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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
結界奥義
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メルちゃん

(すみ)ちゃん!!」

 そう叫びながら道を歩いていく私、星月夜翡翠(ほしづくよひすい)は、言葉の通り澄ちゃんを探していた。

「……澄、気配、ある……すすもう」

 ユェンユェンのお墨付きなので、私は迷うことなく道を進む。

「元気そうで何よりなのです」

 道中、ぐったりとした様子の幽依(ゆい)先輩とすれ違った。互いに用事が会ったようなので、あっさり別れたけど。

「あ、ヒッちゃん!」

 ちゃんと澄ちゃんは無事だった。そのことにほっとしたのは束の間だった。

「友達ができたの」

 そう言って澄ちゃんは隣に立つ少女を指さす。

 オレンジの髪と赤い目。

 私はその容姿に見覚えがあった。

 柘榴神と関係があるのか、もしくは身体狩り、炒菜椿の方のなにかなのか。

 いずれにしろ嫌な予感がする。

「メルちゃんっていうんだよ、すごくいい子なんだよ!」

 だけど、無邪気に喜んでいる澄ちゃんに、私は何も言えなかった。

「ユェンユェン、どう思う?」

 どうしたらいいのか分からなくて、隣のユェンユェンにこっそり尋ねてみる。

「……様子見、まだよく分からない」

 ユェンユェンはやんわりとした口調だったけど、視線は鋭かった。

「メルちゃん、こっちきてほしいんだよ!」

 だけど、見れば見るほど、メルちゃん?の異質さが際立ってきた。

 まず、メルちゃんは一言もしゃべっていない。それなのに、澄ちゃんはメルちゃんと会話している。

 そして、メルちゃんは澄ちゃんの指示に驚くほど素直に従っている。まるで、自分の意思がないかのように。

「この2人はヒッちゃんとユッちゃんなんだよ。2人も澄の友達なんだよ」

 澄ちゃんがそう言えば、メルちゃんは素直にこちらに視線を向ける。相変わらずの無言。

「あ、メルちゃんも澄の部屋に来るといいんだよ。そしたら四人で遊べるんだよ!」

 澄ちゃんが笑顔でそう言いながら私たちの方を見る。許可を求めるかのように。

「ユェンユェン、店主の間にこのままいかない?」

 私はそう提案してみる。呪莉(じゅり)さんとかがいれば何かわかるかもしれない。

 ユェンユェンは私の言葉に頷く。

「澄ちゃん、みんなで寄りたいところがあるんだけど、いいかな?」

 澄ちゃんにはそれとなく聞いてみる。

「いいんだよ。メルちゃん行こう!」

 そう言った澄ちゃんがメルちゃんの手を引いて歩き出す。私は澄ちゃんが変なところへ行かないように、前を歩く。ユェンユェンがさっと澄ちゃんの後ろへ回ってくれた。すごく助かる。

 しばらく歩けば店主の間へたどり着く。

「呪莉さんいますか?」

 私はそう言いながら店主の間へ入った。

「……ここって」

「……澄、入るよ」

 澄ちゃんが不思議そうに首を傾げているが、疑問を口にする間も与えずユェンユェンがメルちゃんごと店主の間へ入らせる。

「呪莉さんはいないわよ、騒がしいわね」

 望初(のぞめ)さんがうっとうしそうに私を見ていた。望初さんもなんかれみさんのこととか珠夜さんのこととかで柘榴神について詳しそうだし、聞いてみるか。

「この子について、どう思いますか」

 私はメルちゃんを望初さんの前に連れていく。やっぱりメルちゃんにはっきりとした意思はないようで、私が背中を押せば素直に進んでくれる。

「待ってほしいんだよ」

 澄ちゃんがメルちゃんに付いていっちゃったけど。

「確かに、色々と異質ね。柘榴神との関連も有りうる……」

 望初さんが黙って考え込む。髪の色とか目の色で、やはり柘榴神を連想するようだ。

「ちょっと待って、私ひとりじゃ手に負えないわ。確か呪莉さんは今いないけど、一旦手が開いている人は呼んでくるわ」

 望初さんはそう言って、魔法屋の奥へ行く。私はそっとメルちゃんを見る。メルちゃんは表情一つ変えずにその場に立っていた。

 一瞬、メルちゃんは既に死んでいることを疑ったが、メルちゃんは歩けるし、霊界の存在が死んだとしたら体が消えるはずだからそれはないと思った。

天花(てんか)様じゃ何も分からないわよ!」

「普通に、天花は呼ばなくてよかった」

 天花様と遡楽(さくら)さんが歩いてくる。

「なによ!」

 喧嘩しながら。

 そんな2人をユェンユェンは呆れた目で、澄ちゃんは不思議そうな目で見ていたが、メルちゃんは何も感じていないかのような目で見ていた。

「確かに、柘榴神の力は感じるけれど、柘榴神にしては弱すぎる」

 遡楽さんがメルちゃんの額にそっと触れながら話す。

「ま、天花様もそう思ってたけどね」

 そんな風にふんぞり返っている天花様に遡楽さんは苛立たしげだ。

「誰か、柘榴神の力を利用していた者は知らないか?」

 遡楽さんの問いに人間界での出来事を思い出す。炒菜椿、何故か人間界まで来ていたな。

「身体狩りの炒菜椿……」

 私の言葉に、遡楽さんは納得したようにうなずく。

「おそらく、この子は身体狩りに見捨てられた個体。指示がないから意思がない。どうして希望学校へ来ているのかはよく分からないけど。一旦こっちで預かろう。今のところは害はないが、いつ暴れるか分からないからね」

 遡楽さんが速やかにメルちゃんについて分析してくれた。そんなことあるんだ。

「なんでなんだよ!」

 澄ちゃんが突然声を荒げた。

「あれ、そう言えばその子牢屋に……?」

 天花様が訝し気な目で澄ちゃんを見つめる。

「メルちゃんは悪い子じゃないんだよ」

 澄ちゃんは天花様の様子など気にせず、主張を続けた。


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