をした。

 ソフィアはそれを横にステップで避けた。その避ける途中のソフィアに、僕は待ってましたと言わんばかりに渾身の力で剣を横に払った。ソフィアの顔が一瞬だけ苦々しいものになり、ソフィアはそれをなんとか自分の剣で無理矢理受け止めた。

 しかし受け止めはしたものの、それによってソフィアの体勢は崩された。僕はソフィアに息つく隙すら与えまいと、弾かれて戻って来た剣で今日一番の鋭い袈裟斬りをした。

 この攻撃に対してソフィアの今の傾いた体勢は悪過ぎて、避けることもままならなかった。受けようにもこの体勢で受ければ、いくらソフィアのと力が強くとも地面に倒れることになる。僕は勝ちを確信した。

 しかし、ソフィアはそのどちらの行動も取らなかった。ソフィアは体勢を取り戻すのではなく、逆に体を地面に倒す様にして僕の剣を躱した。

 剣を空振って動揺している僕の視界の下の方に、手足を地面について、そこから狼の様に突進して来るソフィアの姿が見えた。

 ソフィアの剣が僕の胴体に迫る。僕は咄嗟に剣を自分の体に引き付け、そして剣と剣とが激突した。

 ソフィアのその体躯から出たとは信じられない力は、十分にソフィアの剣に伝わっていて、そしてその力は僕の剣を通じて僕の体が余すところなく受け取った。斜め下からの力は当然の如く上に向かう力であり、重力より強いそれは僕の体を宙に浮かせた。

 あまりの衝撃の強さの為に出来た意識の空白は、地面との衝突で取り戻された。僕は地面を転がった。手元を見ると僕の剣は途中で真っ二つに割れていた。

 「そこまで、ソフィア様の勝ちです。」

 「やったぁ!」

 僕はふらつきながら立ち上がった。僕の初めての黒星だった。

 「やっぱり強いね。ソフィアは。」

 「ルークの方が強いよ。今日はちょっと私の運が良かっただけ。」

 座り込んでいた僕の前に手が差し出された。見上げると丁度太陽がソフィアの後ろにあって、僕は思わず目を細めた。

 その手を取ると僕の体は勢い良く引き上げられる。立ち上がると僕の目の前にソフィアの頭の天辺があった。それは僕の目線の少し下にあった。けれど僕はそんな少女に負けてしまったのだ。練習している時間も圧倒的に僕の方が多い筈なのに、負けてしまった。

 「さぁ、ルーク様。ソフィア様。そろそろ戻りましょう。少し早いですが、今日は昼の食事会もありますからね。」

 「はい。」

 「は〜い。」

 僕は自分の感情が悟られない様に、いつも通りに振る舞った。ソフィアに負けた事よりも、今この胸の中にある感情をソフィアやアーロンに知られる方が僕は恥ずかしかった。





 大テーブルの周りにはいつもの面々が揃っていた。僕とソフィア、爺様に婆様、そしてクリフトさんだ。勿論、部屋の中にはアーロンもいる。

 僕達は朝食を摂っていたが、皆の様子は少しいつもと違っていて、皆少し急いでいる様な印象を受けた。特に爺様はそれが顕著だった。その証拠に、いつもは食事の後に会話を設けるのが爺様のやり方だったが、今日だけは食事の途中で話を始めたのだ。

 「さて、ルーク、ソフィア。今日の準備は大丈夫ですか?」

 「ええ、勿論。この日をずっと待っていたんですから。」

 「そうですね。結局、ここにエミィを招くまでに三年程かかってしまいましたからね。貴方達には随分と待たせました。」

 そうなのだ。とうとう今日、エミィがこのメルガス神殿の土を踏むのだ。爺様が言うには様々な人物が来る食事会に憲兵団の要職も呼び、それにエミィを連れてこさせるという方法を使ったらしい。その為僕達がエミィと話せる時間はあまり取れなかった様だ。

 しかしどれだけ時間が短ろうと、エミィがここに来る事に違いはない。僕とソフィアはこの神殿をエミィに見せて周るつもりだった。

 僕達は朝食が終わると各々で食事会への準備をした。僕とソフィアは訓練での汚れを落とした後に、部屋で礼服に着替えた。そして一通りの準備が終わると、僕とソフィアは雑談しながら、エミィの到着を今か今かと部屋で待ち続けた。

 僕達は昼前にアーロンさんに呼び出された。憲兵団の馬車が到着したということだった。僕達は小走りになりながらエミィを出迎えに行った。





 僕達が神殿の玄関口前に辿り着くと、そこには五人の人物と話す爺様がいた。話している五人を見ると憲兵団の一行だとすぐに分かった。憲兵団の団長であるローガン・グレイランは遠目で簡単に分かる程の大男だったからだ。

 ローガン様の後ろにいたのは、エミィ、副団長、そして名前を知らない男女だった。エミィ以外は全員が憲兵の軍服を着ていたが、エミィだけは真っ白で涼しげなワンピースのドレスだった。

 その白はエミィの金髪をよく映えさせていて、僕はそれを綺麗だと思った。しかしエミィの腕には地味な色の外套が掛けられていて、それがエミィにとって絶対に必要な物だと分かっていても、僕はそれだけが残念だった。

 「おや、ルーク。ソフィア。来ましたか。」

 「遅れて申し訳ありません。……お久しぶりです。ローガン様。」

 「ああ、半年ぶりか?」

 「ええ、そうですね。……エミィもお久しぶりです。」

 「うん。久しぶり、ルーク。」

 「さて、食事会まで少し時間がありますね。そこでエミィちゃんを私達に預からせて頂けませんか?ルーク達がここを案内したいと言うのでね。」

 爺様がローガン様にそう提案した。僕はどんな返事が来るか緊張しながら耳を傾けた。話は通っている筈だったが、もしこれで断られたらどうしようかと僕は不安で不安で仕方なかった。

 「ああ、構わない。勝手に連れて行ってくれ。」

 その言葉を聞いて僕はほっとした。僕達は問題無くエミィにここを案内出来るようだ。

 「ありがとうございます。それではこちらへ。時間はまだ早いですが、お見えになっている方も多いですよ。……ルーク。ソフィア。失礼の無いように案内してあげなさい。」

 爺様達はそのまま中庭にある会場の方へ行ってしまった。ここには僕とソフィアと、エミィだけが残された。僕はエミィを今一度見遣(みや)った。

 「本当に久しぶりだね。」

 「久しぶり、エミィ。」

 先程まで僕の背に隠れていたのとは打って変わって、ソフィアは僕の前へ出てエミィに言葉を投げ掛けた。

 「うん、久しぶり。ソフィア、ルーク。」

 「今日は僕達がここを案内するから。」

 「エミィはちゃんとついて来てね?」

 「うんっ。」

 僕達は爺様達とは反対の方向に歩き始めた。いつもなら僕達の周りにはたくさんの大人達がいたけれど、今回だけは周りに見える大人は一人もいなかった。

 「エミィ、その荷物僕が持つよ。邪魔だろう?」

 僕はエミィが手に持っている外套を指差した。

 「え?……ああ、大丈夫だよ、ルーク。このくらいなら大丈夫。それに、この外套は私にとっては命綱みたいな物だから。」

 僕はその言葉に納得してしまった。吸血鬼であるエミィにして見れば、外套は只の衣服ではなく、昼間の光から身を守る防具でもあるのだ。

 エミィが手ぶらで自由に歩いているところを見たかったけれど、僕は諦める事にした。

 「ここも日の光が入ってるけど、大丈夫なの?」

 「直接当たらなければ大丈夫だよ。心配してくれてありがとう、ソフィア。」

 「本当に大丈夫?今は日差しも強いし、辛くなったらいつでも言ってね?」

 「本当に大丈夫だから。昼間は太陽が真上にあるから防ぐのも楽だしね。寧ろ朝日や夕日の方が大変かな。外套を被っていても太陽のある方に向けなくなるからね。……だから、本当に大丈夫だよ。さっ、行こう?」

 「……うん、じゃあまず神殿に案内するよ――」





 僕達は雑談をしながらゆっくりと歩いた。通路はいつもなら渡るのすら退屈な程長いのに、今日だけはやけに短く感じられた。僕達は一つの話題を話し終わる前に神殿の大きな扉の前に着いてしまった。

 「ここがメルガス神殿の聖堂だよ。」

 僕はそう言って僕の背の何倍もある大きな扉を開けた。扉を開けるときの手応えはその見た目に相応しい重さだったけれど、特に引っ掛かることなく滑らかに扉は開かれた。

 聖堂の中は庭付きの家がすっぽり入ってしまう程大きかった。そのあまりの大きさの為、ここの聖堂は他の床が平面の聖堂と変わっていて、浅いすり鉢状の構造になっている。こうでもしなければ端の方の人は真ん中を見ることが出来ないのだ。

 天井を見上げると一番奥にある祭壇の真上に、空に突き出す様な塔の内側が見えた。その塔の側面には全方面全てに採光窓が取り付けられており、光は石材に反射しながら聖堂全体を明るくしていた。

 僕達の足元に直接落ちる光は1つも無かったが、それでも聖堂の中は不思議と明るかった。それは壁や天井をつくる材質の為なのか、それとも構造に秘密があるのか僕は知らなかったが、ともかくここは明るかった。そして吸血鬼に優しい場所でもあった。

 僕は態々直接日が当たらないようになっているこの場所に来ると、ふと思う事がある。もしかしたら、ずっと昔は人間と、少なくとも吸血鬼は共に暮らしていた時代があったのではないか、と。

 この神殿は遠い昔、少なくとも吸血鬼の王が現れるより前に建てられた物らしい。今は一つも記録は残っていないが、もしかしたらこの神殿は人間と共に吸血鬼も一緒に祈れるように造られたのかも知れない。この場所はそう思わせる程日が直接当たらず、だが人間が見えなくなる程暗くない。

 勿論、証拠は無い。けれど僕は思うのだ。もしかしたら、そういう時代があったのかも知れないと。

 「わぁ……」

 「どう?広いでしょう?」

 「ソフィア、他の人もいるから、静かにね。」

 「は〜い。」

 周りには数人が掃き掃除をしていて、それは全てが人喰いだった。神殿は人間と彼等で管理しているのだ。

 「私が見た……どの部屋よりも広いね。……ねぇ、少し見て回ってもいい?」

 「いいよ。でも、海には入っちゃ駄目だよ。」

 「海?」

 「一番下の丸いところだよ。そこは神官と死者しか入ったら駄目なんだ。」

 「どうして海って言うの?」

 「えっとね、周りのところが大陸で、この真ん中の通路が河で、そして奥の祭壇が神様のいるところでね。それで神様のいるところへは死なないと行けないから、生きている人が行っちゃ駄目なんだって。」

 「神官の人は行っていいの?」

 「神官の人は、少しだけ神様にお話しするときだけ、そこに行くんだって。」

 「ふうん。」

 僕の説明役はソフィアに取られてしまった。僕ばかりが説明していたので、自分もやりたくなったのだろう。

 しかし、説明役は譲ってしまったが、少しだけ間違えた部分の訂正だけはさせてもらおう。

 「ソフィア、神様と話す為じゃなくて、お願いする為、だよ。神様にお願いする為。」

 「そうだっけ?」

 「エミィが間違えて覚えたらどうするんだ。」

 「ごめんなさーい。」

 「……仲が良いんだね。」

 エミィのその言葉は溜息を吐く様に静かだった。

 「そんなに仲良く見えるかい?」

 「うん、とっても。」

 エミィは今度はしっかりと肯定した。その力強さに僕達は少し照れてしまった。





 それから僕達はエミィの気が済むまで、神殿内を見て回るエミィに付いて歩いた。一回りすると、エミィは満足した様だ。僕達は今度は中庭をエミィに見せることにした。

 その旨を伝えるとエミィはずっと手に掛けてあった外套を被った。今度こそエミィのドレスが見えなくなって僕は心の中で大いにがっかりした。

 そんな気持ちは押さえつけて、僕は神殿の扉を開けた。通路へ僕達が出ると真正面にもう一つの扉があった。僕はまたそれを開けた。すると、僕とソフィアがエミィにどうしても見せたかった広大な中庭が僕達の目の前に広がった。

 「……どう?驚いた?」

 「うん。……凄く、綺麗な場所だね。」

 エミィは呟く様に言葉を零した。

 「草原の上に花畑があって、湖があって、街中にいるとは思えない。」

 エミィの素直な賛辞の言葉に、僕達二人は顔を見合わせて喜んだ。生まれたときから知っている心の憩いの場所を友人にも認められて、今迄の会えなかった分の心まで満ち足りた様だった。

 エミィはずっと出入り口のところで立ち尽くし、中庭の景色を眺めていた。けれど僕はもっとエミィにここの景色の素晴らしさを知ってもらいたいと思った。色とりどりの花畑も静かな水面の湖も、近づいて見ればまた違った趣のある風景になる。それにここからでは分からない、この中庭の一番大きな木の影に入って見る、草原に浮かぶ神殿の美しさも見てもらいたかった。

 それで僕は早くエミィにその景色を見て欲しいが為に、外套の中に隠されたエミィの手を取った。そして驚くエミィに見向きもしないまま、僕はエミィを外へ連れ出した。

 何故、エミィが外套を被っているか、なんて事など一切忘れて、エミィを心地良い日光の元へ、僕は連れ出してしまった。

 僕の手の方で嫌な音がした。普通ならそれは嫌な音ではなかった。けれどこの場所で聞くにはあまりに不自然で、心臓を掴まれるかの様な音だった。

 僕が掴んだエミィの手は、その皮膚を守る一切の衣無しで光の元に晒されていた。白い僕の手のすぐ隣で、エミィの手は真っ赤に焼けていた。

 「あっ……」

 僕が取り返しのつかない事をしてしまったと息を漏らす前に、僕の手からエミィの手は離された。エミィは自分の焼けた手をもう一つの手で押さえていた。

 「ご、ごめんっ」

 「何やってるの、ルーク!」

 「大丈夫、大丈夫だから……」

 「大丈夫な訳ないよ、その火傷……」

 エミィの手をもう一度見ると、確かにその火傷は綺麗さっぱり消えていた。エミィの綺麗な手がそこにはあった。まるで一瞬の間だけ、悪い夢を立ちくらみの様に見たようだった。

 「ほら、ね。大丈夫でしょ?私は吸血鬼なんだから、このくらいなんて事無いよ。」

 『私は吸血鬼なんだから』その言葉が僕の耳から奥まで響いて、脳にじっくりと染み渡った。僕の額から冷たい汗が流れた。

 「本当にごめん。」

 「本当に大丈夫だよ?だから、気にしないで?」

 僕達はそれから中庭を見て回った。エミィは景色に対して驚いてくれたが、僕の心がそれで浮き上がることは無かった。ずっと僕の心の中で、罪の意識が膨れ上がっている様だった。

 僕達は中庭を見終わり、食事会の方に合流しようかとするところで、アーロンに呼び出された。僕達とエミィが三人で話せる時間は終わってしまった。

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