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私、星月夜翡翠たちは今、炒菜椿の人形、サソリと戦っている。
「固有魔法、翡翠神、属性混合」
望初さんの魔法がサソリに向かって放たれる。
サソリの攻撃は当たったら即死なので、遠距離から攻撃していく感じだ。
だけど、遠くから魔法を打ってもサソリには避けられてしまう。
やっぱり近づかないと倒せないのかな…
「マヨタン、やってみる」
珠夜さんがそう言って、一歩下がって深呼吸をする。
「固有魔法、風属性、俊足」
次の瞬間には、猛スピードでサソリに突っ込んでいた。
「超級魔法、風属性、爆風神刀!」
珠夜さんの魔法は一点に圧縮されていた。
その風の刃がサソリのしっぽを捉える。
「……!?」
サソリのしっぽが宙を舞う。
今やるしかない。
結界奥義でサソリを狙う。
しかし、サソリが軽くジャンプすることで避けられてしまった。
「上出来よ、固有魔法、翡翠神、属性混合」
望初さんが宙に浮いたサソリを確実にとらえる。
そのままサソリを壁まで突き飛ばした。
粉塵が舞って姿ははっきりと見えないけれど、ダメージは負ったはず。
「んー、サソリ、本気を出すんだゾ☆」
炒菜椿があくびをしながら話す。随分と余裕な態度だ。
それより、今までのサソリは本気じゃなかったのか。
「……」
サソリのしっぽは復活していた。
さらに、サソリの髪が伸びる。
頭の左右に一つずつ、さらに尻尾の形をした髪が追加された。
髪の方も当たったら即死なのか……?
「即死よ」
私の心の中の疑問に望初さんが答えてくれる。
普通の尻尾と髪の尻尾で合わせて三つ。これだと珠夜さんも迂闊に近づけない。
「勝てるカナ☆」
炒菜椿が楽しそうに私たちを見つめている。
次の瞬間、サソリがすごい勢いで突っ込んできた。望初さんに向かって。
「固有魔法、魔法屋店主、蝶ノ舞」
望初さんが魔法を使って攻撃を確実に回避していく。
だけど、三本もの尻尾を避け続けるのはなかなか大変そうだ。
「私を巻き込みなさい」
望初さんが言った。
私は珠夜さんと顔を見合わせる。
「翡翠ちゃん、どうする?」
私は珠夜さんの言葉に返事をしなかった。
干渉制御で空気への干渉を外して走る。
そのまま望初さんとサソリの近くで空気に干渉して、軽い爆発を起こした。
望初さんもサソリも吹き飛んでいく。
「なるほど、超級魔法、火属性、灼熱絶火!」
珠夜さんがそこで、サソリだけに魔法を打ち込む。
「望初さん!大丈夫ですか」
私は望初さんに駆け寄る。吹き飛ばしたのは私だけどね。
「問題ないわ、サソリは?」
望初さんはこう言ってるが、無理をしている感じがある。
「固有魔法、風属性、爆風神刀」
珠夜さんがサソリがいる方向へ念入りに追撃していた。
「なかなか……サソリが壊れるからそろそろやめるんだゾ☆」
炒菜椿がそう言って、サソリをどこかへ消した。
やった。
「さて、椿様が直々に顔をボロボロにしてあげるカナ☆」
炒菜椿が立ち上がる。
「あなたですか?るるの兄を殺したのは?」
今しかない。
私はここに来た目的を果たすため、炒菜椿に質問する。
「るる?兄?……人間界の子カナ?椿様は人間界では誰も殺してないんだゾ☆」
炒菜椿は首を傾げている。露骨に嘘をついている様子はない。
「君たちが人形をつぶしたんだゾ☆」
その目は静かだった。怒っている……
この様子だと、るるの兄の失踪と炒菜椿は無関係だ。
「望初さん、珠夜さん。帰りましょう」
目的は果たせたので、ここにとどまる意味も、危険な戦いをする理由もなくなった。
「逃がすわけないんだゾ☆」
椿が虚空から鎌を取り出す。
「ゾメッチ、乗って」
珠夜さんが望初さんを背負う。
「走るよ、翡翠ちゃん。固有魔法、風属性、俊足」
駆け出した珠夜さんに、重力制御でついていく。
もちろん、背中に結界奥義を貼りながら。
鎌が投げつけられたけど、結界奥義で何とか防げた。
そのまま私たちは死神山を駆け抜けた。




