終戦……
「そうか……」
私、星月夜翡翠は、呪莉さんたちの場所へ戻ったけど、そこにいた死神たちは既に倒されていた。
冷静に考えれば当たり前だ、呪莉さんも望初さんも幽依先輩も明里先輩もいたら、かなりの戦力だから。
呪莉さんは戻ってきた私たちを見て、全てを察したかのように空を見ていた。
「……あまり気にするな、そのようなことは山ほどあるんだぁよ」
呪莉さんは優しい声でそう言ってくれる。
だけど、今は。優しくされればされるほど辛い。
今死神と戦うことができたなら、どれほど楽になれただろうか?
横にいるメロディー先輩のことは怖くて見ることができない。
「メロディー……」
幽依先輩が心配そうにメロディー先輩に声をかける。
「……」
メロディー先輩は何も言わない。
「とにかく、一旦私は勇輝のところ……魔法屋に戻るから、頼んだよ」
呪莉さんがそう言うと、すぐに結空さんによって魔法屋に戻された。
「みなさん!」
呪莉さんと入れ違いでレンレンさんがやってきた。
「大体の区画は奪還できました。本当にありがとうございます」
それは嬉しいはずの言葉。
頑張って戦って、魔法学校は取り戻せてきている。これで希望学校に死神が来ることもない。
清々しい気分になっていいはず。
「一旦そっとしておきましょう」
望初さんがなんか言って、みんなは立ち去っていった。
胸が苦しい。
それは、どうして?
いや、理由は明白だ。
炎帝さん……
「……最低」
私は自分で自分にそう言ってみた。
だけど、何も変わらない。
今も炎帝さんの声が、メロディー先輩の声が、頭に響き続けている。
私がちゃんと鎌を見ておけば……
私がもっと強ければ……
「強さを求める?」
誰かから声をかけられた。
「あの時、炎帝さんに手を下さなきゃいけなかったのは私だったんです」
その声に応えた。
もちろん、戦闘能力という意味での強さも足りていなかった。
でも、何より足りていなかったのは、心の強さ。
あの時、私は何もしなかった。できたはずなのに。
「おいでよ、精神面からも強くなれる」
この誘いに乗りたい、と感じてしまうこと自体が弱さなのだろうか?
「あなたは誰ですか?」
声のする方を見てみる。そこにいたのはメイド服の人。
「私はメイ、魔法学校の生徒会の者です」
帆野歌さんが言ってた生徒会のいなくなってた人か。信じていいのかな?
だって、この人がちゃんと帆野歌さんのところにいて、指示を聞いて、しっかり戦っていれば、こうはならなかったかもしれないんだよ。
いや、人に責任を押し付けちゃいけない、分かってるけど……
「それで、どうするの?」
いつのまにかメイさんの顔が目の前のあった。
強くなりたいよ……でも、ここで縋っちゃっていいの?
「大丈夫、ほら魔法学校の子達みたでしょ?エリカとか防とか、強いでしょ?」
2人ともすごく強かった。
それなら、大丈夫なのかな?
「お願いします」
私はそう言ってメイさんに着いて行った。
無償で強くしてもらえるわけなどないのに。
メイさんの目的も所属も何も知らないまま。
「そういえば、あの子はそろそろ?」
虹蝶望初は流石に遅すぎると思い、翡翠を探していた。
「こっちは見つかってないです……」
レンレンを筆頭に、魔法学校の生徒もそれに協力していた。
『希望学校にも戻ってきてないよ』
虚空から響くのは虹蝶結空の声。
「一体どこへ?」
望初は首を傾げる。
「無事だといいけど……先輩、言いすぎちゃったわ」
その横でメロディアスは落ち込んでいた。自身の無力さに絶望していたのだ。
「とにかく探すのです」
それを三島幽依が慰め、鼓舞している。
「ええ、きっと見つかります」
そう言う小石明里は既に回復の準備をしていた。何があってもいいように。
「手伝います。翡翠の目をした希望学校の制服の人ですよね?」
「探すのかしらぁ」
魔法学校の生徒も声を掛け合い、駆け回っている。
魔法学校にとっては、少しでも戦いに参加してくれただけで救世主だから。
この捜索が打ち切られるのは、まだ先の話。




