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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
重力制御
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帰ってきた


 るる、花苗(かなえ)るるは天宮(てんぐう)さんの家へ来ていた。とんでもない豪邸である。

 そして、実は操乗(そうじょう)さん、夢叶(ゆめか)さんは実は天宮さんの従者だったらしい。流石お嬢様……

「……なるほど」

 天宮さんの家には従者である夢叶さんもいる。

 夢叶さんにお兄ちゃんと話した内容を報告した。

 めるお姉ちゃんが霊界の存在である可能性について。

「夢叶さんはどう思う?気のせいかな、めるお姉ちゃんがそんなわけないもんね」

 よく分からないけど、口が良く回る。まるで、何かから逃げるかのように。

「……病人に柘榴というのがとても気になる。柘榴の花言葉は優美とかそんな感じだが、実の花言葉は統合、愚かしさ。他にもいい花はたくさんあるだろうに」

 いつのまにか夢叶さんの隣に来ていた操乗さんが黙って頷いている。

 やっぱり、めるお姉ちゃんは……

「……気にするなと言っても無駄だろうな」

 夢叶さんの優しくも力強い声が、るるの心を揺さぶる。

そう、もう、いろいろとおかしいの。

「お兄ちゃんと連絡が付かなくなった」

 るるは、認めたくない現実を口にした。

 お兄ちゃんは、どこへ行ってしまったのだろうか?



「おかえりなんだよ!」

 ここに来るのも久しぶりだな。私、星月夜翡翠(ほしづくよ ひすい)は澄ちゃんと銉ちゃんのいる寮へ帰ってきた。

 相変わらず階段は大変だ。

「無事でよかった」

 (すみ)ちゃんも(りつ)ちゃんも笑顔で迎えてくれた。すごくうれしい。

「ただいま!」

 私も笑顔でかえす。

「ヒッちゃんが戦ってるの、見てたんだよ。重力制御って超かっこよかったんだよ」

 澄ちゃんの目は輝いている。そんなこと言われると照れるな。いや、重力制御は呪莉さんに使えるようにしてもらっただけだし、私が誇っていいのか謎だけどさ。

「私も、澄ちゃんを見た。超級魔法、すごいよ!」

 私の返事はこれだった。だって水属性の超級魔法の蒼海乱舞もかっこいいもん。

 そういえばあの時、氷川愛洲(ひかわあいす)を見かけた気もする。

「銉ちゃんは大丈夫?もう氷川愛洲になにもされてない?」

 直接聞いてみるのが一番だ。

「今は仲良し、愛洲は洗脳されていた状態みたいなものだっただけだから。吹き飛ばされて目が覚めたって、翡翠ちゃんに凄く感謝してた」

 洗脳?そっか、誰にでも何か事情があるんだ。

「今度、会いに行きたい。何の事情も考えず、一方的に悪者にしちゃったこと、謝りたい」

 私は銉ちゃんにお願いした。

「いや、教室行けば普通に会えるよ」

 銉ちゃんがたんたんと返事をする。なるほど、それはいい。

「分かった。明日は希望学校に行くよ」

 そういえば、人間界の学校へ行ってないうえに、最近は希望学校にすら行っていなかった。学校はやっぱり行ったほうがいいよな。将来のためにも、氷川愛洲のためにも明日は絶対登校だ。

「そうだね、それがいいよ」

 銉ちゃんが頷いてくれる。

「じゃ、明日に備えるんだよ。おやすみ!」

 澄ちゃんが元気よく布団に飛び込んだ。 

 私も寝ようかな。

 その時。

 トン、トン。

 部屋の扉がノックされた。

「なんだろう……」

 銉ちゃんが不思議そうに呟く。

三島幽依(みしまゆい)なのです」

「メロディアス・リズミックよ」

 扉の向こうから聞こえたのは聞き覚えのある声。

 幽依先輩とメロディー先輩だ。

「こんにちは」

 私は扉を開けた。

 扉の向こうにはユェンユェンもいた。

「ユェンユェンも今日からこの部屋なのです」

 幽依先輩がユェンユェンに部屋に入るよう促す。

「みんな、ユェンユェンを~よ、ろ、し、く!」

 メロディー先輩が部屋に入りかけたユェンユェンの背中を押す。

「……よろしく?」

 ユェンユェンが部屋に入る。

「では、さよならなのです」

「じゃあね」

 幽依先輩、メロディー先輩は帰っていった。

「4人目!ユェンユェンっていうの?よろしくなんだよ!澄は、流泉(りゅうせん)澄っていうんだよ」

 さっきまで寝ようとしていた澄ちゃんが完全復活している。

小狐丸(こぎつね)銉、よろしくね」

 銉ちゃんは突然のことに驚いている様子だが、なんだか嬉しそうだ。

「私は星月夜翡翠。また会えて嬉しい。よろしくね」

 私も自己紹介をした。

「ん……ユェンユェン」

 ユェンユェンが礼をする。その所作がすごくきれいで、私もつられて礼をしていた。 私だけでなく、澄ちゃんと銉ちゃんもだ。

「ユェンユェン?ユッちゃんって呼ぶんだよ。ユッちゃんはどのクラス?」

 澄ちゃんが興味津々な様子で質問をする。

 ユェンユェンは若干狼狽えている。

「……留年生と一緒に修行?」

 留年生っていうのは、落ちこぼれじゃなくて、自ら厳しい道を選んだエリートたちのことね。幽依先輩、明里(あかり)先輩、メロディー先輩の三人だ。

 ユェンユェンって凄いんだな。

「すごい……」

 銉ちゃんが目を輝かせている。珍しい。

「とにかく、これからよろしくなんだよ!」

 そろそろ眠らないと明日に響く。そういうことで、今日はもう寝ることになった。

 明日、絶対学校行かないと。氷川愛洲とも、しっかり話そう。

 とにかく、忙しい一日だったな。


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