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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
重力制御
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前を向く

 私、星月夜翡翠(ほしづくよひすい)は部屋へ戻る。扉の前に立つ。

 深呼吸、したのはいいけど、何を言えばいいのか全く思いつかない。

 でも、なにか、話さないと。

「ただいま……」

 言えたのはそれだけ、部屋に入る。

「……おかえり?」

 ユェンユェンが出迎えてくれる。(すみ)ちゃんはいない。

「澄ちゃんは?」

 ユェンユェンに聞いてみる。

「澄、強くなるんだよ……?って言って?飛び出した」

 そっか、澄ちゃんも私と同じことを考えていたんだね。

「ユェンユェン、ありがとう。私、澄ちゃんと話さないと」

 そう言って、部屋を出る。

「ついていく……?翡翠、無理してる?」

 ユェンユェンも一緒に部屋を出る。

「無理、してないよ。ありがとう」

 お世話になってばっかりだな。

「ツェンツェンを探すの?手伝ってくれた……気にしない、で。澄の気配、向こう」

 ユェンユェンが指さす方向に私たちは進んでいく。

 結界奥義ってどうやって使うのが正解なんだろう。魔法を手に入れただけで強くなるとは思っていない。それを使いこなせるようになってようやく自分の強さになる。

 敵の攻撃の防御はもちろんできるし、向きを変えることで空間を分断する感じで敵を攻撃することも可能だったはずだ。それから、結界を広範囲に張って、魔法をかけることで、範囲攻撃ができる。これを利用すれば、味方の強化や敵の弱体化も狙える。

 とすると、干渉制御や重力制御との組み合わせが重要だ。そのためには魔法を二つ以上同時に発動できなくてはならない。

 人間界でやったときはるるがいたから二人で一つずつでよかったのだが、あれを一人でやれと言われるとなかなか難しい。

 さらに詠唱を短縮できるようにならないと。それこそ、無詠唱くらいにならないとそれはできない。

 もしくは魔法を混ぜる?どうしたらいいんだろう。

「あ……ユッちゃん、ヒッちゃん」

 そんなことを考えている間に澄ちゃんが見つかった。

「澄ちゃん、ごめん。(りつ)ちゃんがいなくなって、みんな辛かったのに、私、自分のことしか考えてなくて、一人で出て行ったりして。澄ちゃんの気持ちも考えずに、ただ自分の目的だけのために珠夜さんの居場所を聞いたりして。澄ちゃんが元気ないこと、分かってたのに放っておいたりして!」

 私にできるのは謝ることだけ。澄ちゃんを慰める言葉なんて私は持ってない。だから、私が言える精一杯を伝えたつもりだ。

「澄も、ごめんなんだよ。ヒッちゃんが焦ってること、知ってたのに、澄が辛いからってなにもしなかったんだよ。辛いのはみんな同じなのに……謝ってても落ち込むだけなんだよ!気にしないで楽しいことを話すんだよ!」

 澄ちゃんが元気になる。

 その笑顔から偽りは感じられない。おそらく、完全復活だ。

「良かった……?」 

 ユェンユェンは首を傾げているけど、本当に良かったよ。

「うん!これから頑張ろうね!」

 私も明るい声で話す。

 辛くても、前を向いて歩いていく。そうやって、これからもいろいろな苦難を乗り越えていかなきゃいけないんだ。

 銉ちゃんのことは絶対に忘れない。でも、落ち込んでいるわけにもいかない。難しいことだけど、頑張るからね。


 マヨタン、舞羽珠夜(まいはねたまよ)はゾメッチと特訓をしていた。

「なるほどね、人間界で結界奥義と重力制御が組み合わせて使われているのを見た、と」

 ゾメッチがマヨタンの話を聞いてくれて、いろいろ練習法を考えてくれている。

「火球、追風!」

 今やっているのは、初級魔法で詠唱を限界まで短縮して、ほぼ同時に魔法を二つ出すというものだ。

 それでも、火の玉が出て風が吹くだけ。

「やっぱり、完全に同時じゃないとだめなのかしら」

 ゾメッチは考え込む。ゾメッチの頭に負担をかけすぎないためにもマヨタンが早く成功させないと。

 どうしたらいいんだろう。二つ、同時に詠唱すればいいんだよね。

 二つ、同時。

 無理だよ!

「火球!火球!」

 マヨタンはやけになって火の玉を出しまくる。

「珠夜、落ち着きなさい。初級魔法、水属性、水球」

 ゾメッチが慌てて止めてくる。

「どうしたらいいの、ゾメッチ!」

 マヨタンはゾメッチに泣きつく。

「詠唱を、混ぜるっていうのはどうかしら。二つ同時に、それなら言えると思うのだけれど」

 ゾメッチが超画期的なことを言ってくれた。早速やってみよう。

「火風!」

 適当にだけど、火球と追風を混ぜてみた。

 火の粉を纏った熱風が吹く。

 あれ、もしかして成功してる!?

「できてるじゃない」

 ゾメッチが笑顔で拍手してくれる。

「ゾメッチのおかげだよ」

 マヨタンはゾメッチに抱きつこうとしたけど避けられちゃった。

 超級魔法でもできるのかな。

「超級魔法、属性混合、灼熱爆風」

 詠唱は自然と頭の中に浮かんできた。

 火属性の超級魔法、灼熱絶火は一点集中の技だ。そこに、範囲攻撃である爆風神刀が重なって、威力そのまま攻撃範囲が広がった。

 強くね!?

「固有魔法、魔法屋店主、蝶ノ舞。当たったらまずそうね、強いじゃない」

 ゾメッチが本気で回避するくらいには強かったらしい。よかった。

 これでマヨタンも少しは強く、なれたかな?


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