魔法学校奪還戦②
「ようこそ、そして感謝を」
生徒会室に入るなり、私、星月夜翡翠たちはそう言われた。この人、見たことある。生徒会長だ。
「私は生徒会長、闇空帆野歌と申します」
ほら、やっぱり生徒会長。
「今の状況を尋ねたいです。希望学校に死神が来ていたので、相当不味いことにはなっていると思いますが……」
望初さんが尋ねる。
「その通り、原因は魔法学校が希望学校との連絡を断ったこと。世界への反逆者とも戦わなくてはいけない希望学校が孤立したから、死神がチャンスだと思って攻め込もうとしている感じね。だけど……」
帆野歌さんの言葉が止まる。
「魔法学校もまた、孤立していた、と」
望初さんがその言葉をつなげる。いや、頭いい人たちの思考は分からないな。
「じゃあ、問題はどうして連絡を断ったのかってところですか?」
私は聞いてみる。
「いえ、今の問題はいかにして魔法学校を奪還するかってところよ。このままじゃ希望学校までやられる」
望初さんにあっさりと否定された。うん、そうなの、か?
「希望学校に、伝えたほうがいいかな」
珠夜さんがそっと呟く。
「援軍が見込めるなら、それに越したことはない。ただ、こっちから連絡を絶っておいて、それは虫の良すぎる話だ」
帆野歌さんは辛そうな表情だ。おそらく、魔法学校が希望学校との連絡を絶ったのは、生徒会長である帆野歌さんの意思じゃないんだろうな。もっと上のひと、校長先生とかの指示なのかな。
「だけど、ここが占拠されたら希望学校は……だからみんな来てくれるよ」
珠夜さんがそう言って、部屋から出て行ってしまった。おそらく、希望学校まで走るつもりなのだろう。
「ごめんなさい、でも、私は珠夜を止めないわ。賛成だから」
望初さんが珠夜さんの代わりにそっと謝る。
「恩に着る」
帆野歌さんは申し訳なさそうに頭を下げる。
「今、死神はどれくらいいるんですか?」
私は聞いてみた。一人だけちょっとずれたこと言ってるかもしれないけど気にしない。
「四天王が全員と。即死攻撃を打ってくるよく分からないのが一人と。あと三傑も一人来ているわ」
つまり六人か。即死攻撃はサソリで三傑はミレイユだと思う。四天王ってなんだかんだ会ったことないな。会いたくないけど。
「それで、魔法学校の戦力は?」
望初さんが尋ねる。
「生徒はパニック状態で、戦えるか分からない。生徒会の1人のメイはいないし……確実に戦えるのは私とレンレン、帆傘だけ」
帆野歌さんが難しい表情をしている。希望学校の間を見張っていた人たちとか戦える気がするけど、ダメなのかな?
「私の指示は誰も聞かないわ。だってそういう風に印象を操作してきたから」
帆野歌さんの表情には後悔が見える。というか、今、思考読まれたような……
「だそうです。結空さん」
望初さんが虚空に向けて声をかける。ということは既に珠夜さんは店主の間に到着していて、結空さんが会話を聞いているということ?珠夜さん速すぎ……
「状況は把握した。速やかに人を派遣する」
虚空から聞こえた声は遡楽さんのものだった。
「翡翠、望初。サソリを」
遡楽さんの言葉に私と望初さんは顔を見合わせて、頷きあった。
そしてそのまま生徒会室から出た。
「私も行くんだぁよ」
そしたらいつのまにか呪莉さんが目の前にいた。
「呪莉さん、来ちゃって大丈夫なんですか?」
望初さんが怪訝な目を向けている。確かに呪莉さんが魔法屋からいなくなれば、死神は普通に魔法屋から希望学校に攻め込めばいいことになる。
「勇輝はもう弱くないからねぇ」
呪莉さんが謎に自信満々に言う。
「それなら安心ね」
望初さんが納得したように頷いた。
「行こうかねぇ」
サソリの居場所は分かってた。なんか覇気がすごいからなんとなく分かるのだ。そして私たちはそこへ向けて歩き出した。




