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第45話 水鉄砲でビュッ!

 それも一段落すると、今度は砂浜に上がって水鉄砲で遊ぶことにする。


 しかし海に来てからここまでずっと遊び倒しだ。

 普段からエージェントとして鍛えている俺やミリアリアと違って、サファイアはまだ幼い。


 海に来るまでの車の中でも、持ってきたポメ太を抱き締めながら、みんなでしりとりをしたり、ミリアリアと一緒に大好きなアニメの歌を歌ったりと、はしゃいでいた。


(さすがにポメ太は潮風にあたると痛むので、浜辺には持ってこれず、車の中で一人でお留守番してもらっているが)


「サファイア、疲れてないか?」


 次の遊びを提案する前に、俺はサファイアが疲れていないかと少し心配をしたのだが、


「ぜんぜん、だよ!」


 全力ではしゃいでいたにもかかわらず、サファイアはまだまだ元気いっぱいの様子だ。

 OK。

 これなら大丈夫そうだな。


 というわけで、


「次はこれで遊ぼう」


 俺はカラフルなプラスチックでできた、見るからにオモチャと分かる銃をカバンから取ってくると、サファイアに見せた。


「これは、なに? きれい!」


 するとサファイアは目を大きく見開いて、興味津々といった様子で、いろんな角度から水鉄砲を眺め始める。


 ちなみに水鉄砲がやたらとカラフルなのは、実銃と違うことがすぐ分かるようにという配慮だ。


「これは水鉄砲っていう遊び道具だ」


「みずでっぽう?」


「ここのタンクに水を入れてトリガーを引くと、水がひと固まりになって発射される。水を発射する鉄砲だから、水鉄砲だな」


「ふんふん」

「実際にやってみるぞ。こうやって水を入れて、蓋をして、トリガーを引くと──」


 タンクの蓋を開けて海水を充填し、トリガーを引いてみる。


 ビュッ!

 水鉄砲の先から水弾が発射された。


「わわっ!? すごいっ! サファイアも、やりたい! ねえねえ、サファイアも、やる!」


 サファイアは水鉄砲を持つ俺の手を両手で掴むと、必死な顔でお願いしてきた。


「どうやら気に入ってくれたみたいだな」

「すごく、きにいった!」


 もちろん水弾といっても──本格的な撃ち合いをするウォーターライフルとは違って──小さな子供用のオモチャなので、威力はないし、たいして距離も飛ばない。


 拡散率が高く、有効射程距離はせいぜい4、5メートルってところだ。

 トリガーも軽い。

 サファイアの力でもなんなく引くことができる。


 それでも一応、念には念を入れて、安全のためにサファイアには水中ゴーグルを付けてもらう。


「すぐやろうな。でもその前に、これをつけて欲しいんだ」


「これは、メガネ? でも、サファイア、メガネなくても、よく、みえるよ?」


「これは水中ゴーグルって言って、水弾が目に当たると危ないから、これをして目を守るんだ」


 言いながら、俺は自分用の水中ゴーグルを着けてみせる。

 それを見て、見よう見まねで水中ゴーグルを着け始めるサファイア。


「うんしょ、うんしょ……」


 しかし、シニヨンでまとめたお団子に引っ掛かって上手く着けられずにいた。

 それを見て、


「はーい、サファイア。ちょっとだけ手の力を抜いてね。お団子に引っ掛かっちゃっているのを、通してあげるから」


 ミリアリアが調整してあげる。


「うんしょ……できた! めがね、にあってる?」


「おう、かっこいいぞ」

「よく似合ってるわよ」


「やった!」


「じゃあはい。お待ちかねの水鉄砲だ。さっき俺がやったみたいに、ここの蓋を開けて水を入れるんだぞ」


「わかった!」


 サファイアはしゃがみ込むと、慣れない手つきで水鉄砲のタンクに水を入れ、蓋を閉める。


「これであとは撃つだけだ」

「うん! みずでっぽう、いくよ!」


 サファイアは手にした水鉄砲を、迷うことなく俺に向けると、

 ビュッ!

 ためらうことなくトリガーを引いた。

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