フラッシュバック
珠夜様、大丈夫、心配はいりません。
珠夜様が、れみを親友と言ってくれたこと、とても嬉しかったです。ありがとうございます。
れみにとっても、珠夜様は親友なんです。れみは、珠夜様のために何かしたいのです。
だから、虹蝶みゆの好きにはさせません。れみが珠夜様を乗っ取るなんて、絶対にしたくないし、絶対にさせません。
ここで、れみは消えます。珠夜様の中で、完全に。そうすれば、全てが丸く収まるはずです。
少し、語弊がありました。れみの消滅というよりは、珠夜様との統合と言ったほうが正しいかもしれません。
今まで、本当にありがとうございました。大好きな珠夜様。
望初様にも、よろしくお願いしますね。
れみの、いいえ、柘榴神の力は、珠夜様に宿ると思います。
でも、珠夜様なら完璧に使いこなせると、れみは信じています。
れみは暴走させちゃいましたから……
なんだか、寂しくなってきちゃいました。もう、れみが思ったことを言える資格はありませんけど、許されるなら、言わせてください。
珠夜様なら、許してくれますか?
本当はもっと、普通に過ごしたかった。望初様と珠夜様と一緒に楽しく笑っていたかった。
珠夜様のように、れみは、れみも、れみだって、叶わない願いを言ってみました。
では……
さようなら。
れみ……
マヨタン、舞羽珠夜は最近よく夢を見るんだ。
れみが消えていく夢。
でも本当はこれは夢なんかじゃなくて、ただのフラッシュバックで……
澄ちゃんと翡翠ちゃんの友達が死んだって聞いた。
どうしてみんな死んじゃうんだろう。
争ってばかりのマヨタン達は愚かなんだろうね。
マヨタンだって沢山の死神を殺した。それで誰かが悲しんでいるかもしれないのに。
呪莉さんが言ってた。
れみは、違う、柘榴神はマヨタンの中に生きているって。
そして、れみもまた、誰かの体に乗り移っていた柘榴神なんだって。
つまり、マヨタンもいつか自我が消えて、柘榴神に乗っ取られる可能性が高いって。
頭の中にれみの声が響く度に思うんだ。
れみに会えて嬉しい。
マヨタンが乗っ取られそうで怖い。
不思議な気持ちになっちゃうの。
呪莉さんはこうも言ってた。れみの元々の体の主は2代目魔法屋店主だって。
魔法屋店主ですら乗っ取られたんだ。マヨタンが抗えるわけがない。
どうしたらいいの?
「ゾメッチ、助けて」
マヨタンはぼんやりと呟く。
「えっと、珠夜?どこから来たの?」
目の前には不思議そうに首を傾げるゾメッチ。
そう、マヨタンはいろいろ頑張って魔法屋に侵入していた。死神に紛れ込んで、息を潜めて、バレたら焼き尽くして。
ゾメッチに会いたくて。
「あのね……」
ゾメッチに呪莉さんから聞いたことは全て話した。
「……」
ゾメッチは黙っている。
「どうしよう……」
八方塞がりなのかな。
「珠夜、試していいかしら?」
ゾメッチが突然呟く。優しい声で。
マヨタンは黙って頷いた。
「ごめんなさい、れみ」
そう言ったゾメッチはマヨタンを抱きしめる。
「固有魔法、無属性、衝魂」
そこでマヨタンの意識も、ゾメッチの意識も飛んだ。
あれかられみの夢を見ることは無くなった。
これでよかったのかは分からない。
でも……
だからこそ、れみのことは絶対に忘れないから。
れみ……
銉ちゃん、氷川愛洲が死んだ。
私、星月夜翡翠の部屋は再び3人部屋となった。
誰も口を開かない。
ルームメイトの死は重すぎた。
なんで?
どうして?
私が無能だからだ。
絶対に強くなってやる。
そして、絶対に世界への反逆者を倒す。
悪者について考えていた。
答えは単純だった。自分が悪者だと思ったやつは悪者なんだ。
相手にとっては私も悪者。
だったら正義をぶつけ合って戦うしかない。
強くならないと。
とりあえず、るるに会いにいく。魔法を貰えないか聞いてみる。
人間界に行くには……
柘榴神と翡翠神の力がぶつければいいはず。
うっすらとした意識の中、呪莉さんがそう言っていたのを聞いた。
私は黙ったまま部屋を出る。
珠夜さんを探しに。




