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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
重力制御
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再会

「えいっ!やー!」

 マヨタン、舞羽珠夜(まいはねたまよ)は、今ツェンツェンと一緒に死神に追われながら、死神山の出口を探してる。

「そーれ!」

 ツェンツェンはとても強かった。なんか、絶対届かないだろっていう位置から蹴りを放つのに、靴が伸びて見事に命中するのだ。敵としては、こちらの射程が読めずとても戦いづらいはずだ。

「火球!」

 マヨタンは火属性の初級魔法で軽く援護をする。ツェンツェンと死神の距離が近いから、超級魔法をぶつけるわけにもいかず、なんだか手持無沙汰だ。

「舞羽珠夜、大丈夫か?」

 そして、マヨタンはなぜか壁を破壊した超級魔法で疲れていると思われている。ツェンツェンに無駄に心配されているが、超級魔法を出せないのはツェンツェンを巻き込むからであって、疲れているからじゃないんだよな。

「僕がいないとだめみたいだな、任せろ!」

 なんかむかつくのはなんでだろう。

「ふふ、もっと頼っていいんだぞ!」

 いや、むかつくわ。

 もう、いいや。

「超級魔法、風属性、爆風神刀」

 無数の風の刃が死神を襲う。ついでにツェンツェンを襲う。

「ひゃっ!ごめんって、ねぇ……」

 ツェンツェンがそんなことを言いつつも、すべての刃を蹴散らしている。文字通り、蹴って散らしてる。

 事実として普通にツェンツェンは強いんだよな。

「行くよ!」

 こうしてマヨタンたちは進み続ける。

 出口を目指して。

 必ず、生きて帰って見せるからね。


「やっぱりめんどうなのかしらぁ。固有魔法、無属性、魔力防護」

 私、星月夜翡翠(ほしづくよひすい)は死神山の奥へ進んでいく。誇張なしで言おう。10歩に一回襲われる。

 なんで珠夜さんと行ったときはあんなにすんなりいったんだろう。もしかすると、三傑と戦わされるために完全に仕込まれていたのかもしれない。 

 気だるげながらも確実に死神の攻撃を防いでくれる強護(ごうもり)さんはとても心強かった。凄い人ってたくさんいるんだな。

「固有魔法、雷属性、迅雷槍閃」

 エリカさんの固有魔法は雷の槍をたくさん飛ばすもののようだ。槍の一本一本が確実に死神を葬り去る。

 とにかく、とても心強い。

「ん……気配?」

 ユェンユェンが何かを感じているのか、ずっと迷わず進み続けている。

 エリカさんが敵を倒し、強護さんが攻撃を防ぎ、ユェンユェンが道を案内して、凄く効率よく進んでいる。

 私、役立たずだな。

 いや、しっかりしないと。珠夜さんを助けるんだ。

「ツェンツェン……近い……」

 ユェンユェンが立ち止まる。その目は私たちの右側にある壁を見つめている。

「はぁ?壁の向こうって言いたいのかしらぁ?回り込むのも大変で面倒なのよぉ」

 強護さんが露骨に嫌な顔をする。

「壁を壊せば……固有魔法、雷属性、迅雷槍閃」

 エリカさんの雷の槍が次々と壁へ突き刺さる。しかし、壁が壊れる気配はない。

 たしかに、壁を壊せば突破できる。そうすれば、ツェンツェンにはすぐに会えるだろう。

「固有魔法、無属性、魔力防護」

「超級魔法、雷属性、雷電轟撃」

 こんなことをしている間にも死神は襲ってくる。けど、強護さんとエリカさんのおかげで倒された。いつまでもここで立ち止まっているわけにもいかないな。

 そういえば、私、壁の破壊くらいならできるんじゃない。

 最近無力感ばかりで忘れてたけど、私チート級の魔法持ってたよ。

「干渉制御」

 壁への干渉を外して壁へめり込む。

「干渉制御」

 そして壁へ干渉する。

 壁が爆ぜる。

「固有魔法、氷属性、寒冷氷華」

 めっちゃみんなに瓦礫的なもの飛ばしちゃった気がする。

 エリカさんが氷の壁を作ってなんとかしてくれてる、良かった。

「ふぇっ!?って翡翠ちゃん!?」

 壁の向こうには、珠夜さんがいた。風の魔法を使って爆風も瓦礫もすべて綺麗に受け流したようだ。おお、間違いなく珠夜さんだ。

「珠夜さん!」

 私は珠夜さんに思いっきり抱きついた。

「え!?どうした?」

 珠夜さんは目を白黒させている。

「し、死んだのかと、思って……」

 うまく言えないけれど、私はとにかく、今、嬉しい。珠夜さんに会えて。

「なんなのだ!?」

 私が起こした爆発で吹き飛んでしまったのか、チャイナドレスの少女が腰をさすりながらこちらへ歩いてくる。

「……ツェンツェン」

 ユェンユェンがその少女、ツェンツェンに歩み寄る。

「長姉?」

 ツェンツェンは驚きの目でユェンユェンを見ている。

「長姉ぃ~。会いたかったぁ!」

 ツェンツェンが思いっきりユェンユェンに抱きついている。

 ユェンユェンが優しくツェンツェンの頭をなでる。

「はぁ、さっさと帰るのよぉ」

 再会に喜ぶ私たちに強護さんは呆れている。

「いいじゃないですか、少しくらい」

 エリカさんはなんか泣いてる。どうしたんだろう?

「帰るのかしらぁ!!」

 強護さんの悲痛な叫びに、私たちは従った。

 

 強護さんやエリカさんもいた上に、ツェンツェンや珠夜さんも強くて、帰りはすんなりだった。

 死神山の出口で強護さん、エリカさんと別れた後、私たちは希望学校へ戻ってきた。

「どこへ行っていたのですか?あなたたちは、って舞羽さん?」

 幽依(ゆい)先輩に心配をかけてしまっていたようだ。

「見つかった、妹……?」

 ユェンユェンがぼんやりと、だけど嬉しそうに報告する。

「僕はツェンツェン、長姉に見つけてもらったんだ!」

 ツェンツェンが自慢げに話す。

 この二人、仲いいんだな。

「とにかく無事でなによりですが、怪我はないですか?治しますよ」

 明里(あかり)先輩が頼もしい。私たちは怪我していないので大丈夫だが……

「まあ、とりあえず良かったのです」

 幽依先輩が呆れてる。

 とにかく、みんな無事でよかったよ。


「マヨタンが死んだと思ってたって、どういうこと?」

 幽依先輩と明里先輩と別れた後、ふと珠夜さんに聞かれた。

「三傑さんが言っていたんです、珠夜さんは殺したって」

 珠夜さんが納得したように頷く。

「うまいことやってるもんだ、そんなこと言われたら翡翠ちゃんも逃げざるを得ないもんね」

 確かにな、ハッタリの可能性を最初から疑うべきだったな。

「はい、完全にやられました。そういえば、望初(のぞめ)さんはどこに?」

 私もふと質問をしてみた。そういえば、人間界から戻ってきてから、一度も望初さんを見ていない。

「魔法屋にいるよ、現役魔法屋店主と会えるなんて普通はありえないから、今までがイレギュラーすぎただけ。マヨタンだってゾメッチに会いに行きたいよ」

 珠夜さんが苦笑いで答えてくれる。

 そうして珠夜さんと言葉を交わしたのは、とても平和な時間だった。

 


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