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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
結界奥義
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死神の謎

「なるほど、それは不思議な話だ」

 私、星月夜翡翠(ほしづくよひすい)が今いるのは店主の間。ミレイユと戦った後、ユェンユェンの腕を治すために遡楽(さくら)さんに会いに来ていたのだ。

 遡楽さんが魔法で軽く治療を終えた後、ユェンユェンは疲れていたのか眠ってしまった。さらに、先にここへ来ていた(すみ)ちゃんも眠っているらしい。

 私は2人と一緒に帰ろうと思い、2人が起きるまでの間、遡楽さんに戦闘についての話を聞いてもらっていた。

「この子の話だと、ミレイユと名乗っていたと……過去にそう言う名前の魔法屋店主、いませんでしたか?」

 望初(のぞめ)さんが遡楽さんに尋ねる。ミレイユが最後に使った魔法屋店主専用の固有魔法が気になっているようだ。

「聞いたことないね、魔法屋店主は把握しているはずなんだけど」

 遡楽さんが困ったように言う。遡楽さんは見た目が幼女なので、困らせるとなんだか申し訳ない気持ちになる。

「ありがとうございます。魔法屋店主専用の魔法ってどういう仕組みで使えるようになるんですか?魔法屋店主になった瞬間、自動的に使えるんですか?」

 ということで、私は少し違う質問をしてみた。

「魔法屋店主になると虹色の蝶を貰えるのは知ってるか?そこの蝶の中に、魔法が使えるようになる特殊な細工が施されている。みゆが作った超複雑なものだから、仕組みはよく分からないけど」

 虹色の蝶。魔法屋店主はみんなつけてるな、とか思ってたけど、そんなにすごいものだったのか。

「え、それなら……今私が望初さんの蝶を奪い取れば魔法を使えるようになるということですか?」

 持っただけで魔法が習得できるならぜひ私も……

「いや、蝶一つにつき一人までだ。蝶の数は限られているから魔法屋店主を無限に生めるわけではないし……」

 私の甘い妄想は遡楽さんによってバッサリと断ち切られる。

「……この細工を理解したうえで利用できれば、あなたも使えるんじゃないかしら?」

 望初さんがそう言って、蝶を渡してくれた。

 この蝶、よく見たのは初めてだな。よく見るとものすごく細かく魔法陣のようなものが刻まれていた。おそらく、この魔法陣が細工になっているのだろう。

 これを理解?

 利用?

 無理だろっ!

 あれ、でも逆に考えると、これを利用できれば魔法屋店主の魔法を覚えられるってこと……?

「ミレイユはこれを理解して利用したんですか?」

 私は頭に思い浮かんだことを聞いてみた。

「あり得ない……と言い切れないのが怖いところだね」

 遡楽さんが頷く。

「それくらいの能力があるなら、もっと魔法メインの戦いをしてきても不思議じゃないわ。私は別の死神が解読して、ミレイユが実験的な感じで魔法を使えるようになった感じだと予想するわ」

 確かに、そう言われるとそうだ。望初さんの意見には実際に戦って感じたことが含まれていて説得力があった。

「というか、死神ってそんな頭脳派だったっけ?」

 そこで、遡楽さんが今までの話を根底から覆す発言をした。

 言われてみればそんな気もする。

「死神が賢いという印象はないけれど、そんなに愚かな印象もないわよ」

 望初さんは首を傾げている。

 私的には、会話で時間稼ぎ作戦に必ず引っかかってくれる死神は若干ながらも愚かな存在に見えるけれど……

「まあ、死神も個体差があるわけだし、一概には言えないけどね」

 遡楽さんが肩をすくめる。

 議論したけれど、謎が増えただけだな。

「あと、君たちに報告がある」

 遡楽さんが話題を変える。

「君たちがメルちゃん、と呼んでいた存在。あれは人間界から操られている。元々は身体狩りの人形で間違いないのだが、放棄されたりしたのか……」

 唐突に突き付けられる衝撃的事実。

「人間界?そもそも霊界の存在を知っている人なんていないはずなのに、どうして」

 望初さんがまた考え込む。

 私も、謎に魔法屋を見つけるまでは霊界なんて知らなかった。

 夢叶(ゆめか)さんが霊界が存在するということを知っていたから、多分何かしらの記録的なものはあると思うんだけど……

 そんな謎の記録を見たって存在を信じる人は稀だよね。

「そう、人間界には霊界の情報が流れる理由がない。その上、メルちゃんを操っているとなると、人間界から霊界への干渉もできていることになる」

 遡楽さんが望初さんに軽く拍手をしている。望初さんは何か閃いたのだろうか?

「ええ、人間界と霊界を繋いでしまう存在がいなければね」

 そう言った望初さんが私を見た。

「あっ……」

 その瞬間、私の中でいろいろと繋がった。いたじゃないか、霊界の存在を知っている人たち。私が教えちゃったから……

 そして、翡翠神の魔法を持っていた子。翡翠神の力がわずかでも残っているならば、霊界に干渉できるのも納得。

「……るる」

 結界奥義の魔法は私が貰ったはずだけど、るるの中から翡翠神の力が完全に消えているとは限らない。

「あの子ね……」

 望初さんが納得したようにうなずいている。

 望初さんと初めて出会った時を思い出す。

 言ってたよね、魔法屋の扉は普通の人に開けられるものじゃないって。

 だから私は普通の人じゃないって言われちゃったんだっけ。なつかしいな。

 だけど、あの扉を開けれたのは私だけじゃない。死神との戦いの最中に突然入ってきたるる。その時のるるは魔法が使えるようにはなってなかった。

 魔法と翡翠神の力はイコールじゃないのかも?

「行ってきてくれないかい」

 遡楽さんが私にそう言う。

 どこに?それは言われなくても分かる。るるのところだ。

 もちろん、そのつもりだ。

「はい、行きます」

 だから私は二つ返事で頷いた。

「そうね、だとすると珠夜(たまよ)も……」

 望初さんがそう言いかけて止まった。

「仲直りできていないんですか?」

 ふと思い出した、珠夜さんと望初さんがお互いを避けているように感じたこと。

 もしかすると、喧嘩したのかな?

「……」

 望初さんが黙り込む。おそらく図星だ。

「一旦、珠夜さん探してきますね」

 私はそう言って店主の間を出た。

「……待って」

 望初さんがそう言いながらも私に付いてくる。

 この様子なら、すぐ仲直りできる気がするけどな。


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