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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
結界奥義
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炒菜椿

「何が言いたいか分かるよね」

 私、星月夜翡翠(ほしづくよひすい)は強気に話しかける。心の中では感じてた。椿(つばき)と戦っても勝てない。

 椿って顔綺麗だよなとかはどうでもいいので置いといて......

 でも、私たちは死神山から出て帰らなきゃいけない。だったら、椿と戦っちゃダメなのだ。

 ここで弱気でいたら、じりじりと甚振りつくされるだけだ。だったら、生かす価値ある存在と認めさせなければ。

「天才の椿様にも、分からないんだゾ☆」

 分かってもらえなかった。なんか、指示語だらけの高度な会話とかすればいいと思ってたけど、実は椿ってあんまり頭良くない?

「……頭が悪い二冠さんに教えてあげる、早急に手を引け!」

 ユェンユェンが私の一歩前に出て、いつになく強い口調で叫んだ。

「三傑倒せたくらいで調子に乗っちゃった幼稚でかわいそうなあなたに教えてあげるんだゾ☆椿様に命令していいのカナってこと」

 そんなユェンユェンに椿は飄々と言葉を返す。

 ユェンユェンと椿が思いっきり睨み合う。

「......私はユェンユェン、二冠さんだって、倒すことは......可能」

 なんかユェンユェンからものすごい殺気が溢れている。なんか息が苦しくなってきた。

「あなたはもう死神じゃないんだゾ☆そんな落ちこぼれた身で何を言っているのカナ☆」

 椿の視線が鋭くなる。さらに息が苦しくなってきた。

 というか、もう死神じゃないってどういう意味だろう。それじゃまるで、ユェンユェンが昔は死神だったみたいなこと言ってるよね。

「......落ちこぼれているのは......どっち?」

 全力で殺気を放つユェンユェンと一瞬だけ視線が交わった。その一瞬で私はユェンユェンの意思を理解した。なるほど、そういう作戦か。

 干渉制御で一応椿への干渉は外して、少しでも気配を悟られずらくする。

「椿様を目の前にして、そこまで言えただけほめてあげるんだナ☆ただ、ここまでなんだゾ☆」

 椿がゆっくりと立ち上がる。完全に戦闘態勢だよね?

 今すぐやるしかない。私は椿の後ろへこっそりと回り込む。スピードはなくていいから、ばれないように。

 ユェンユェンと椿が向かい合う。私は椿の後ろを陣取った。

「......殺されたいの?」

 しっかりとユェンユェンが椿の意識の誘導はやってくれている。できる。

 椿に干渉する。そして......

 結界奥義。

 椿を真っ二つにするように、真っすぐ結界を伸ばす。

「ん~?」

 椿が楽しそうな表情で振り向く。

 ちゃんと椿に当たったけど、椿は真っ二つにはならない。

 椿の腹を締め付けるコルセット。それが硬すぎて貫通できないのだ。そんなの日常的に付けていて苦しくないのかな?

 そういう問題じゃない。今ので私たちの狙いも完全にばれた。どうしよう。

「なんか、楽しくなってきちゃったんだゾ☆」

 椿が腕を振る。それだけで、椿の周りを囲むように現れた大量の泥人形。

 結界奥義、重力制御。

 とりあえず重力場は展開するけど……

 人形には割りと効いているようで、既に大半が潰れかけている。だけど椿は微動だにしない。

「……」

 その間にユェンユェンが椿の後ろへ忍び寄り、椿の背中へと手を伸ばす。

「気が付いているんだゾ☆」

 椿がユェンユェンから距離を取ろうと私の方へ軽く飛んでくる。やっぱりユェンユェンって警戒されてるんだ。

 でも、これは大きなチャンス。

 再び結界奥義で椿を狙う。コルセットは硬いから避けないと。

「あちゃ~」

 椿は諦めたかのように、結界奥義に自ら突っ込んできた。とにかくユェンユェンから逃げた感じだ。

 椿の右腕が宙を舞う。うまいことコルセットで防がれて、胴体にダメージは入らなかったけど。

 それでも椿は平然とした表情で、ユェンユェンを徹底的に避けている。

 しかし......

 宙を舞っていた椿の右腕から飛び散った血しぶき。それが椿の顔にかかった。ほんの数滴だった。

「いやぁぁぁー!!」

 椿が狂ったように叫びだした。

 なんでなのか状況が分からない。

「ーーーーーーーーーー」

 そして、何かをぶつぶつ言っているけど、全く聞き取れない。

「……翡翠、気を付けて?」

 椿が発狂している間にユェンユェンが私の方へ来てくれた。私の一歩前に立ってくれている。私も一歩前に出てユェンユェンの隣に並んだ。

「ーーー......顔が、顔がぁー!!」

 ようやく椿の叫び声が聞き取れてきた。顔?

「覚えてなさぁい!!」

 そう言った椿は一瞬で目の前から消えた。泥人形が潰れた時と同じように、地面に溶け込む形で。

 私はユェンユェンと顔を見合わせる。

「どこかから襲撃してくる感じ?」

 そのままユェンユェンに尋ねた。

「......気配は、ないけど......?」

 ユェンユェンは拍子抜けしたような表情をしている。

「とにかく、椿を追い返せた?」

 そうだよね、私としても戦闘は避けられないと考えていたから、なんだか呆気ない。

「無事なのですか?」

 幽依(ゆい)先輩が駆けつけてきた。ということは......

「こっちの死神が突然消えたのよ、2人とも、怪我はない?」

 明里(あかり)先輩も来た。椿が消えたことで死神も収まったらしい。

「無事で~な、に、よ、り」

 メロディー先輩も来た。

 あんまり実感わかないけど、一応椿を追い返せたのか。

 さて、今度こそ帰らないと。


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