治療完了
なんだかんだ、私、星月夜翡翠たちは戦場で再会した。幽依先輩は明里先輩が治療して、無事だそうだ。望初さんはあまり重症ではなかったらしい。
ユェンユェンが塞ぎ込んでしまっているのが少し気になるが……
「どうしましょうね」
望初さんが呟く。このまま死神山へ向かい続けるべきだろうか?それは、この場にいる全員が抱える疑問だった。
「マヨタンは引き返したい。なんか、気分が乗らない」
珠夜さんの意見はすごく分かる。私もなんだか前向きな気分になれていない。
だけど……
「このまま向かいましょう。蓮は鎌を持ってました、何か死神と関係があるのかも……やっぱり色々調べて、倒さないと。死神についても、世界への反逆者についても」
そう、蓮については謎が多い。
幸い明里先輩のおかげで私たちは戦える状態だ。
「だからと言って、もうみんなに心配かけたくないし、死ぬにはまだ倒すべき敵が多すぎるよ」
珠夜さんが反論する。
「たしかに、過去に珠夜が無茶をして死神になりかけているもの。無理はしないほうがいいわね」
望初さんが珠夜さんを支持する。
「先輩は、みんなに任せるよ」
メロディー先輩は中立だ。
「私は行きたいです。行かせてください」
私がここまで必死になるのにはわけがある。るるのことだ。
早めに死神を倒さないと。いつ死神がるるをまた襲ってしまうか分からない。少しでいい、死神にダメージが入れば、死神はるるのところへ行く余裕はなくなるはずだ。
「私は行くべきだと思うのです。ここで引き返したら、機会がなくなってしまうのです」
幽依先輩は行くつもりのようだ。
「私はユイッチについていく」
明里先輩は幽依先輩の後ろに立つ。2人揃って超頼もしい。
「……」
ユェンユェンは何も言わない。
「翡翠ちゃんが行くなら付き添うわよ、先輩に〜ま、か、せ、て」
なるほど、メロディー先輩はつまりこう言いたいんだ。別れよう、と。
「仕方ないわね、本当の意味で霊界に来ないように気をつけなさいよ」
望初さんがなんか深いこと言ってる気がする。けど、直訳すると死ぬなって言う意味だ。
「翡翠ちゃん、気が変わったらすぐ帰ってきな」
珠夜さんが名残惜しげに手を振る。
「大丈夫です!頑張ります!」
私はそんな2人に背を向けて歩く。死神山へ。
「……私も?行く……ひなせ……知りたい」
ユェンユェンがそんな私の袖にしがみつく。
「うん、行こう」
そうして、私、幽依先輩、明里先輩、メロディー先輩、ユェンユェンは死神山への道を進んだ。
「椿様たちが希望学校に行くはずだったのに、希望学校の人がわざわざここまで来てくれたんだゾ☆わざわざやられてくれるのカナ☆」
炒菜椿は楽しげに喋る。
「……虹蝶栄華いる?」
虹蝶九十九が肩を震わせながら尋ねる。
「いないんだゾ☆」
炒菜椿はその問いに即答した。
「え〜じゃあ怖くないじゃん!行ってきま〜す」
その答えを聞くや否や、虹蝶九十九は飛び出して行った。
「……はぁぁ〜人の話を最後まで聞かないと痛い目に遭う……はぁぁ〜」
藤原玲菜は呆れたように肩をすくめる。
「本当にそれナ☆虹蝶栄華よりも厄介なヤツがいるんだゾ☆」
炒菜椿が同意を示す。
「あれは……はぁぁ〜、死神の天敵だよ」
藤原玲菜は遠くを見つめる。過去を思い出すかのように。
「やっほ〜、久しぶり、アハハ」
死神山に入った私、星月夜翡翠の前に現れたのは、ワイヤー使いの三傑さん。珠夜さんを攫った人……
「見たことあるのです」
どうやら幽依先輩も初見の敵じゃないようだ。
「先輩たちは援護するわ」
そう言ったメロディー先輩が明里先輩と共に後ろへ下がる。
「……翡翠、気をつけて」
ユェンユェンの目が珍しく鋭い。相手を警戒している様子だ。
「よっしゃ〜、行くよ!アハハハハハ」
三傑さんが鎌?を勢いよく振り回した。
結界奥義。
範囲攻撃には広範囲の結界で対抗だ。
「何これ〜?」
よし、防げた。
前回とは違う。私は強くなった。もう逃げるだけで終わったりはしない。
勝負だ!




