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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
結界奥義
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世界への反逆者の侵略

 希望学校の噴水広場にて。

「こんにちは、あの、すみません?」

 道行く人に声をかけるのは希望学校の制服を身にまとった特徴のない少女。

「はにゃ?」

 希望学校の生徒の一人が、その少女に反応する。

 その生徒には特徴があった。片方だけの猫耳、それから猫のしっぽが生えていたのだ。

「少し、お時間よろしいですか?」

 少女は至って丁寧に話していた。だけど、少女を見る生徒の視線は鋭かった。

(ふうじ)を呼んでくるのにゃ、ちょっと待つのにゃ!」

 生徒は駆けだす。

 その時、少女は察した。思ったよりも自分の顔を覚えている人は多いようだ。

 目の前にいた生徒には会ったこともない。そう言う人を狙って声をかけた。まあ、特徴がありまくるその生徒が羨ましかったのも少しあるけど。

 なのに、その生徒はおそらく私が何者であるのか......世界への反逆者であることを理解していた。

 封、って言うのは、おそらく前に一瞬だけ交戦した強護(ごうもり)封のことだろう。強護封は私のことを忘れなかったうえに、仲間にまで私の存在を伝えていたことになる。

 だとすると、あの生徒を行かせるわけにはいかない。

「模擬化け」

 私だって、強護封の顔は覚えている。

「慌てすぎなのかしらぁ」

 なんとなく、生徒が向かった方向へ行きながら、適当に強護封の真似をしてみる。

「あ、封だにゃ!まずいのにゃ、この前、封が気をつけろっていってた虹蝶理恵(にちょうりえ)がいたのにゃ!噴水広場の方にゃ!」

 まあ、私が虹蝶理恵なんですけどね、というのは心の中にひっこめて、なんとか強護封っぽく振る舞わないと。

「それは大変、急いで向かうのかしらぁ」

 なんか、こんな感じにしゃべっていた気がする。

「りゃいりゃも行ったほうがいいにゃ?」

 りゃいりゃ?この子の名前か?

 それとも、この子とは別の人物を指している?

雷羅(らいら)、お疲れ様なのかしらぁ。固有魔法、無属性、魔力強封」

 でも、そんなことを考える必要はなかった。というか、考える時間がなかった。

「にゃ!?なるほどなのにゃ、この封は偽ものということなのにゃ!固有魔法、雷属性、電光網」

 強護封の魔法で変身が解けた上に魔法を封じられてすぐ、雷羅?からも魔法が飛んでくる。それは、雷の網だった。まずい......

 どうしよう、捕まったら今度こそ……

「……」

 だけど、雷の網はいつまで経っても飛んでこない。

「……桃乃(ももの)?」

 桃乃が草属性の魔法で網を相殺していた。

 桃乃が振り向き、私に一枚の紙を投げつけてくる。

 その紙にはこう書いてあった。

『呪莉に何言われたか知らないけど、世界への反逆者にいるって決めたんならしっかりしなさい。世界への反逆者はみんな理恵のことを覚えてるし、なんだかんだ大切にしてるんだから』

 桃乃は気が付いていたのだろう。自分が戦ったのは流泉澄なんかじゃないことを。

 というか、私は模擬化けによる偽物の制服だったわけだが、私が今着ている本物の希望学校の制服はどこからもってきたのだろう。わざわざもう一度、誰かを襲ってくれたのだろうか?

 私、こんなにいろんな人に大切にされてる。なんだか照れくさくて、口をついて出た言葉はくだらないものだった。

「桃乃、しゃべらないの?」

 そう、桃乃はいつの間にやら無詠唱で魔法を出している。桃花が死んでから、桃乃が口を開いたことはない。

『私のこと、本当に桃乃だと思ってるの?』

 桃乃がまた紙を投げつけてくる。

 え?

「無詠唱魔法のできる私。できない妹。桃乃はたったそれだけの安易な損得勘定の犠牲になった」

 桃乃?がしゃべりだす。

「リバーシで、身体狩りの傷まで桃乃にうつった、だから私はしゃべれる。なんだか慣れないからあんまりしゃべりたくないけど」

 ようやく認識した。目の前の少女は桃乃じゃない。

 桃花(とうか)だ。

『桃花が死んだように見せかけるために、それっぽくはしてあるけど。敵としては桃花のほうが厄介な相手だっただろうし』

 また紙が飛んできた。

「ティアラに、そんな時間はあったの?」

 気になったのはそこだ。話を聞いただけだが、ティアラは水を口に突っ込まれて、詠唱できなくされていたはずだ。

『ティアラのリバーシとは言ってない』

 飛んできた紙。深まる謎。

 あと、さっきからずっと絶え間なく封と雷羅攻撃されているけど、桃花は気にするそぶりもなく魔法でそれをはじき、ずっと私と話している。

「……こっち!」

 だけど、少し遠くから聞こえた声に桃花が警戒の視線を向けた。

「ユェンユェン、ありがとう!」

 あれは、見たことがある。翡翠神。

「……」

「っ!」

 重力場が展開され、体がずっしりと重くなる。桃花の魔法も地面に落とされてしまい、機能しなくなる。

「桃花!」

 時間経過で魔力封印も解けたと思う。あれは封印をし続けなければすぐに解ける。桃花が魔法をはじいてくれたおかげで、長期間の封印にはかからなかった。

「模擬化け」

 桃花の手を引き、重い体を引きずって。

 変身したのは強護防、魔法学校の生徒。 

「固有魔法、無属性、魔力防護」

 これで翡翠神の魔法を防ぐ。体が軽くなる。桃花の魔法も動く。

「……」

 桃花が草で道を作り、私たちはその上を走っていく。

 こうして何とか撤退した。


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