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悪の秘密研究所を壊滅させたら、実験体の少女に懐かれたんだが……。若き凄腕エージェント・ムラサメはある日突然、1児の父となる。  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
オペレーション『Water Side Angel』(水辺の天使作戦)

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第64話 オペレーション・エンジェル、任務完了。

「おっとサファイア、それはダメだぞー」


 しかし俺は、サファイアの天使炉から暴れ馬のように溢れ出す魔力を、俺の天使炉の魔力で相殺にかかる。


「ぁ、ああ、あああああ――!」


 俺とサファイア。

 2人の天使炉が放つ膨大な魔力が、せめぎ合いを始めた。


 限度も加減も知らずに、大魔力を放出してくるサファイア。

 それを抑え込むために、俺も自身の天使炉をフル稼働する。


 俺の身体に膨大な魔力負荷がかかり、


「ぐ……っ!」


 体内を駆け抜ける魔力によって内臓を焼かれるような痛みを覚え、一瞬意識が飛びそうになるが、なーに。

 世界と可愛い娘を救うためなら、こんなもんは子猫のモフモフ猫パンチを喰らったようなもんさ!


 しばらく力比べをすると、次第に均衡がとれはじめ、まずは第1段階をクリアだ。

 あとはこの状態を維持しつつ、サファイアの心を取り戻す!


「サファイア、そろそろ疲れただろ? 早く家に帰って晩ご飯を食べないか?」

「でしたらハンバーグにしましょう。サファイアの大好物ですよね♪」


「おっ、いいな。ハンバーグは俺も大好きだ」


「もちろん知っていますよ。やや硬め寄りの半熟目玉焼きを載せた、ウェルダンのデミグラスハンバーグがカケルの好物ですよね」


「え、お、おう……」


「ちなみに付け合わせの副菜は、ニンジンとタマネギとジャガイモのソテーが、この順で好みですよね。逆にアスパラはやや苦手ですが、健康のために残さずに食べることにしています」


「そ、そうだけど。く、詳しいな……?」


「モチのロンです。なにせわたし達は家族ですから」

「ま、まぁ、そう……だよな?」


「そういうわけなので、サファイア。早くおうちに帰ってハンバーグを食べましょうね♪」


 こんな風に、俺とミリアリアはサファイアに何度も何度も語りかけた。


 最初は叫びながら魔力を放出するしかしなかったサファイアだったが、しばらくすると変化が生じる。


「むらさめ……? ママ……? ハンバーグ……たべる……」


 まだ目はうつろだが、明らかにサファイアの反応が変わった。

 意識が戻りつつある!

 ならばここで一気にサファイアの意識を引き戻す!


「ああ、パパとママだぞ。帰ったら美味しいハンバーグを食べような」

「海で遊んでおなかペコペコでしょ? 腕によりをかけて作っちゃうからね」


「はんばーぐ、たべる……うみ、いっぱい、あそんだ……たのし、かった……」


 もちろん重傷を負っているミリアリアは、この後イージスの医療施設で即、治療を受けないといけない。

 サファイアも天使炉の暴走で身体にダメージを受けているだろうから、ハンバーグはまた後日になるだろう。


 が、それを言うのは野暮だしKYだ。


「イルカさんでバタバタして、楽しかったよな。バタバタ、すごく上手だったぞ?」

「うん、すごく、たのしかった……」


「水鉄砲でも遊んだわよね。びゅー、びゅーって。エイムもすぐに上手になったし」

「あそんだ……びゅーって、いっぱい、した……」


「夕方になるまで3人でいっぱい遊んだよな」

「楽しかったよねー」


「うん……また、うみ、いきたい……」


「何度だって行けるさ。だから戻っておいでサファイア。またみんなで海に行こう」

「そうよ。カケルパパとママのところが、サファイアの居場所なんだから」


「うん……」


「ポメ太だっているぞ」

「おうちに帰ったらピースケ2号もいるわね」


「みんなで一緒にまた暮らそう」

「サファイア、どうかな?」


「むらさめ、ママ……。それにポメ太、ピースケ2ごー……。また、いっしょが、いい……」


 サファイアの声が完全にいつものサファイアに戻った。

 目はまだ少しうつろに見えるが、これは多分、疲れて眠いだけだと思う。


 事実、暴走していたサファイアの天使炉がガクンとパワーダウンし、立ち上っていた真紅のオーラもほとんど見えなくなった。


 ふぅ。

 どうやらラスト・ミッションは成功したようだ。


「みんなずっと一緒だよ。お帰りサファイア、大変だったな」


「ただいま、むらさめ。なんか、ぼーっとしてた、きがする」

「みたいだな」


「お帰りなさいサファイア。無事でよかった。本当によかった……」


「ただいまママ。あれ、ママ、すこし、しんどそう?」

「え? ぜんぜんちっともそんな事ないけど? ピンピンしているわよ? サファイアこそ、かなり疲れてるように見えるけど」


 これは――暴走していた時の記憶はないのか?

 ま、それはそれでよかったかな。


「なんか、ねむい……」


「だったらこのまま寝ちゃってもいいぞ」

 優しく言いながら、サファイアの頭を撫でてあげる。


「ぁ……」

 するとサファイアが気持ちよさそうに目を細めた。



 バタバタバタバタ!


 遠くからヘリのローター音が聞こえてくる。

 それも複数。

 よく聞き慣れた、イージスのヘリのローター音だ。


「迎えが来たみたいだな」

「音の感じからして輸送用が1台、対地戦闘用が3台といったところでしょうか」


 攻撃を受けたことを知ったイージス本部が、虎の子の空挺(くうてい)部隊を緊急で派遣してくれたに違いない。

 まぁ、戦闘用ヘリはもう必要なくなってしまったが。


「サファイアもおねむみたいだし、俺たちも帰りはヘリでゆっくりさせてもらうとするか」

「ですね」


 サファイアがいるから口には出さないが、正直かなり疲れていた。

 ミリアリアにいたっては、疲労にプラスして身体中が痛いはず。


 ヘリで搬送(はんそう)してもらえるならありがたい。


「ヘリコプター? グルグルする、ひこうき? サファイアも、のれるの?」

「もちろん乗れるぞ。さぁ、帰ろうか」


「帰りましょう」

「うん!」


 こうして俺たちは悪の科学者エンドレス・ウォーカーを逮捕し、天使炉の暴走を止め。

 オペレーション・エンジェルは成功という形で終わりを告げた。

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