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ホーフク  作者: 佐藤 皆無
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過去の悪行

 久しぶりに学校に行く。俺の自転車は始業式なのにぶっ壊れたのでいつもの通学路を歩いていると一人の女子生徒に話しかけられる。

深山君みやまくん、おはよーう」

 彼女は名を水原優香みずはらゆうかと言い、高一のある時期から俺に話しかけてくる。

「おはよう」

 とりあえず返事をすると、満足そうな顔になり。

「うん、じゃあ学校でね~」

 と言って立ち去ってしまった。なんだあいつ? テンション高いな。

 

 

 

 教室に入る。この高校の高校二年生は、始業式の日にクラス替えを行う。すなわち今日はクラス替えである。それで気付いた事がある。それは俺のクラスに水原優香、赤村棟子あかむらとうこ黒嶋大紀くろしまだいきの三人がいることだ。これはそうとう残念なことである。水原がいることに関してはやったなのだが、この三人は実は高一の時のいじめの被害者と加害者なのだ(水原が被害者で赤村、黒嶋が加害者)。

 因みに同じクラスだったが俺は水原と関わる機会はあまりなく、深く関わったのはこのいじめの時からだ。

 だがまあいじめというのは、加害者と被害者、さらにいじめを黙殺するクラスメイトによって成り立つものが多く、あの時もそれだったので黙殺してきた生徒が減るのは水原にとってはせめてもの救いの筈だ。まあ俺はいるんだけど。

 にしてもあいつ今日クラス替えだからテンション高かったのかー

 と黒嶋に睨まれながら考え事をしていると

「ん?どうしたの?」

 男子生徒に声をかけられてしまった。教室に入った途端、一歩も動かず考え事をしていた俺が何かおかしかっただろうか? おかしかったですね、すみません。

「い、いや別にどうもしてないよ?」

 なぜか疑問系になってしまった。

「そっか僕は松原功まつばらこうっていうんだ、よろしくね」

 どうやら松原君は俺によろしくしてくれる優しい人らしい

「俺は深山幸多みやまこうたえっとよろしく」

「うん、深山君」

 松原と軽い挨拶を終えると席に着く。

 

 

 

 よし、下校するか。下校時刻になって皆は部活に行ったり部活入ってんのに友達と話したりしている、いや行けよ部活。

 特に部活もやってない俺は普通に帰ろうとしたのだが、今日ずっと俺を見ている二人の生徒が気になる。一人は黒嶋大紀、俺を見ているというよりはずっと俺を睨んでいた、疲れねえのかよ。

もう一人は知らない男だ。

 すると、その知らない男が話しかけてきた

「やあ、深山君俺は神田蒼かんだあおって言うんだ」

「え、ああ」

「じゃあね」

 え、終わり? と声に出そうになったがさすがに初対面なのでやめておいた。自己紹介だけっておい、などと考えていると松原が話しかけてくる。

「深山君、神田君とは知り合いなの?」

「いや全然」

 そもそも自己紹介は授業中したのにわざわざ言いに来るとは、つっても俺ほとんど聞いてなかったけど。

「そっか」

「どうかしたのか?」

「実は神田君とは同じクラスだったんだけど話しかけても素っ気ない感じでね。神田君から話しかけてくれるときはすごく話してくれるんだけど」

「もっと対等に仲良くなりたいってことか?」

「うん、おかしいかな?」

「いいや、いいと思うぞ」

 するとある女子が近づいてくる。高一の時から同じクラスなんだけど3回くらいしか話した事が無い。えーと名前が思い出せない。自己紹介は真面目に聞いとくべきだな。

その女子に

「ちょっと来なさい」

 と言われてしまった。俺こいつに話しかけられる覚えないぞ? あ、こいつ風紀委員だった。初日からなんかしたかな?

 あとすごい教室がざわざわしてました。

 

 

 

 そしてなぜか屋上の扉の前、階段の最上階へ移動させられていた。

「ここって屋上だよな」

 と俺は扉を指差しながら言うと。

「そうだけど?」

「んじゃあ入ろうぜ」

「いや、入れないわよ」

「へ?」

 そんなわけないだろと思って扉を開けようとする。ん? おかしいな開かないぞ?

「はぁ、だから入れないって言ったのに」

 マジで? マジで入れないの? まぁいいや。

「とりあえず名前教えてくれる?」

「え?いやさっき教室で自己紹介したばっかりじゃない」

「聞いてなかったです」

「前も同じクラスだったじゃない」

「全然話さなかったし……」

 罪悪感すごい。すごいつらい。

「確かにね、私は林絵美はやしえみ

「俺は深山幸多」

「それよりあなた高一の時と性格違くない?」

 俺の自己紹介をそれよりで済ますとは。

「俺の性格なんかどうだっていいだろ、なんでここに連れて来られたのかわかんねえんだけど」

「せっかちね、もてないわよ」

「うっせえ、つーかお前の方が性格変わってんだろ」

 こいつは高一の時もう少し暗かったような気がする。

「私の性格が変わった原因を知りたいの?それとも連れて来られた理由を知りたいの?」

 連れて来られた理由の方だよ! と言おうとしたがなんか負けた気がするので。

「両方!」

 といっておこう。すると林は驚いたような顔になる。

「てっきり連れて来られた理由の方かと思ったわ」

 へへーんどうだ。

「まあいいわ両方教えましょう」

「あ、そう」

「私があなたをここに連れて来た理由はあなたが前いじめをしていたからよ。だから風紀委員として裁かなければならないと思ったの、でもあなたの言い分も聞いてあげようかと思ってね」

 やはりそれか。

「そしたら俺の性格がいじめをしていた頃、高一の頃と違っていて驚いたとそういうことか?」

「ええ」

 確かに俺はいじめをしていた。水原がいじめられていた後に。

 簡単に言うなら水原がいじめられていたのでいじめの主犯に同じことを仕返しただけだ。

「そうか」

 もし、俺の性格が変わったように見えたと言うのなら、それは勘違いだ。

 あいつは俺を遠くからしか見てない、だからいじめをして楽しんでる人間に見えたに過ぎない。

 俺は昔から何も変わっていない。

「あのな? お前裁くって言ったろう? だけどお前は俺がいじめをする前のいじめ。黒嶋、赤村共によるいじめをその他大勢と同じようにいじめを黙殺して裁かなかったよなぁ? そしてニ度目のいじめ、クラスの8割程度による黒嶋、赤村へのいじめこれすら始業式の今やっと裁こうとしてる」

 クラス8割程度によるいじめの主犯が俺だ。みんな前のいじめを黙殺した時の罪滅ぼしになるとか言ったら簡単に味方にできた。林はもちろん参加していない。

「今更、俺を裁けば罪滅ぼしにでもなると思ったか? 風紀委員さん」

「なんで、報復なんてしたのよ」

「報復?」

「だってそうでしょう?あなたは水原さんがされていたいじめの報復の為に」

「あー違う違う」

 今度は俺が林の言葉を遮る。軽く笑いながら。

「あれはね?報復じゃなくて偽善だよ」

「偽善?」

「ああ、あはははっそうあれはいじめ返すことで彼らにいじめられる側の気持ちをわかって欲しくてねえ」

「そんなの間違ってる」

「ふふ、知ってるよ間違ってるなんてことはぁ、でもね? 実際いじめは無くなり、水原さんは普通の生徒になったし。こっちのやったいじめだって赤村共と同じような軽いグループからの排斥、いわゆる仲間外れだしねぇ。それもこんなのはノリですで済ませなれそうなほどの。すぐにやめたから赤村達も案外普通の生徒なんじゃない?」

「そういう問題じゃない、あなたならいじめ返さなくたっていじめくらいやめさせられたでしょ?」

「できなかったわけじゃないかもねぇ」

「じゃあ」

「じゃあなんだよ? 一時的にやめさせられたってまた見えない所で繰り返されたら同じだろう? そんなのは自己満足だ」

「あなたのやったことだっていじめがなくなるかはわからない、自己満足じゃない」

「じゃあ君ならどうする?」

「先生に言うとか」

「笑わせるね、言ったろ? 見えない所でまた繰り返される。今度は言いつけることすらできないまでの」

「でも、あなたのが正しいとは思えないのよ」

「風紀を守るために頑張ってご苦労な事だが解決するだけじゃなく正しいやり方まで見つけんだったらもっと大変だぜ? お前には無理だよ」

「なんで、そんな」

 俺は階段を駆け下りてく。

 俺は林にその他大勢と同じように黙殺して裁かなかったと言った。だがその他大勢には俺も含まれる。少なくともいじめ返すまでの準備期間は黙殺していたのだから。

 だから自分の事を棚にあげた理論だ、偽善だ。

 俺が水原の為にやったのだとしてもいじめ返している間彼女は教師にいじめを言うか言うまいか迷っていた筈だ。そして多分自分の為にやってくれていると思い言わなかった、そんな心の傷をつくるべきではない、それは水原を第一に考えていない。そして水原に頼まれてもいない。

 どこまでいっても偽善、でもどうやったって正しい答えがわからない。

 だからきっと彼女の裁くという行為は正しい、しかしできないだろう。

 彼女にはどこからどこまでが裁くべきで何が悪かさえ判断しかねている。これでは無理だ。

 もし、わかっていたのなら俺の所に来ない。

 ああ、また俺は自分の保身を考えているのか

 

 本当に嫌になる、自分が。

 

 

 

 

 次の日、教室に入ると即座に神田が話しかけてきた。まるで待っていたかのように

「おはよう深山君、実は話したい事があるんだ。」

「なんだ?ここじゃダメなのか?」

「うん、ここじゃダメだね」

「そうか」

 俺は神田を階段の最上階に連れていく。

「へえ、ここってこうなっているのか」

「俺も知ったのは最近だけどな、で話ってなんだ?」

 知ったのは昨日だ。

「ああ、君高校一年生の時なかなか面白い事してたね」

「ああ、だからどうした?」

 また、この話か。

「あれは素晴らしい事をしたね。素直に関心したよ、だからもしまた同じような状況になったら手伝ってあげよう」

「ああ、そうか」

「うん、じゃあね」

 これで終わりかよ。あの神田って奴は信用しない方がいいな俺を肯定する奴は大抵クズだし。

 教室に戻ると松原が近づいてくる。要件はなんとなくわかった。

「おはよう、深山君」

「おう、悪いけど俺も神田とは仲良くなったっつっても対等な感じじゃないな」

 つーか仲良くなってねえ。

「そっか」

「まあいつか対等にもなれるさ」

「うん、ありがとう」

 ああ、無責任な事言っちまった。それに神田にはあまり仲よくしない方が良いんだけど、それを言わないって事は俺はこいつとは正しい友達という事じゃないんだろうな。

 水原を見る、あいつは普段赤村や黒嶋とは話さない。だけどあいつも仲良くしたいとは思ってるんだろう。あいつはさりげなく赤村に話しかける。

「久しぶり~」

 すると赤村ではなく黒嶋が

「んだよ水原」

 と言った。あいつまだ懲りてねえのか。あいつがまだ懲りてないって事は林の言った通り俺のやった事は偽善だったって訳だな。だけどまあ今回は俺の出番は無さそうだ。林が黒嶋に近づいていく。

「黒嶋君、そういうのは無いんじゃない?」

 林が言うと。

「う、わかったよ」

 と言い黒嶋は去っていく、林は拍子抜けしたような顔になる。

 だけど、それは当然だ。黒嶋は俺が前制裁を加えた為、激しい否定や目立つ事を避ける。

 林の言っている事は正論だしそれに激しい否定をするのは調子乗ってるとなるし目立てばうるさいなどの悪いイメージを持たれるからだ。高一の頃はある程度の権力を持っていた頃なら別だが今ではその権力も皆無だろう。

 赤村なんかは横向いて気まずそうな顔をしているし

 だがまあ赤村なんかはどうでもいい今重要なのは水原だ。

 頑張って話しかけたのにあの態度あれでは傷口を抉るだけとなってしまう。すると

「ありがとう、林さん」

「ううん、別にそれより絵里でいいわよ」

「うん」

 そんな会話が聞こえてきた。林は話題の方向を変える且つ自分の事を下の名前で呼んでいいという事である程度今の行為が無意味じゃないようにした、のはいいんだが俺にめっちゃドヤ顔で見てくるんだけど。

 しかも近づいてきたし自慢すんの?マジかよ。ついでに水原も来る。

「どう?深山君、あれが正しいやり方よ?」

 おいおい水原いるんだぞ?

「え、なんの話?」

「ごめんなさい水原さん二人だけで話したいのよ」

 言い方おかしいだろ、おいマジかよお前。

「え?うんごめん邪魔だったよね、そっかそういう事なのか」

 ほら、これなんか勘違いしちゃったんじゃない?

「え?そういうこと?よくわからないけど邪魔というわけでは……」

「ううん、いいのじゃねー」

 水原はそのまま席に着く

「おい、どうしてくれるんだよ、お前」

「え?何が?」

「はぁもういいや、で何の用だよ」

「そう、あなたじゃなくてもう一人の方に会いたいんだけど」

 なんだ?こいつ俺が二重人格者かなんかとでも勘違いしてんのか?こいつってもしかして詐欺とかひっかかりやすい奴なんじゃ、まあいいやこのまま騙しておこう。面白そうだし。

「ほら、ここじゃ目立つから無理、あいつには後で内容教えとくし」

「いえ、彼じゃないと、まあいいわ昼休みあの場所でもう一回会いましょう」

 あの場所ってのは最上階の屋上の扉の前だろう。

「あ?ああまあいいけど」

「それじゃあね」

 何かクラスがざわざわしてるよ?あいつ初日に呼びだしたり次の日にも呼びだしたり水原に勘違いさせたりマジかよ。周りの空気とかわかんないの?いやあいつわかっても気にしなさそうだな。

「深山君?」

 松原か

「どうした?」

「いや松原君って林さんと何かあるの?」

「いや全然まったく何もない」

「そっか」

 あ、俺あいつがなんで性格変わったか聞いてねえ。

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