30★忘れ物
10万文字突破記念なので短いです(笑)
「おかえり。遅かったわね、聖。お母さん、聖の好きなアップルパイ焼いて待ってたのよ? 今日は部活ないんじゃ……」
「お、お母さん……! た、ただいま。部活は……そう、部活の子と話していただけよ! す、すぐ着替えてリビング行くから!」
「……そう。良かったわ、なじんでるみたいで。休学期間が長かったから心配で……。あら、どうしたの? 大事そうにバッグ抱えて」
「えっ? や、やぁね、大事な物なんて一つも入ってないわよ! 誕生日プレゼントくれる人なんていな……いないもの! プレゼントなんてひと……一つも入ってないわよ!」
「最近嬉しそうに帰ってくるから、いいお友達でもできたのかと……あら、あなた手袋は? どうして左手しかしてないの? まさか落としたなんて聖に限って……」
「あぁっ! ち、違うの、私が落とすわけないじゃない! わ、忘れてきたのよ、えっと……学校に! ……も、もういいでしょ! 早く着替えたいから、もう部屋に入っていいでしょ!」
「片方だけ忘れてきた? 聖が忘れ物しない子だって、お母さんが一番知ってるのに。聖、あなたちょっと変じゃなぁい? 何か隠し事してるとか……」
「そそそそそ、そんなことないわよ! 私だってまだ高校生だもの。忘れ物くらい……あるわよ……」
えぇ、栗橋さんに貸したままの手袋を返してもらい忘れたわ……。