3 悪役令嬢(シエナ・カリン・ファーマシー)視点
「私はエファゲート公爵が娘、シュティア・ハルナ・エファゲートと申します」
・・・・この方が・・・・
私が殺す人・・・・
私には前世の記憶がある。
『笠花梨』の記憶。
私が前世の記憶を思い出したのはこの前だ。
突然、吐き気と目まいがして、倒れた時、夢で『笠花梨』の記憶を見た。
それが前世の『私』だと気がついたのは目覚めてからだったが・・・。
私は、絶望したんだ。
未来が暗いことに。
だが私の夢はお嬢様になることだった。
あこがれていたのだ。
『お姫様』というやつに。
だから、嬉しかった。
でも、こんな形で実現したくなかったなぁ。
そして、今日私が殺すであろう『シュティア・ハルナ・エファゲート』の母親がお茶会に来た。
会いたくなかった。
関わりたくなかった。
・・・・・・だが、
最初はゲーム通りのおっとりとした性格だったが・・・
途中から、あれ?っとなった。
シュティア様のお母様から
「二人は同い年ね・・・・一緒に遊んでいらっしゃいな」
と言われて内心
(結構です・・・)
と思いつつも
「わかりました」
と答えた。
そして、庭で遊びましょうと言われて私は断ることができずに
「はい」
と答えた。
内心では、
(私、前世でもインドア派だったんだけどなぁー(ノД`)シクシク)
と思っていたが、勿論顔には出していない・・・・
庭につくと、シュティア様は
「あの木なら初心者でも登れるわよね」
と呟いた。
聞き間違いですよねぇ
正真正銘のお嬢様がそんな事するわけ・・・・・
・・・・って登ってる―———⁈
・・・え?は?
あれ?私のお嬢様像が崩れていく~
崩壊していく~
私の夢がぁ
そして、その後シュティアの話を聞いて彼女は安心するのだ。
「良かった。正真正銘のお嬢様じゃなかった・・・・私の夢は守られた」
と。
失礼である。