どこへ行こうか
「ゾメッチ的には死神山行っちゃいたい感じ?」
珠夜さんが望初さんに話しかける。
私、星月夜翡翠はその話し合いを聞いていた。
「ええ、世界への反逆者はそもそも拠点がわからないんだもの。死神山の方が行きやすいわ」
望初さんが淡々と説明する。
なるほどな……
いつか世界への反逆者の拠点も見つけないといけないし……
「そうだね、一つずつ潰していかないといけないもんね」
珠夜さんが相槌を打つ。
「私は、どちらでもいいです。順番が変わるだけで、どちらも倒してやるつもりなので」
一応私も意見を言う。多分求められてないけど。
「そういうあいまいな意見は何も参考にならないけど」
ほらやっぱり、望初さんの視線が厳しい。
「そんな厳しいこと言っちゃかわいそうだよ。まあ、翡翠ちゃんがどっちでもいいって感じならゾメッチの言う通り死神山から行こうか」
珠夜さんが助け舟を出してくれる。
「そうね、私と珠夜は行くとして、他に誰かいるかしら?」
どうするべきだろう。澄ちゃんには声をかけられない。世界への反逆者を想定してずっと訓練を続けている。ユェンユェンは最近見かけないし……
珠夜さんを探しに死神山へ行ったときに付いてきてくれた魔法学校の強護防さんとかエリカさんとかはどうなんだろう。
「魔法学校に応援は頼めないわよ。なぜか連絡を断たれているそうよ」
望初さんが私の思考を見透かしたように指摘する。え、普通にすごいんだけど、読心術!?
「確かにね、頼るとしたらユイッチ先輩たちかな?元魔法屋店主さんたちはなんか魔法屋に強い死神が来るかもって警戒を強めてて忙しそうだし」
なんか、魔法屋も大変なことになってるみたい。確かに、珠夜さんの言う通り、留年生に声をかけるのはありだ。そこにユェンユェンもいる可能性もあるし。
「行ってみましょうか」
望初さんが立ち上がる。
「そうだね、固有魔法、風属性、俊足!」
珠夜さんが猛スピードで駆け出した。
取り残されてしまった私と望初さんは顔を見合わせる。
「ゆっくり、ゆっくり行ってみましょうか」
望初さんはすごくゆっくりを強調している。
「はーい」
だから私は、ゆっくり返事をした。
「なるほどなのです。あの、実は栄華さんと死神山へ行って、虹蝶九十九、秋月子栗鼠と戦ったのです。私は完全に足手まといになっていたので自信はないのです」
幽依先輩を見つけた。そこには明里先輩もメロディー先輩もいたけど、ユェンユェンはいなかった。
幽依先輩は自信なさげに俯きながら話す。
「私は行ってもいいわよ、後ろで回復するだけだけど」
明里先輩が来てくれたら心強いよな。
「先輩も~い、い、よ。可愛い後輩の頼みは聞きたいもの」
メロディー先輩は快諾してくれる。
「助かります」
望初さんが丁寧に頭を下げる。
「もう、私も行くのです」
幽依先輩もなぜか分からないけど来てくれそうだ。
「やった~!」
その言葉に珠夜さんははしゃいでいる。
「ありがとうございます」
私も留年生の三人に向かって頭を下げる。
「それで、勝算はある?」
明里先輩に聞かれる。
「あります。望初さんと珠夜さんがいれば大丈夫」
私は自信満々に言った。
「私たちはいらないように聞こえるのですが」
幽依先輩からツッコミが入った。確かに、今の説明だと留年生いらないのに誘いに来たひどい人になってる。
「戦力はほしいので」
望初さんがフォローを入れてくれる。
「まあ、出発しましょうか」
明里先輩がもめ始める前に、何とかしようと頑張ってくれる。
「アカリンがそう言うなら……行くのです」
幽依先輩って明里先輩には甘い?よな。
とにかく、私たちは死神山へ向けて歩き出した。
道中に困難があるとも知らず。




