間話「帰郷」
エル視点です。
セルビア王国を経ってから三ヶ月が経とうとしていた。
馬に乗り走る中、懐かしい風景が映っていく。
前はここからルカルドまで十ヶ月が掛かった。
馬を走らせ六ヶ月で移動できたことを考えると、私の心は締め付けられた。
兄とランドルの二人旅だったら、もっと早かった。
きっと海竜王が航路を塞ぐ前にルカルドに着いて、迷宮に挑むことなくコンラット大陸に渡れただろう。
私の足の遅さが生んだ悲劇だった。
もちろん兄はそんな事微塵も思わないだろう。
多分ランドルですら、何も思っていない。
それでも、自分のせいで兄に迷惑が掛かったと思うと辛かった。
ここに戻ってきたのは安心させる為と念の為だ。
恐らく、セリアお姉ちゃんは北にいたと思う。
冒険者の町があり、予見の霊人がいるのも北方面だ。
思ったより早く着いたので、兄がコンラットの南に転移していないと手紙は届いていないだろう。
そうなると、母が心配だった。
きっと、最初に母に届くのは兄の死の情報だ。
セルビアで生存確認はしたが、今出回っているのは死亡情報だ、すぐに払拭されない。
兄の姿を確認した者もいない以上、信じる者もいないだろう。
噂を聞けば、母が深く傷心して何をしてしまうか分からない。
私達は兄が生きていることを知っている。
家族として、仲間として、伝える義務があるのだ。
それにしても、本当に久しぶりだ。
ここ、カロラスの町は。
いつも兄を待っていた思い出がある門に着くと、馬から降りた。
私達の故郷に約二年ぶりに戻ってきたというのに、懐かしむ会話はない。
私とランドルの無言の空間を壊したのは、懐かしい声だった。
「おーい!!」
遠くの方から赤髪を揺らしながら手を振る剣士の姿が見える。
すぐに分かった。肩まであった髪は短く刈られていたが。
兄がこの町を出るきっかけを作った男、ドールだった。
私が親しくしていたのはカーラだったが、さすがに兄の仕事仲間をないがしろにすることはない。
私達は嬉しそうに駈けてくるドールを待った。
「やっぱりお前達か! 久しぶりだな! いやー懐かしい!
お前らがセルビア王国の王子助けたって町で有名になってるぜ!」
私達に微笑み称えるドールに、私も軽く頭を下げた。
ランドルも、兄といる時以外では久々に穏やかな声色だった。
「久しぶりだな。今まで何も問題はなかったか?」
「そうだな、特に問題もないし平和に暮らしてるよ」
「そうか」
確認するような会話が終わると、当たり前のようにドールが言う。
「アルベルの姿が見えないってことはセリアと再会できたのか。
二人はまたカロラスで生活するのか?」
兄が目的を達成したと思い、またランドルと仕事ができると思っているドールは少し嬉しそうだった。
それはそうだ。誰でもそう思うだろう。
少しの間の後、ランドルが無表情で口を開いた。
「色々あってな。またすぐに発つことになる」
「え? そうなのか? 何があったんだよ」
「アルベルが行方不明でな。ここに来たのは報告みたいなもんだ」
淡々と言うランドルに、ドールは目を大きく開いて驚いた。
本当にこの男は言葉が足らなすぎる。
「意味が分からないぞ。報告って何を……」
「アルベルは死んでねえけど、死んだことになってる。
その内ここにも噂が届くだろうからな」
そう言ってランドルは私を見下ろした。
ここに寄った目的はドールを安心させる為じゃない。
母に心配をかけない為だ。
「お母さんに言っといてあげたいの」
全然内容を説明しない私達にドールは訝しげに首を傾げていたが。
兄が生きてることを知って、不安が払拭されたように言った。
「まだよく分からないけど。この時間ならエリシアさんは診療所だ。カーラもいるし、顔見せてやってくれ」
「カーラさんも診療所で働いてるの?」
「あぁ、一緒に守備隊で働くのは厳しくなってな」
なるほど、何となく分かった。
カーラは魔物との戦闘経験は豊富だし、必要とされる人材だ。
自ら退いたのなら理由は絞られる。
「そうなんだ。今から行ってくるね」
「おう、頼むわ」
それだけ言うと、ドールに馬を任せて久しぶりのカロラスに足を踏み入れた。
二年では町並みは全然変わってなくて、町を出た日と同じ風景だった。
久しぶりに家に帰りたい気持ちもあるが、まずは母の所だ。
しばらく歩いていると、懐かしい声が聞こえた。
私の記憶の中で一番大きい声で、私を呼び止めた。
「エル様!?」
見間違えかと思ったのだろうか、疑問系だったが。
私にはすぐ分かった。
私が小さい時から一切外見に変化がないからだ。
「ルル、久しぶりだね」
私が名前を呼ぶと確信したようで、桃色の長い髪を揺らしながら駈け寄ってきた。
「大きくなられましたね、話は色々と聞きましたよ」
そう言って私を見上げるルルの背丈は小さい。
もう私はすっかり抜かしてしまい、見下ろす形になってしまう。
「うん、ちょっとお兄ちゃんのことでお母さんに話があったの」
「はい。アルベル様の姿が見えないので気になっていました。何かあったのですね?」
兄の名前を呼ぶ私の悲しい声色を感じ取ったのか、ルルは真剣な面持ちだった。
私としても何度も同じやり取りをしたくはない。
兄の悲しい話をあまり何度も話したくないから。
「うん。診療所に行くからルルも一緒に来てくれる?」
「もちろんです」
外に出ているということは何か用事があったのだろうが、ルルは当然のように私の一歩後ろを歩いた。
すぐに診療所に着くと、やはり懐かしい。
私は兄より長くここに居たから思い入れもある。
ルルが先に入ると、すぐに母の姿が見えたのか声を掛けた。
「エリシア様」
母の名前を呼ぶルルの背中に続くと、患者は丁度いないらしく診療所の中には懐かしい顔が揃っていた。
カーラが一番最初に気付き、驚きの表情の後微笑んで手を挙げた。
そして、振り向きながら懐かしい声を出したのが。
「ルルー? ここに来るのは珍しいわねぇ、どうしたの――」
私の顔を見て途中で固まる母に、私は頬を綻ばせ微笑んだ。
「エル!」
母は嬉しそうな顔で私に駆け寄り、すぐさま私を抱き寄せた。
母の胸に顔が包まれ呼吸がしにくいが、心地良い。
自分でも異常なくらい兄が好きなのは自覚しているが。
私は母も大好きだったから。
しばらくの抱擁の後、ようやく開放されると近い距離で母の顔が映る。
やっぱり、女の私から見ても綺麗だなと思う。
私と似ているのにそう思うのは自意識過剰だろうか。
母のウェーブがかかった柔らかい赤茶の髪が顔に掛かる。
私もこの髪が良かった。
今の銀髪が気に入っていない訳じゃないが、兄と同じ色の髪が良かった。
私の思考の内容はこの状況には似つかわなく、すぐに現実に引き戻される。
「エルは帰ってきたの? アルはセリアちゃんと会えたのかしら」
当然のようにそう思っているようで、少し寂しそうにはしていたが私が帰ってきた事に喜んでいた。
純粋な母の顔を見ると申し訳なくなり、少し下を向いてしまった。
そんな私を見て、母はいきなり声が細くなった。
「え……? 何かあったの……」
私が顔を上げると母の赤い瞳がどんどん澱んでいくような気がした。
恐らく、嫌な想像をしてしまっている。
確かに今の状況では、兄に関するいい話はできそうにはないが。
「うん……全部話すね」
母がなるべく心を痛めないように、慎重に丁寧に話をした。
私と同じかそれ以上と思うくらい、母も兄が大好きだから。
まずは、兄が生きているという話を伝えてから始まった。
それを聞いて母は胸を撫で下ろしていたが、次第に表情が険しくなっていった。
ルクスの迷宮に挑んで転移したが、行方が分からないこと。
コンラット大陸のセリアお姉ちゃんの所にいる予測を立てていること。
私達はエルトン港からコンラット大陸に移る予定だということ。
カロラスに兄の手紙が来るかもしれないが、まだ先になりそうだということ。
手紙より先に、兄の死亡の噂が流れてくるということ。
最後の言葉を言った途端、母の瞳が濡れて涙が溜まったのが分かった。
「何で死んだことになってるの……?」
「ちょっと、酷い状況だったの」
詳しい説明をして母を心配させるのは心が痛む。
兄の腕が落ちてたなんて言えば卒倒してしまうだろう。
私が弱々しい声で言ってしまったせいで想像してしまったのか、母の表情は酷かった。
しかし、すぐに腕を動かすと、私を再び抱いた。
耳に優しい声が通っていく。
「エル、辛かったのね」
ルカルドで腐っていた私とは違った。
誰よりも辛いはずなのに、母の私を気遣う言葉に今まで抑えてきたものが決壊してしまった。
甘えたがりの私が今まで我慢していた温もりが、体を包んでいた。
母の背中を強く抱きしめ、強く顔を埋めると震えた声が出た。
「ごめんなさい……私を、守ってくれたの……」
次第に母の胸元が濡れていくのが分かった。
そんな私の頭を優しく撫でると、私を安心させる声が聞こえた。
「アルはエルのことが大好きだからね」
一切私を責めることはない母に安心して、私は寂しい気持ちを枯らすように泣いた。
しばらくして落ち着いて体を離すと、母は私の髪を優しく撫でた。
そして、確認するように言った。
「アルは絶対生きてるのね?」
私も次第に涙声から戻っていく声で言った。
「うん。絶対に冒険者ギルドで手続きしてるはずだよ。
本人じゃないとパーティ解散はできないから」
私の言葉にあごに手をやって考え込むと、言った。
「私も行くわ」
母が信じられないことを言うと、さすがに黙っていたランドルも息を呑んだのが分かる。
気持ちは分かるが、旅に慣れてなさそうな母を連れてはいけない。
馬の移動もできなくなるし、旅の進みも遅くなってしまう。
そして普段だったら声を上げて止めるはずのルルが何も言わなかった。
恐らく、ルルもついて来るつもりだろう。
私は少し困りながら言った。
「だめだよ。何があるか分からないもん」
私達は戦闘に慣れているが、母とルルは違う。
母が優秀な魔術師なのはよく知っているが、使えるのと戦うのでは違う。
しかし、母は止まりそうになかった。
「魔術大国を通るんでしょう? 心配だわ」
そう言って私を見る母は、兄のことを考えているわけではなかった。
もちろん兄を心配している気持ちは大きいだろうが。
今は、何故か私の心配をしているように見えた。
私は普通に疑問を口にする。
「何で?」
「エルは、私に似てるから」
私が自分に似て嬉しそうにしていた母からは想像できない険しい顔だった。
一体、どうしたのだろうか。
「エル様、大丈夫ですよ。私達は旅の心得も魔物との戦いの経験もありますから」
私を安心させるように声を掛けるルルに、驚いた。
もちろん母がずっとカロラスで生まれ育ったとは思っていなかったが。
そういえば、兄が家の事情をあまり聞いてはいけないよとたまに私に言っていた。
私はこの環境が普通のことだと思っていたが、兄は何か知っていたんだろうか。
「お兄ちゃんは知ってたの?」
「いえ、何も伝えていないはずですよ」
何でだろうと考えてしまう私に、ルルは私の考えが分かったのか言った。
「アルベル様は聡明でしたからね」
その言葉に納得してしまった。
兄は私より、読み書きも算術も比べ物にならない速さで覚えていたから。
でも私の疑問はそれだけではない。
「何で私が魔術大国を通ったら心配なの?」
私が言うと、母も言いたくなさそうなのは分かったが。
苦い顔をしながらも教えてくれた。
「私は魔術大国出身なの。長い話になるけど――」
母が教えてくれた内容は、私が全然想定していなかった話だった。
驚きながらもしばらく母の語る話に集中して耳を傾けていた。
話が終わると、私は黙り込んでいた口を開いた。
「分かった。皆で行こうか」
しかし、母の話を聞く限り私達は一緒に居ないほうがいいと思うが。
それだけ私のことが心配なのだろう、私が逆の立場ならそれが分かってても引き下がれない。
私と母は似てる部分がある、もう母は絶対に引き下がってくれないのは分かる。
とにかく、旅立つ準備をしなければ。
それにしても、母が急に診療所を辞めて大丈夫なのだろうか。
そこで初めて自分達だけの世界に入っていたことに気付いた。
コーディさん、アーダさん、カーラが心配そうに成り行きを見守っていた。
私は今気付いたように頭を下げると、皆が寄ってきた。
「エル、久しぶりね。色々あったみたいね」
私を労うように言うカーラをきっかけに、皆が私の顔を見て嬉しそうにしていた。
私も嬉しかった。ここの人達だけは、私にとって特別なのだ。
唯一、兄より私のほうが親しい人達だから。
しばらく話していると、カーラが離れて赤ん坊を抱いて戻ってきた。
一目で分かる、カーラとドールの子だろう。
短い赤毛でカーラの面影がある女の子は、心地良さそうに眠っていた。
「サラっていうんだよ」
そう言って当たり前のように私に預けた。
慌てながらも優しく抱くと、相変わらず気持ち良さそうに眠っていた。
さすがに私も赤ん坊は可愛いという思いはあり、表情が柔らかくなった。
しばらくそのまま懐かしい雰囲気で談笑していた。
母が旅立つことを伝えると、寂しそうにしていたが止めることはなかった。
母の意志が固いことは誰の目にも明らかだった。
二年ぶりの我が家に戻ってくると、懐かしい匂いが鼻を通っていった。
木造建築の宿にいくら泊まろうが、やはり自分の家特有のものは味わえなかった。
私は家に入ろうとしたが、思い出したように振り返ってランドルを見た。
ランドルは無表情に淡々と言った。
「明日また来る。それまでに出る日を決めとけ」
それだけ言うと去ろうとするランドルに安心する。
さすがに同じ宿と自分の家では抵抗が全然違う。
私が拒むと母に説教されるのは分かるし、こんな辺境の町じゃ宿も少ないだろうし私も強く言えない。
しかし、私の安心を他所に母が声を掛けた。
「えっとー、ランドル君よねー? 泊まっていいのよー」
普段通りの口調でそんなことを言う母。
そしてランドル君なんて言う人間を初めて見た。
ランドルも初めて言われただろうが、気にした様子はなかった。
「俺のことは気にしなくていい」
「でもー、エルを守っててくれたのよね? お礼もしたいしー」
「俺も久々に帰ってきたんだ。寄りたい所もある」
「そうー……」
「じゃあな」
残念そうにしている母に、当たり前のようにランドルは去って行った。
聞いているだけならどちらが年上か分からないような会話だ。
ランドルが畏まるのは想像できないし、母も気にするような人間じゃないが。
というか、何でランドルのことで思考しないといけないのだ。
私は脳内からランドルを排出するように首を振ると、家に入った。
---------ランドル---------
日が暮れてくると、久しぶりの道を通った。
次第に人が見えなくなっていき、しけた風景が広がっている。
相変わらずボロい店の扉を乱暴に開けると、懐かしい店内があった。
カウンターで暇そうにしている老人を見るが、元々老けていて二年ぶりでも変化が分からない。
俺は久々だが乱暴な言葉を吐いた。
「よう、まだ生きてたか」
俺の声を聞いてやっと来客に気付いたのか、ジジイがこっちに顔を向けた。
特に驚いた表情を見せるわけでもなく、平常だった。
めんどくさそうな顔だ。
「二年振りぐらいか? ワシはお前が死んだと思ってたわい」
「町から出てたからな」
「かぁーっ、よく世話になったわしに何も言わず出ていけるな」
「なってねえだろ。酒くれよ」
「金払えよ」
「あぁ」
二年振りだろうが何も変わらない。
それが心地良かった。
ジジイが持ってきたエールを何も言わずひたすら飲んでいた。
もう何杯飲んだだろうか。
相変わらず酔いが回らない体だが酒は好きだった。
淡々と飲んでいると、声が掛かった。
「ランドル」
「何だよ」
面倒な表情を隠すこともなくジジイに視線を向けると、少しニヤついていた。
気持ち悪いな。
「お前、いい男になったな」
そう言って軽く笑うジジイだったが。
外見のことを言ってないのは分かる。
前の俺なら憎たらしい口を開いてうざそうにしたのだろうが。
別に悪い気分じゃなかった。
「まぁ、楽しくやってるさ」
「お前はつまらなそうに生きてたからな」
感情が豊かになったとはいえ驚くことは少なかったが。
ジジイの言葉に驚いた。
そして、考え直された。
精一杯生きていたつもりだったが、確かにそうだったのかもしれない。
あの日、アルベルに言えた口ではなかったかもな。
今の俺の感情を考えると、あの時の俺は義務感だけで生活していた。
まぁ別にいいだろう。
「仲間に恵まれたんだろうよ」
「へぇー」
自分が言っておいてもうどうでも良さそうにしているジジイだったが。
これも別に嫌いではない。
俺はもう口は開くことはなく、エールを飲み続けた。
しばらく経つと、俺は懐から膨らんだ布袋を取り出した。
金貨や銀貨、銅貨が入り混じって滅茶苦茶になっている。
アルベルがリーダーだった時は、ある程度自由にする金を分けていた。
特に買い物をしなかったし、溜まっていく一方だった。
アルベルがいなくなってエルが金を持つと、面倒そうに、適当に俺に金貨を渡した。
全部で金貨十枚分くらいにはなってるだろうか。
旅の資金はエルが管理しているし、これからも必要になることはないだろう。
俺はカウンターで呆けているジジイに乱暴に袋を投げつける。
見事にジジイの額にぶつかると、袋から中身が散らばった。
「痛え! おい! ランドル――」
散らばった金貨や銀貨を見ると、ジジイは驚いたように固まったが。
俺は気にせず背を向けた。
「また来るわ」
店から出ようと扉に手を掛けると、また声が掛かった。
少し、穏やかな声色に感じた。
「さすがにそろそろくたばるわい」
「そうか」
それだけで別れは終わり、店を後にした。
長い旅になりそうだし、確かに次来たら死んでそうだな。
そんな事を思い、放置されていた懐かしいボロ小屋に帰った。
---------エル---------
数日経つと、町の門で集合していた。
母も魔術師のローブを着ているし、ルルも旅人のような服装に変わっていた。
二人からは、普段の温かい家族のイメージは消えてしまっていた。
さすがに診療所を閉めて見送りというわけにはいかないので、皆で赴いて別れを告げた。
馬は格安で売ってしまった。
二頭しかいないし、それに母とルルも乗馬の経験はないようだった。
多分、他の町に寄ったら馬車での移動になるだろう。
コンラット大陸に渡るのは遅れるかもしれないが、問題ない。
兄は強いし、むしろ兄からすれば私達のほうが心配だろう。
私が早く会いたいだけなのだ。
ドールに別れを告げると、私達は四人で歩き出した。
私は前より楽な気持ちで歩き出せた。
ランドルと二人だけの空間に、私の大好きな二人が加わった。
これは私にとってかなり大きいことだった。
兄も久しぶりに母とルルに会えたら嬉しいだろう。
喜ぶ兄の顔を想像すると、久々に緑しかない道をゆっくりと歩んだ。
事前にお伝えしていた通り、しばらく更新が止まります。申し訳ございません。
近況は頻繁に活動報告にて報告します。




