真っ赤な嘘と、話さない真実
「──というわけで、全てはなんとなく運が良かった結果でした。ちゃんちゃん」
「舐めてるの?」
ソウの話を聞いていた女性は、明らかに苛立った顔なのに、にっこりと笑った。
手に持っていたペンが軋み、それに気づいて女性──アカシアはそっとペンを置く。それから、記者らしい生真面目な顔でソウを睨みつける。
「私、これでも仕事で来てるんだけど」
「奇遇だな。俺も一応仕事で話してるんだわ」
「だったらマジメにやりなさいよ」
アカシアは思わずため息を吐き、それからインタビューを録音していた『機械』を止めた。そして、熱くなった頭を冷やすように、薄目のカクテルを喉に流す。
彼女のお気に入り【ジン・リッキー】だ。
現在二人が話しているのは、いつも通りのラバテラの店だ。二人の共通点は基本的にこの場所だ。二人がお互いにどう思っているのかは置いておいて、俗に言えば飲み友達のような間柄になっていた。
だが、今日の二人はお酒もそこそこに、会話をメインにしていた。
というのも、以前の模擬訓練の後、密かに話題になっていた『瑠璃色の空』への独占インタビューを、アカシアが担当することになったからだ。
彼女にお鉢が回ってきたのは、それ以前の仕事で『瑠璃色の空』を取り上げていたから頼みやすかったことと、ソウ相手の交渉のやり方を知っていたこと。
キチンとした所での取材を嫌がるソウが、酒を餌にバーでの取材を頼めば応じる可能性が高いというのを、アカシアは知っていた。
だが、ソウが話に応じたとしても、そこから有益な話が聞き出せる保証まではない。
ソウが先程まで語っていた、明らかに今適当に考えたみたいなグダグダなインタビューでは、アカシアはとても記事が書けそうになかった。
「これで不満なら、最初の話で満足しとけよ」
「……それは」
最初の話、とソウが言ったところでアカシアは少し唸る。
というのも、ソウが先程まで語っていたグダグダな作り話は、二回目のインタビューなのだ。
同じことを二度繰り返させられたら、ソウも尚更やる気が出ないという話である。
ソウは完全に気の抜けた様子で、自身が頼んだ【モスコ・ミュール】を口にしていた。
しかし、そうだとしてもアカシアには、最初のインタビューを使えない事情があった。
「……だって、最初の話じゃ、まるっきり『台本通り』でした、ってことになるじゃない」
最初にソウが語ったのは、インタビューで何を聞かれても答えられるようにガチガチに固めた『ストーリー』だった。
試合が始まる前、始まった後、交戦中や最後の顛末まで、ソウの視点やフィアールカの視点、ツヅリや若手達の視点まで網羅した完全なシナリオ。
完全無欠の『氷結姫』に全力で対抗し、みんなの力を精一杯集め、仲間の裏切りもありながらようやく成し遂げた奇跡の勝利という構成だ。
ソウとしては、自分が『面倒見の良いベテラン』という扱いになっていることに目を瞑れば、まぁ、筋は通っていると思える程度の、良く出来た脚本だった。
「良いじゃねえか。何も知らない純粋な子供なら存分に楽しめる。ある程度ものの分かった大人なら、ああそういうことかと納得しつつ楽しめる。誰も不幸にならない良い話だ」
「そういうのは、舞台や演劇の話で良いのよ」
その台本を聞いたアカシアは、一応メモを取るには取ったが、納得しなかった。
「私が知りたいのは、真実なの。私は真実を追い求めるジャーナリストなんですから」
「それで痛い目にあったのに、よく懲りないな」
「大きなお世話よ。とにかく、私が記事にする以上は、ちゃんと真実が書きたいの」
アカシアはそう言って、不機嫌そうに唇を尖らせた。
対するソウは、困ったように笑う。アカシアの気持ちも分からないではないが、それ以上に色々なしがらみを考えてしまう。
「だから、そういうことにしておけって話だろうに。真実なんてのは、いっつも上に居る人間が作るものなんだよ。真実を知って喜ぶのは学者とお前くらいだ」
「でも、本当はそうじゃないんでしょ?」
「お前は俺を買いかぶり過ぎだっての」
アカシアは身を乗り出して、ソウの目をまっすぐに覗き込んでくる。そんな彼女の視線に耐えかねて、ソウは少し目を反らした。
つまるところ、アカシアはこの模擬戦、ソウがその実力で勝利を勝ち取ったと確信しているのだ。事実そうなのだから、誤魔化し辛いところでもある。
そしてその確信があるからこそ、アカシアは嘘を書きたくない。自分の名前で書くものなのだから、納得いくものに仕上げたい。
だが、ソウにはソウの事情があるし、『瑠璃色の空』や『練金の泉』にも事情がある。
というわけで、話はどこまでも平行線を行く。
「実際のところ、俺達や『練金の泉』も、ちょいとばかし面倒な話になんだよ。そういうことにして貰わないと」
「だからって嘘を書くのが正しいわけないじゃない」
「嘘ではないだろ。結果は変わらない。ただ、その過程をちょちょいと脚色しただけで」
「そうやって印象を操作するのが、既に嘘なのよ」
アカシアのストレートな物言いに、ソウは唸る。
ソウの感覚では、ジャーナリストなんて人種は嘘を吐いてでも数字を稼いでなんぼ、みたいな考え方をしている人間ばかりだ。
だからこそ、アカシアみたいな真っ直ぐな人間は好感が持てるし、それ故にちょっと面倒くさい。
このままずっとはぐらかしていても、彼女は納得してくれないだろう。
「……いや」
と、ちょっとだけソウは面白いことを考えた。
「……なに? 話す気になった?」
「ああ。実は事の発端が、『氷結姫』が好きな相手の秘密を知りたいと思って、企てたことだったんだっていう話を」
「ふざけるなって私言ってるわよね?」
ソウが思い立ってある種の『真実』を語ってみようとしたのだが、アカシアに切り捨てられてしまった。
ちょっとだけ、ソウは笑ってしまう。
「なに笑ってるのよ。あなたの冗談、そんなに面白くないわよ」
「切り捨てて良いのかなってな? 俺がこれから語るのはお前が求めてる真実だぜ? 記事にできるかは、別の話だがな」
「…………本気で言ってるの?」
アカシアの半信半疑の目にソウは余裕たっぷりに頷いた。何故なら不思議な確信があったからだ。
アカシアはきっと、これからソウが語る与太話が真実だと悟る。そして悟ったが故に、台本どおりの記事を乗せるしかなくなってしまう。
『真実』は『台本』よりも奇想天外で支離滅裂で、そして少し甘ったるい。
少女達の意地と恋心のぶつかり合いを、アカシアのような人間は記事にはできまい。我を通すために他人の恋路を晒すほど、アカシアは割り切った人間ではない。
そして結局、ソウの思惑通りになった。
アカシアは苦虫を噛み潰したような顔で、結局はソウの最初の話を控えめに書く事になった。
ただし、なるべく脚色は無しで、という彼女なりの譲歩は忘れずにだが。
アカシアとソウが語り合っている最中、また違う場所でも語り合う少女達がいた。
場所は以前、秘密の会話をした店。相変わらず庶民には落ち着かない高級店だ。
「それで結局、ソウ様の語った言葉は真実なのかしらね」
フィアールカは、ツヅリ、ティストルの両名に、真剣な面持ちで言った。
ここで言う『語った言葉』というものは、すなわちソウが【ビトウィーン・ザ・シーツ】にかかった振りをしていたときの言葉だ。
三人は、一度集まって情報の共有を行っていた。もちろん、自分だけの胸に留めておきたい質問は置いて、語ってもいいと思ったものだけだが。
その共有の後、フィアールカが語った疑問に、ツヅリはうーんと持論を展開する。
「多分だけど、本当のことを言ってたと思うよ」
「根拠はあるかしら?」
「お師匠が自分で言ってた。ああいう、敵の策略にはまった振りをするときは、本気で相手の思い通りに動いてみせるのが肝心だ、みたいなこと。だから、多分嘘は言って無い。それ以前に、答えて良いことしか言って無いと思うけど」
ツヅリの言葉に、フィアールカとティストルは思案した。二人とも確かに、ソウが嘘を吐いている雰囲気は感じなかった。
もちろんソウの事だから、そんな雰囲気を微塵も感じさせずに嘘を吐くくらいはできるだろうが、それでもあからさまに嘘を吐かれれば、分かる気がした。
「つまり、あの人から得られた情報は、おおよそ真実だということで良いのかしら」
「うん──リナリアさんとの、関係もね」
ツヅリは、ぐっと奥歯を噛むように言った。
共有された情報の中でも、特に重要視されたのはソウとリナリアの関係だった。
特にツヅリは、一度面と向かってリナリアに言われたことがあるのだ。彼女はソウのことを愛しているのだと。
それを知らないはずのフィアールカでも、どことなく感じ取っているくらいなのだから、それを聞いたというティストルに、二人は驚きつつ感謝した。
ソウはリナリアを妹みたいなものだと思っている、そうティストルから聞いたツヅリとフィアールカの両名は、ほっと胸をなで下ろしたものだ。
「しかし、そうなるとあの人は目下のところ、誰のことも、なんとも思っていないということに」
「それは、うん。そうですよね。分かっていたことなんですけど」
フィアールカとティストルは、同時にやや落ち込んだ。
リナリアが特別な相手でないとしても、自分たちが特別な相手というわけではない。それもまた思い切り思い知らされたことなのだ。
しかしそこで、ティストルはいち早く顔を上げ、励ますように言う。
「だけれど、ソウさんは決して私達のことを見てないってわけでもないみたい、ですし。ほら、これからどうなるかは、何も言って無いわけですし」
「ティスタさん……」
「これから頑張れば、きっと変わる、と思うから」
ティストルらしい前向きな意見だった。
今はダメでも、この先がある。
かつて、過去に拘り自分を必死に犠牲にしていたティストルだから、それを変えてくれたソウがそう思ってくれているだろうことも、信じられた。
「あ、でも」
そうやって場の空気が緩やかに固まったところで、ツヅリが言い難そうにもう一つ付け足す。
「……お師匠曰く、相手に乗っかったフリをして本当のことを言うことで、『ここ一番の嘘』が刺さるって」
「ちょっと待って、それって結局、どれが本当か分からないってことじゃない?」
「……う、うん」
ツヅリの補足によって、場の雰囲気はまたしても混乱する。
「ああ、もう。そう言われると、どれもこれもが怪しく思えてくるじゃないの」
フィアールカの珍しく弱気な声に、苦笑いのティストルが口を挟む。
「やっぱりズルは良くないってことですね。ソウさんはきっと何でもお見通しですから。こうして私達が悩むことまで想定して、ここ一番の所で嘘を吐いてると思いますし」
ティストルに嗜められるまでもなく、残りの二人もそんなことは分かっている。
多分本当。だけどもしかしたら嘘かもしれない。結局ソウが語ったことで、何が本当かを信じるのは自分に委ねられた。
それでは、魔法を使った意味なんてやっぱりないではないか。
分かっているが、ソウの掌の上で転がされているのは気分が良くない二人である。
「やっぱりお師匠を尾行して、眠りかけのところを狙うほうが」
「それより三人で襲い掛かって拘束に成功すれば、二十四時間体制で見張っているうちに程よい感じに」
「なに怖いこと言ってるの!? だめだからね!?」
ツヅリとフィアールカの両名から、ちょっと物騒な冗談が飛び出し、ティストルは慌てて仲裁に入る。
もちろん二人も──いや、少なくともツヅリは冗談のつもりなのだが、ティストルの反応が面白くて、ちょっとだけ会話を続ける。
「でもティスタだって、本音が聞けたら嬉しいなって、ちょっと思ったから乗ったわけでしょ?」
「そうですわよ。一人だけ良い子ぶるのは感心しないわ」
「なんでそういう風に、人をダメな方に引きずり込もうとするんです!」
ティストルに再び嗜められ、ツヅリは苦笑いで謝った。だがフィアールカは、どこまで本気か分からない言葉を続けた。
「そもそも、最初の睡眠薬が程よく効いてくれれば良かったのですけれど」
「確かに、お師匠のデタラメっぷりは今に始まったことじゃないけど、睡眠薬効かないとか意味分からないよね──まぁ、ナチュラルに睡眠薬を盛ってくるフィアも、ちょっと意味分からないけど」
「さすがに、効果がないならもうやらないわよ。いやでも、麻痺薬なら」
「だから、そういうのもうしないって約束してたよね?」
睡眠薬に関しては、あれだけハッキリとソウに釘を刺されたのだ。次にやったら、きっと問答無用でアウトだろう。
流石に笑えない冗談だったとフィアールカは謝って、それからまた、ああでもないこうでもないと益体のない会話へと戻った。
結局少女達は物騒な話や可愛い話に花を咲かせるも、結論を出すことはできないのだった。
そんな最中に、フィアールカはふと思い出していた。
自分の見つけた『カクテルレシピ』についてだけは、ソウは明確に『教えない』と言った。適当に嘘を吐いたって分からないのに、そこだけははっきりと否定した。
つまりそれは、教えたくないというのが、ソウの真実であること。
それはいったい、何故なのだろうか。
「ふぁあ」
「寝不足ですか? ユウギリさん」
「あー、まぁな」
結局あれからもアカシアに色々と追加の質問をされて、それをうまく躱しつつ、インタビューに答えたソウ。
酒代を持ってくれるとはいえ、こういう場だとあまり満足に飲めず、少しばかり疲れが溜まっていた。
アカシアはメモをまとめると、早いうちに整理したいと、酒に付き合わずにさっさと帰ってしまった。こんな時間まで仕事かとソウは呆れたが、自分は飲み足りなかったのでそのまま店に居座ることにしたのである。
というわけで、バーテンダーであるラバテラと会話していたところだが、いつの間にか、ソウの隣にはもう一人顔見知りが座っていた。
「寝不足は良くないですよ。判断力が低下するし、抵抗力も落ちる。だからたまには、実家に帰ってきてぐっすり眠るのも良いと思いますけどねえ」
「そういうお前はなんで居るんだよ、リナ」
「今日はオフ。この前休み返上で一日働いたから今日はオフなんです」
ニコニコとした笑顔でソウの隣に座っているのは、今まさに少女達の悩みの種と化していた女性、リナリアであった。
彼女の仕事上、本当は一人でフラフラ歩いていられるはずが無い。
だが、先日休みを丸一日使って、ずっと『仕事』をしていたのは本当だ。だからオフというのも本当なのだろう。
ソウはそう考えて、そういえば、とまだ言っていなかった礼を思い出した。
「この前の、ありがとな」
「ああ、解毒剤のことですか?」
「ああ。睡眠薬を盛られる、って事前に聞いてなかったら、さすがに危なかった」
ソウの珍しく真っ直ぐな謝意に、リナリアは照れくさそうに返した。
「良いんですよー。たまたま手に入った情報でしたし、それでソウがいざって時に使えなかったら、困るのは私ですし?」
「たまたま、入るもんなのか? そんな情報が」
「当たり前じゃないですか。睡眠薬の経路なんて、常日頃から特に気をつけてることですもん」
それが、ソウが吐いた『真っ赤な嘘』の正体であった。
今後、フィアールカに薬を盛られることがないように、ここ一番の嘘を『ネタばらし』の後に仕込んでおいたのだ。
ソウは決して『睡眠薬』が効かない体質などではない。耐性があるのは本当だが、こと【ビトウィーン・ザ・シーツ】に限ってはそれが仇となる。
普通の人間は、睡眠薬で熟睡状態になれるところ、ソウはなまじ耐性があるせいでまどろみの状態で止まる。
その状態で動く訓練は積んでいるが、まどろみに特別効果のある『カクテル』には、弱いのだ。
つまり、ソウは睡眠薬を盛られた状態だと、なす術も無く【ビトウィーン・ザ・シーツ】にかかるということだ。
だが今回は、ティストルの護衛のために目を光らせていたリナリアの情報網に、たまたまフィアールカの行動がひっかかったのである。
リナリアはティストルに付いていたので、なんとなく少女達の事情を知っていた。とはいえ、乙女心を暴くのも野暮と、ソウには詳細は話さなかった。
だから簡単な警告だけを、事前にしていた。
『フィアールカに、何か飲食物を渡されたら、これを飲め』
と、睡眠薬に対する解毒剤を用意していたのだ。
フィアールカが飲み物を入れる、と言ってフリージアと一緒に消えた瞬間。本当にそんな場面が来たと、咄嗟に薬を飲むのは簡単だった。
「ま、おかげで適度にブラフも張れたし、もう心配はいらないだろうがな」
「じゃ、感謝ってことで奢ってくれるんですね?」
「安月給なめんなよ」
「自分で高給取りになるチャンス蹴ってるくせに」
リナリアが何を言っているのかは分かった。今回の模擬訓練のことを、もっと上手に宣伝すれば良いのにという話だ。
そうすれば『瑠璃色の空』の知名度はグングン上がる。依頼も入ってくるし、金も入ってくる。人もこれから増えるだろうし、良い事尽くめだ。
だが、ソウはそんな薔薇色の未来に、心底嫌そうな顔をする。
「やだよ。今以上忙しくなるなんてな」
「えー、そんなこと言わずにもっと働いてくれませんかねぇ?」
「考えとく」
「それ絶対、考えるだけってオチじゃないですか」
付き合いの長いリナリアなので、ソウが絶対に、積極的に動く気がないことだけははっきりと分かった。
ソウがどうして『瑠璃色の空』に所属しているのかをリナリアは知らない。
だから、これ以上つっつくのはやめて、軽い業務連絡に移った。
「あと『彼』ですけど、今のタイミングで強引に動いたら怪しいってことで、もう暫く『練金の泉』です。そこから可能なら『瑠璃色の空』の仕事を通して、護衛をと」
「俺に言うなよ。もうお前等とは関係ねえんだから」
「分かってますよ。ただ、覚えておいて下さい。有事のときは遠慮なく使える、ってことです」
「そういうことなら」
そうやって、秘匿事項ギリギリの話を、それだけでは決して分からない程度のレベルでする二人であった。
その会話の近くに居て、一人だけ聞こえていただろうラバテラは、しかし決して詮索することはない。
会話の途切れた所と見て、すっと必要なことだけを尋ねた。
「それで、次のご注文はどうします?」
ソウのグラスが空になっていた。
ソウは少し迷ったところで、ふっと思い出したようにその一杯を注文していた。
「それじゃ【ビトウィーン・ザ・シーツ】を」
「かしこまりました」
魔法としての『カクテル』では効果が薄くとも、飲み物としての『カクテル』は別だ。
こうやって口にする『カクテル』に、魔法としての実用性など関係ない。
魔法が先か、飲み物が先かと議論されるカクテルであるが、ソウはこの一点から飲み物が先だという主張の方に賛同している。
未完成な魔法と、完成した飲み物。それを考えれば、完成している方が先に出来たに決まっているではないか、と。
もっとも、それは半分、ソウの師の受け売りなのだが。
出来上がっていくカクテルを見ながら、ふとソウは、自分にカクテルを教えた師匠は、今どうしているだろうかと思った。
思い出した理由は【ビトウィーン・ザ・シーツ】が載っていた、あのカクテルレシピのせいかもしれない。
何故ならあの名前のないレシピは、もともと師匠の物だった筈なのだから。
おしまい
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次話でおしまい、と言った手前、なんとか一話に収めようとしたところ大変長くなってしまいました。
全体を通しても大変長くなってしまいましたが、これで幕間はひとまずおしまいです。
あまりに長くて、幕間と本編の違いはなんなんだ、と思われるかもしれませんが、一応作者の中では、メインストーリーとサブストーリー的な分け方になっているので、お許しください。
さて、続きの四章なのですが、一応ざっと頭の中でストーリーはできていても、実際のプロットにはまだ落とし込んでおりません。
またここ最近、少々多忙なのもありまして、カクテルマジックの四章開始前に、ちょっと集中して作者のもう片方の作品に完結の目処を立てたいと思っております。
ですので、四章開始の予定がいつとは言えないのですが、八月くらいに更新再開になるかと思っております。(あくまで予定ですが)
大分長いこと期間が開いてしまうので恐縮ですが、よろしければお付き合いいただけると幸いです。
※0517 改行を忘れていたので挿入しました。