襲撃者
「……翡翠、どうする?」
ユェンユェンの問いに私、星月夜翡翠は答えられなかった。
メルちゃんは危険だった。澄ちゃんは完全に洗脳されていた。
警戒を強めるとか、調べてみるとか、対策は講じたほうがいい。
「身体狩り、炒菜椿に、私は勝てる?」
ユェンユェンに聞いてみた。身体狩りが倒せるのならばそれが一番手っ取り早いから。
「……分からない、でも、身体狩りは翡翠を殺せない」
どういうことなのだろうか。
「……神は殺せないようにできているから」
ユェンユェンが補足してくれる。
神なのに、私は神なのに。弱くて。今まで絶望していたけれど、ちゃんと神って強いじゃん。
「じゃあ、やられても大丈夫ってこと?」
私はユェンユェンに聞いてみる。この時の私の目、キラキラしてたと思う。
「……そういうことではない」
ユェンユェンが呆れたように話す。うん、そんなうまくいかないって分かってた。知ってた、やっぱり神は強くないんだってさ。普通に魔法はチート急なはずなのに。
「……とりあえず、魔法屋店主たちに任せる?」
そのユェンユェンの提案に私は頷いた。
「あ……」
その時、何か気配を感じた。
その直後、扉が何者かにノックされる。
「……翡翠、出るよ。ここじゃ、澄が巻き込まれる」
ユェンユェンの指示に従い、私は扉を開ける。
突然魔法が飛んできたので、結界奥義で防いだ。
ユェンユェンも部屋から出てきて扉を閉める。
「防がれちゃった」
そう言って笑っているのが襲撃者。
黄色の髪と碧眼を持つ人。その顔立ちはどことなく大人びているように見える。だからこそ、着ている希望学校の制服が違和感だ。
「九十九ちゃんの敵は取らないとね」
その人の服が変わる。死神のものに。
虚空から鎌を一つ取り出すとその鎌の先端に鎌の棒を刺し、円形に丸める。
その丸めた鎌をフリスビーのように投げつけてきた。
「……」
どうやったのか知らないけどユェンユェンが鎌を平然と弾き飛ばす。流石すぎる。
「えーい」
死神はそんな掛け声とともに、鎌を同じようにいくつも投げてくる。ユェンユェンもこの数は流石に防ぎきれない。
私は重力制御で鎌を地面に落としたはずだった。
なんか、鎌、浮き上がってくるんだけど。
「……翡翠、気をつけて」
ユェンユェンがそういうくらいだから、威力は高いんだろう。
鎌への干渉を外してみた。そうすれば鎌は透けた。仮に威力が高いとしても、当たらなければ問題はないね。
「なかなかやるね、お姉さん本気出さないといけないかも」
死神さんがそう言うと、さらに大きな鎌が飛んでくる。
「痛いっ!」
完全に油断していた。
この大きな鎌は私に干渉できるらしい。
「……あれは結局は投擲武器。こっちの動きが予想されなければそもそも狙えない」
なるほど、武器が着弾する瞬間にどこにいるのかを予想されなければ、問題ないということか。
「そんなことないよ」
死神さんがそう言って、大量の鎌を投げてくる。それこそ、逃げ場がないほどに。
まあ、重力制御で上に飛べば逃げれるけど、それだと次が避けられないからやめておく。
鎌に干渉して真っ向から結界奥義で対抗する。
やば、結界裂かれそう。
なんとか防ぎ切れたけど、だいぶきついな。
「……うぅ」
ユェンユェンの腕から血が飛び散る。相手は物量で攻めてきてるから、一発一発を確実に捌いていくユェンユェンとは相性が悪い。
「ここであなたを倒したら、お姉さんほめてもらえるの」
追い詰められるユェンユェンを死神さんは嬉しそうに見つめる。
「強いですね」
私は無駄に話しかけてみる。ユェンユェンから少しでも注意をそらせるといいんだけど。
「そうよ、お姉さん実は死神三傑の一人なの。ミレイユよ、よろしくね」
死神って、こういうのに弱いの?みんな会話にのってくれるけど……
とにかく、会話を続けよう。その間にユェンユェンは服で傷口を縛れるかな?
「三傑、出会ったのは三人目です。虹蝶九十九さんと秋月子栗鼠ちゃんとミレイユさんの三人で死神三傑なんですか?」
なんとなく、質問してみた。
「ええ、誰かのせいで2人になっちゃったけれど」
あ、やばい。地雷を踏んだとはまさにこのこと。
ミレイユが凄まじい勢いで鎌を投げつけてきた。
「……翡翠、ないす」
ユェンユェンは傷口を縛って、再び鎌をはじきまくる。
まあ、時間稼ぎができたならまあいいか。
でも、なかなか厳しい状況だ。




