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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
結界奥義
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魔法学校奪還戦③


「えっと、サソリってこんなのだったっけ……」

 私、星月夜翡翠(ほしづくよひすい)たちはサソリの元へたどり着いた。

 だけど、そこにいたのは化け物だった。

 私たちが戦ったサソリよりもずっと、化け物だった。

 尻尾が髪の毛と普通のもので3本あるのはもちろん、サソリの周囲には大量の鎌が漂っていたのだ。

「大丈夫だぁよ、どんな強い攻撃も当たらなければいいだけだからねぇ」

 呪莉(じゅり)さんはそんなことを言っているけど、当たったら即死っていうのもなかなかプレッシャーだ。

 これが人形の一つでしかないというのだから、炒菜椿(いりなつばき)の強さって底が知れないな。

「防御力が分からないからねぇ、一旦攻撃は全部私が引き受けるから、思いっきり魔法をぶつけてほしいんだぁよ」

 呪莉さんが頼もしいことを言ってくれたので、私は重力制御をサソリにぶつける。周囲を舞う鎌の高度が若干下がったけど、サソリ本体にダメージはなさそうだし……

「固有魔法、翡翠神、属性奥義」

 望初(のぞめ)さんも魔法をぶつけたが、周囲の鎌にはじかれてしまった。

 今度はサソリが鎌を飛ばしてきた。

 しかし、呪莉さんがどこからともなく取り出した笛を吹くと、すべてがあらぬ方向へと飛んで行った。

「なるほどねぇ、任せてくれ」

 呪莉さんがそう言って、一歩でサソリとの距離を一気に詰める。

「それっ」

 呪莉さんが笛で思いっきりサソリを殴る。

 サソリは吹き飛ばされるが、鎌は宙に漂ったまま。

 あ、なるほど。

「重力制御!」

 詠唱して、気合を入れて魔法を打つ。

 サソリの鎌の制御力が落ちているこの一瞬の隙に鎌を無力化しろってことだよな。

 そもそも、隙を作れた呪莉さんがすごすぎるんだけどね。

 その時、横に気配を感じた。

 奇襲!?

「もう一体来てるわ……中級魔法、風属性、突風」

 新たな死神がやってきて、襲い掛かってきたが、望初さんが魔法で威嚇して、何とか食い止めた。これ以上死神が来ると普通に困るんだけど……

「固有魔法、火属性、劫火牢」

 詠唱が聞こえたかと思うと、今奇襲してきた死神が吹き飛ばされる。

「こっちは何とかする」

 そう言って死神を追いかけていったのは炎帝(えんてい)さん。

 魔法屋店主のみんな、来てくれてるんだ。心強い。

「即死攻撃であることに変わりはない、油断は禁物だぁよ」

 サソリが起き上がってきた。

 だけど、周囲の鎌はなくなったので、さっきよりは倒せる希望がある。

「固有魔法、魔法屋店主、蝶ノ舞」

 望初さんが攻撃をかわしながら距離を詰めていく。

「固有魔法、翡翠神、属性奥義」

 そしてサソリを吹き飛ばした。

「望初、強いねぇ」

 呪莉さんがのんびりと話しながらも笛でサソリを吹き飛ばし、追い打ちをかける。

 これなら、行ける。

「加勢するね」

 その言葉と共に飛んでくる大量の氷。

 それは勢いよくサソリに突き刺さっていく。

 レンレンさんだな。

 私も結界奥義でサソリを切り刻みにかかる。

 そして、すべての魔法がぶつかったとき……

 サソリの姿は跡形もなく消えていた。

「やった……」

 思わず声を上げてしまったが、望初さんの視線が冷たかったので慌てて口をつぐんだ。

 そうだよな、サソリは倒せたけど、まだまだ死神はいるもんね。

「一旦、炎帝のところに加勢しようか。栄華(えいが)がどこにいるのか分からない以上、むやみに加勢するのは危険だからねぇ」

 呪莉さん、その言い方だとまるで栄華さんが危険みたいな……

「栄華さんに集団戦は無理、強すぎるのよ」

 望初さんが補足してくれる。なるほど……

「じゃ、こっちだ」

 呪莉さんの誘導に従って私たちは走る。

 レンレンさんは遊撃をしているらしいので、そこで別れた。

「超級魔法、水属性、蒼海嵐舞」

 死神の魔法が炎帝さんに向かう。

「よりにもよって水属性かよ!?」

 炎帝さんは必死に回避している様子だ。確かに炎帝さんの火属性と水属性は相性が悪いな。

「あれは死神四天王だぁね。元生徒会長?」

 呪莉さんが油断なく笛を構えながら言う。

 四天王ってとこまでは分かったけど、そのあとの元なんとかっていうところは聞き取れなかった。

「中級魔法、雷属性、落雷」

 望初さんが水属性に有利な雷属性の魔法で相殺していく。

「それっ」

 その隙に呪莉さんが一気に距離を詰め、死神の胸に笛を突き刺す。

 それだけで死神は光となって消えていく。呪莉さん強すぎないか?

「……落ちぶれたな」

 呪莉さんが最後に何か言っていたけれど、良く聞こえなかった。

「助かったぜぇ」

 炎帝さんが呪莉さんに抱きついている。呪莉さんは鬱陶しそうながらも炎帝さんを受け入れている。

 確かに、炎帝さんにとっては絶望的な戦いだったんだろう。

「さあ、次だぁね」

 炎帝さんに抱き着かれた状態で言われても説得力はあんまりないけど、まだまだ戦いは続く。気を引き締めないと。

 


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