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プロローグ

説明回。

なろうで他に未完の連載中小説を抱えるにもかかわらず、思いついたら書きたいという悪癖が……。

どうしても最弱と最強を兼ねる主人公が書きたかったんだよ。



 俺、宇藤頼人はトラックにはねられて死んだ。

 そしてその事実を飲み込む前に異世界の女神という奴に謁見し、一方的にこう告げられた。


「申し訳ありません。宇藤頼人さん。あなたは死んでしまい、本来あり得るはずがないんですが私の世界に魂が迷い込んでしまいました。あなたの魂がどこから流れてきたか私にはわかりません。私に出来る事はあなたの魂を私の世界に転生させてあげることくらいのものです。ここであなたに一つの選択肢を与えます。このまま魂が消滅するか。私の世界に転生するかの二択です」


 俺は唐突な選択肢に驚きこそしたが内容自体は迷うことじゃない。


 「転生でお願いします」


「わかりました。ですが注意事項があります。あなたの魂は基本概念こそは私の世界の物と同じですが、この世界で作られたものではありません。よってあなたの魂は私の世界の物と異質な物だと言うことになります。規格の違う魂ですのでなのであなたはこの世界の法則の一つであるステータス恩恵が恐らく一切受けられないと思います。ステータス恩恵は私の世界において人々が生きるための力。何の力もないないまま生きるのは非常に困難だと思われます。なので代わりに一つだけ能力を与えましょう」


 女神がそう言うと、女神の手から光の玉が現れ俺の体へと吸収される。

 それと同時に俺の頭の中に情報が流れ込んできた。


 『パンチ力一億倍……対象に与えるインパクト力を一億倍する。衝撃時の反動は無効化される』


 な、なんだこれ!?


 「どうでしょうか? 私はあなたの魂が尤も望み適合するであろう力を与えました。納得して頂けたでしょうか?」


 「……あ、ああ」


 どう見ても変わり種のスキルにしか思えないが、俺に相応しい形で能力が現れたというならば、俺も何となく納得が出来る。

 俺は前世でプロボクサーだった。

 それも俺はKOファイターではなく判定頼りのアウトボクサ―。

 前世では俺はパンチ力が欲しいと常々思っていた。

 もしこの能力が俺の魂からの渇望だったというならばこのスキルほど俺にぴったりなスキルはないだろう。


 「ステータスを与えられないあなたにはあまり関係ないこと事かもしれませんがこの世界にはステータスというものがあります」

 「ステータス? それってゲームみたいな物か?」

 「もしかしてあなたの元いた世界にもステータスの概念はありましたか? それはどういった物でしたか?」

 「いや、俺の世界にはなかったよ。俺の世界にあった遊びの一種にそれが存在していたんだ」

 「かまいません。その遊びでステータスはどういった存在でしたか?」

 「そうだな。肉体の生命力はHP、魔法力はMP、腕力はATK、頑強さがVIT、素早さがSPD。とまぁざっとこんな感じだな。要は肉体のポテンシャルを数値化した物だった」

 「そうですか。ならばこの世界の物とは違いますね。この世界では肉体の能力にレベルに見合った分だけ数値が付加される形を取ります。確認ですがあなたの知っているステータスの概念ですとHPがゼロになれば死亡と言うことでよろしいですか?」

 「……あ、ああ。この世界は違うのか?」

 「ええ。この世界ではHPゼロになるまではステータス恩恵の保護によって肉体が傷つくことはありません。HPゼロの状態で傷ついて初めて外傷となります。体を鍛えても肉体自体は強化されますがステータスの数値は上がったりしません。総合能力は肉体とステータスの合算だと覚えて置いて下さい」

 「……あ~何となくわかった。要は俺だけ肉体分の能力のみで転生させられるって事だろ。この世界では言うなればずっとHPゼロの状態なわけだ。不服と言えば不服だがそれでいいよ。元の世界とあんまり変わらないしな。一つ聞きたいんだが、MPってあるか?」

 「はい、ありますよ」

 「それは肉体依存か? 丸っきりステータス依存か?」

 「ステータスに付随する能力です。人間の肉体には魔法力を作る器官がありません」

 ……オーケー。どうやら俺は魔法が使えないことが早々に発覚したようだ。

 ならばもう一つ確認しておかなければいけないだろう。なんというか凄く嫌な予感がする。

 「HP回復魔法ってあるか? それって肉体にも効果あるよな?」

 「申し訳ありません。回復魔法はあくまでHPの数値を増やすだけの効果しかありません」

 ……オーケー。怪我をしたら回復魔法では治らないと。


 「大体わかった。最後に生きる上での行動指針が欲しい。何かアドバイスがあるか?」

 「あなたのことはノーシュの街に送ります。比較的大きな街ですので各種ギルドがあります。戦いに自信があれば冒険者ギルドへ、鍛冶に覚えがあるなら鍛冶ギルドへ、あなたに向いた組合に向かってみて下さい。登録料は取られないので心配する必要はないですよ」


 最後に当面の資金として金貨を一枚だけ貰った。

 無駄遣いしなければ二ヶ月ほどは食事付きで安宿で過ごせるらしい。

 「ありがとうございます」

 「……いえ。これくらいしか出来ませんので。それでは良い人生を」


 こうして俺の危機に溢れた異世界生活が始まった。

 

 ……この時の俺はステータスを持たないことがどういう意味を持つのかまだ知らなかったのだ。


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