最終話 もぎたて!フレッシュフルーツ学園
「むうっ!春日先生の拳の質が変わった!」
ゲンジロウの様子が変わったことに気づいた校長が叫んだ。
「どういうこと?校長先生!」
校長が女生徒の質問に答える。
「今までの春日先生は剛の拳・・・
だが、今の春日先生は柔の拳に変わったのだ。」
「柔の拳?」
「剛の拳は相手を砕き倒す力強い攻撃の拳。
反対に柔の拳は相手の攻撃を受け流す防御や、相手の防御力を下げる攻撃補助の拳なのだよ。」
「防御力を下げる・・・
分かった!!ルカナンねっ!
そうだわ!ルカナンよっ!!」
「いや、呪文じゃなくて・・・」
「絶対ルカナンですぅ〜。」
「・・・」
この娘ちょっとめんどくさいと校長は思ったが、構わず2人の戦いを注視した。
「俺の剛拳を受けてみよっ!」
矢継ぎ早に繰り出される土門の一撃必殺の剛拳をゲンジロウは柔らかく軌道をそらして流していく。
「くくっ!だが、防御だけでは勝てぬぞっ!」
「次は俺の番だっ!」
ゲンジロウが土門の拳をかいくぐりその腹に両手のひらをつけた。
その次の瞬間、ゲンジロウは両手を素早くのの字に回し始めた。
「貴様・・・腹のマッサージなどと・・・
血迷ったか!!」
校長はその光景に一瞬戸惑ったが、すぐにその真意を理解した。
「いや、ただのマッサージではない!」
「校長先生、どういうこと!?」
「あれは布石・・・腹をマッサージして刺激を与えることにより鋼鉄の便秘が体内の水分を吸収して柔らかくなるのだ・・・」
「柔らかく・・・
分かったわ!ルカナンねっ!
そうよっ!ルカナンだわっ!」
やっぱりこの娘めんどくさいと思いつつ、校長は2人の戦いを見守りながら
「この勝負・・・決まった・・・」
ひとりつぶやいた。
「貴様いい加減にしろっ!」
土門が手刀を振り下ろすもゲンジロウは素早くかわして土門の後ろに回り込んだ。
回り込んだ時にはゲンジロウはしゃがんでおり、両手は組まれて人差し指を突き出す格好・・・つまりは土門の肛門はロックオンされていた。
「終わりだっ!土門っ!」
ゲンジロウマグナムが火を吹いた。
「何度やってもそんなもの効か・・・ぬっふうんっっっ!!!」
ゲンジロウの人差し指は深々と土門の肛門につきささっていた。
「な・・・なぜ・・・」
「先程のマッサージでお前の鋼鉄の便秘を柔らかくしていたのだ。もはや便秘という鎧を剥がされたお前はただの高校生に過ぎぬ。終わりだっ!」
ゲンジロウは指先に気を込めた。
「あああああっ!」
「生まれ変われ!真人間にっ!」
ゲンジロウが指を抜くと、土門のズボンの尻の部分がどんどんと膨らんできた。腹に溜まった便秘が爆発的に排出されているのだ。
やがてズボンは弾け飛び、教室全体が茶色に染められ、香ばしい臭いが充満した。
土門はしばらく放心状態であったが、やがて動き出した。
「はっ!僕は一体・・・?」
天の川を目薬にして点眼したような輝く瞳の土門がそこにはいた。
「ああ・・・僕は今までなんて悪いことをしてしまっていたんだ・・・」
「土門・・・お前は生まれ変わったんだ。
これからは光の道を歩んでゆくがいい。」
「はいっ!先生っ!」
こうして世紀末の闇に閉ざされた出洲戸呂井学園高校に新世紀の光が差したのであった。
「春日先生、行っちゃうんですか?」
「ああ。」
「先生、行っちゃいやです。行かないでください!」
生徒達が次々とゲンジロウを引き留めようとするが、ゲンジロウの決意は変わらなかった。
「春日先生、どうしても行くのかね?」
「はい、校長、もうこの学園は俺がいなくても大丈夫です。生徒達を見てください。あいつらは腐ったミカンなんかじゃない。もぎたてのフレッシュフルーツですよ!」
そう言ってゲンジロウは微笑みながら、生徒達皆の顔を見渡した。
土門も、栄田も、他の皆もサングラスをしないと直視できないほどの輝きを放っていた。
「先生!先生!」
「さらばだ。みんな達者でな!」
ゲンジロウは今日も戦い続ける。
そこに助けを求める人々がいる限り・・・




