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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
結界奥義
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振り返り、そして


「それは迷うんだよ」

 目が覚めていた(すみ)ちゃん、ユェンユェンと共に、私たちは店主の間から寮へ帰ってきた。

「……炒菜椿(いりなつばき)を早急に調べたい気持ちは分かる、でも、邪魔が多すぎる」

 私たちは今、今後について話し合っている。

 私が炒菜椿について調べるために死神山へ行きたいと言い出したからだ。

 ユェンユェンの言う通り、世界への反逆者もいれば、ミレイユや子栗鼠(こりす)ちゃんみたいな強い死神もたくさんいる。

「やりたいことをやるべきとは思うんだよ」

 澄ちゃんはいいこと言ってる風にして思考放棄をしてしまっている。少しでも私のために考えてくれただけでありがたいけどね。

「……何をするにせよ、計画性がない。今までも、これからも」

 ユェンユェンの言う通りだ。だけれども、これは計画を立てられるような問題じゃない。突然襲撃されるかもしれないし、逆に相手の不意をつくことができるかもしれない。

「一旦、整理したいな」

 だから私はそう言った。まず、やるべきことをまとめるところからだ。

「……了解」

 ユェンユェンはそう言って目を閉じる。

「……まず、霊界には主に四つの勢力。死神、世界への反逆者、魔法学校、そして希望学校」

 ユェンユェンの言葉に私は黙ってうなずく。

「死神は、死神山にいる感じなんだよ。最近は魔法屋にも来てるらしいけれど、基本的には出てこないんだよ」

 澄ちゃんも説明をしてくれる。

「世界への反逆者は、紡琴羽(つむぎことは)をリーダーとする組織だよね。規模とかは未知数だけど、日生蓮(ひなせれん)とか規格外の人物もいる……」

 私も情報の確認に加わる。

「……ひなせ」

 ユェンユェンが遠い目をする。

「魔法学校は連絡が取れなくなっちゃったらしいんだよ。でも、争っているわけじゃないから、今は気にする必要ないと思うんだよ」

 澄ちゃんも結構詳しいんだな……

「希望学校はここだよね。元魔法屋店主もたくさんいてかなりの勢力だと思うけど……」

 自分の無知をすごく思い知らされるけれど、出来る限り知っていることを話す。

「……そして、警戒するのは死神と世界への反逆者」

 ユェンユェンが静かな声で話す。

「どっちも強いんだよ」

 澄ちゃんは不安げだ。

「ユェンユェン、一番警戒するべきなのは、分かっている範囲だと日生蓮?」

 一応確認する。まあ、全員警戒しないといけないのは分かっているのだが……

「……一応、そう。でも、虹蝶みゆの動きは未知数だから、そっちも」

 みゆさん……

 いきなり望初さんの体を乗っ取って襲ってきたりとか、かなり謎なんだよな。

 虹の蝶の超複雑な魔法も扱えるし、ユェンユェンの言う通りなら霊界と人間界が出来る前より生きているつわものだし、本人曰く世界を作った翡翠神、柘榴神を知ってるっぽいし。

「世界への反逆者が未知数すぎるんだよ……」

 澄ちゃんの言う通りだ。

 組織の規模も戦力もいまいち分からない。それと、目的もよく分かっていない。

 繭羽(まゆう)先生と呪莉(じゅり)さんの話だと琴羽さんは体がいろいろ欠けていたけど、サイボーグ的なものがずっともらえなかったから、世界に反感があるとか。

「不確定要素、多すぎるね」

 私はぼんやりと呟く。

 結局、考え込んだところでどうにもならなかった。

「……自分で歩いて、探す方が、性に合ってる?」

 ユェンユェンの言葉に頷く。

「気になったこと、いろいろあるので」

 私は立ち上がった。

「いってらっしゃいなんだよ。澄は止めない、ヒッちゃんが強いの分かってるから」

 澄ちゃんが見送ってくれる。

「……そろそろ、足手まといになるから、付いていかない」

 ユェンユェンにはそんなことを言われてしまった。ユェンユェンが足手まといに何てなるわけないと思うんだけど……

「……力、無限にあるわけじゃない」

 そっか、なんか寂しいね。思い返せば、最近ずっとユェンユェンがそばにいてくれた。

「ユェンユェン、弱くなっちゃうの?」

 でも、ユェンユェンの言葉が少し気になったから聞いてみた。

「……レンレン、ツェンツェンと力、共有してるから……最近レンレンが無茶してる」

 レンレンさんって確かユェンユェンの妹で魔法学校の生徒会の人だよな。

 魔法学校は希望学校との連絡を断っているらしいし、そっちはそっちでなんだか不穏だな。

 二人に改めて手を振って、私は部屋から出る。

 早速死神山に突撃したいところだが、一人で行くのは流石に無茶だ。

 だとしたら、向かう場所は決まっている。

「結局、いくのね」

 店主の間に戻ると、望初(のぞめ)さんがすべてを察したように呆れていた。

「それが翡翠ちゃんのいいところじゃん」

 いつの間にかやってきていた珠夜(たまよ)さんが望初さんの隣に立つ。

 二人、ちゃんと仲直りできてそうだな。

「あの、もしよければ……」

 私は二人を誘おうとした。そんな、遊びに行くような感覚で誘っていいものじゃないのは分かっているけれど、戦力は必要だから。

「知ってるわよ、だから珠夜をここに呼んだんでしょ」

 私が言い終わる前に、望初さんが力強く頷く。

「手伝うよ、結局誰かがやらなきゃ終わらないことだし。ゾメッチがいるんだし」

 珠夜さんもやる気満々だ。

 現段階、私が炒菜椿を倒せる可能性は限りなく低い。でも、調査だけなら何か出来るかもしれない。

 るる……待っててね。


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