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第2話 追憶のシーラガ

「な、何が起こった。」

「ただの浣腸だろ?それなのに・・・」



A組最強にしてクラスの支配者である栄田は倒れたままピクリとも動かない。

その様子を目の当たりにしてざわめく生徒達に、廊下から様子を見ていた校長が言った。


「ただの浣腸ではない、肛聖浣腸拳、3000年の歴史を持つ伝説の殺人拳だ。

その極意は浣腸によって肛門に気を注入し相手を内部から爆殺することにあるっ!!」


そう言った後、倒れている栄田を見て顔色を変えた。


「なぜ、こいつは爆発していないっ!?

しかも気絶しているだけだ!!?

春日先生!!

なぜこいつを殺さないっ!?」


校長の叫びはゲンジロウの耳に遠く、ゲンジロウは今は亡き兄を思い出していた。


ゲンジロウには5歳年の離れた兄がいた。

名前はシーラガ、若干の不幸体質と苦労症の為、二十歳(はたち)そこそこにして、その名の通り髪の毛が総白髪となっていた。

シーラガはゲンジロウによく、自らの理想を語っていた。


「お前も知っての通り、肛聖浣腸拳は殺人拳だ。

だが、今はもう21世紀だ。もう殺人拳の時代じゃないんだ。」

「兄さん・・・」

「肛聖浣腸拳は指を肛門に突き刺し、気を注入して相手の内部から爆殺する。だが、注入する気の量を調整して減らせば、全身の細胞を活性化させ免疫力を高めて医療に応用することができる。そして、最近の研究では腸が脳に影響を与えていることが判明していて、肛門から腸に気を流すことにより、脳に影響を与えて凶暴な奴を大人しくさせることも可能なんだ。」

「すごいよ!兄さん!」

「俺はな、ゲン・・・

肛聖浣腸拳を人殺しの為じゃなく、人を救う為に使いたいんだ・・・」

「兄さん・・・」


ゲンジロウが憧れた兄、シーラガ・・・

彼はまさに天才であった・・・

流れるような動き、寸分違わず肛門を穿つ精密さ、創造的浣腸センス・・・肛聖浣腸拳3000年の歴史の中でも屈指の才能を持つと言われた天才シーラガ・・・

彼に悲劇が襲ったのは5年前の冬だった。

寒さで風邪をひいてしまったシーラガは、自身で風邪を治療する為、肛門に指を入れて微弱な気を流していた。

だが、その時!!

シーラガはクシャミをしてしまいその勢いで最大出力の気が指から漏れてしまって爆死してしまったのだ。

ゲンジロウは物言わぬ兄の亡骸を抱きしめながら、兄の意志を継ぐことを誓った。

そして今、教師としてこの荒れ狂う高校に足を踏み入れたのだ。

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