これからに向けて
「あれから来ないね、身体狩り」
るるは天宮さんの家……というか屋敷でそう呟く。
「………うん……思った通りだ。無理やりにでも魔法を渡させといてよかった」
夢叶さんが納得したように頷いている。どういうことだろう。
「身体狩りの狙いが魔法なら、むしろ魔法が使えないほうが安全じゃないかって考えたのでございます、夢叶は」
天宮さんが補足してくれる。そうだよね、魔法以外に私に価値なんてなかったからね。
「とにかく、落ち着いたようで良かったぜ」
操乗さんの笑顔で場は和む。
そうだよね、これで良かったんだよね。
じゃあ、誰にも邪魔されない今の状況で、お兄ちゃん、探そうか。
「ね、めるお姉ちゃん?」
るるは隣にいる、めるお姉ちゃんに声をかける。オレンジの髪に赤い目をもつ、かつて戦った敵そっくりのお姉ちゃんに。
「そうだね」
めるお姉ちゃんは笑顔だ。不気味なくらいにずっと笑っている。壊れた人形のように。
「ね、身体狩りに見捨てられて、何したらいいか分からないんだよね?めるお姉ちゃん、今度は身体狩りじゃなくて、私の言うこと聞けばいいからね」
めるお姉ちゃんが笑顔のまま頷く。
「じゃあさ、霊界行ってこない?」
そうして、命令をしたるるは、めるよりも不気味な笑顔をしていた。
「桃乃……?」
小狐丸鈴は、髪を結んだ燈陰桃乃に声をかける。
「……」
桃乃は何もしゃべらない。
「放っておきなさいよ、一人、人が死んだくらいでこんなねぇ……」
ティアラがそんな二人を蔑むように見る。
「……」
次の瞬間、桃乃が黙ったまま動き出した。
「はっ……?」
ティアラが認識するよりも早く、手刀で気絶させる。
「コン!?確かにティアラは超うざいゴミおじょー様だコン。でも、だからってそこまでするコン!?」
鈴が動揺したようにまくしたてる。
「……」
そんな鈴を桃乃は黙ったままただ見つめる。
「桃乃……」
そんな桃乃を痛々し気に見つめるのは夜光ミチヨ。
「はい、黙るの~」
そんな光景も、紡琴羽の一括で収まった。みんなが琴羽の方を向き、黙って琴羽の話に耳を傾ける。
「桃乃は~、明日から希望学校に行って制服奪いに行くから気が立ってるの~。話しかけないで上げてね~。それからティアラはあんまり煽りすぎないで~。これから私たちで希望学校も魔法学校も死神も何もかも全部滅ぼすんだから~」
世界への反逆者が、動き出そうとしていた。
「はは、虹蝶栄華……やばすぎんだわ」
虹蝶九十九はぼんやりと呟く。
「それな!私じゃなかったら死んでたわ」
秋月子栗鼠は堂々と言い放つ。
「それ、誇るところか?」
九十九はいぶかしげに子栗鼠を見る。
「良く生きてたんだゾ。死ねばよかったのにナ☆」
そんな二人を炒菜椿は冷たい目で見る。
「そんな冷たいこと言うなよ、炒菜氏、はぁぁ~」
ため息をつきながら椿をなだめるのは死神二冠の一人、名前狩りである藤原玲菜。
「玲菜こそため息をやめるべきなんだゾ☆」
椿はそんな玲菜をにらみつける。
「はぁぁ~。それより、総大将から命令が出てる、迅速に翡翠神を何とかしろって……はぁぁ~」
玲菜は気だるげに話す。
「全く、大将に頼まれたから、わざわざ人間界に人形を送り込んで、わざわざ翡翠神の近くで魔法屋の噂をさせて、わざわざ霊界に引き込んだのに、命令変更とか聞いてないんだゾ☆」
椿は不満げだ。
「仕方ないだろ……まあ、四天王にでも行かせるか、はぁぁ~」
死神もまた、動き出そうとしていた。
「校長先生……?」
魔法学校の生徒会長、闇空帆野歌は、校長先生からの命令を聞いた。
「希望学校との交流を断て?」
その命令に耳を疑う帆野歌。
「分かりましたが、理由をお伺いしてもよろしいですか?」
帆野歌は校長先生の言葉に黙って耳を傾ける。
「死神から確実に魔法学校を守るため、世界への反逆者の相手を希望学校だけにやらせたいから、ですか。はい、分かりました。ご命令のままに」
そうして、一礼をして去っていった。
こうして、状況は変わっていく。
「やりやがったんだぁよ」
虹蝶呪莉が店主の間のど真ん中で不満げに話し始める。
「呪莉さん?」
そんな呪莉を虹蝶遡楽は不思議そうに見つめる。
「なんでもない、私に任せてほしいんだぁね」
呪莉は遡楽の頭をなでる。
「無理しないでください」
遡楽は諦めたように言う。
「任せなさい、直接戦うわけじゃなぁい。ちょっと呪いをばらまいてくるねぇ」
二章も一応完結できました。
今回はいろんな場所へ行っていて、読みずらかったと思いますが、もしここまで読んでくださった方がいらっしゃれば本当に感謝です。
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