考察大会
「というわけで、考察大会をはじめますわよ」
天宮さんがその言葉を聞いて嬉しそうに話す。
「楽しみなんだぜ」
その言葉に操乗ちゃんが嬉しそうに反応する。
うん、考察大会って何?
「そもそも考察大会って何?というかなんでそんなことするの?」
そう思ったのは私、星月夜翡翠だけではなかったようで、るるが天宮さんに尋ねる。
「……翡翠さんについて話すにも、情報がなさすぎるから整理しようってこと」
夢叶さんがそれに答える。
なるほど、確かにその通りだ。
とりあえず、夢叶さんが私の記憶を見て得た情報をうまくまとめて共有してくれた。絶対にこの人天才だよ、説明うますぎる。
「魔法、か……不思議なんだぜ」
操乗ちゃんは魔法に興味があるようだ。
「翡翠ちゃん、霊界にまた行くの?」
るるの問いの答えは、まだ私の中でも決まっていない。
「まず、疑問に思ったのは魔法屋店主の存在ですの。神の存在など、霊界と人間界で対比するかのようになっているのに、どうして霊界にはそのような存在があるのか不思議でございますわ」
天宮さんが淡々と語る。
「……推測、翡翠神と柘榴神と昔に旅をしたっていうのが虹蝶みゆだと思う。その上、虹蝶みゆは柘榴神の封印を延長したりしている。虹蝶みゆが柘榴神の力を制御している可能性を指摘」
神の力って制御できるものなのかな。いや、望初さんとかめっちゃ翡翠神の魔法使ってたよな。できるものなのかもしれない。
「なるほどなんだぜ。虹蝶みゆにできることなら他の存在、死神が人間界に干渉できてもおかしくないってことも分かるんだぜ」
操乗ちゃんも頭いいんだな。
「つまり、身体狩りはまた私たちを襲撃してくる可能性は十分にあるということでございましょう」
天宮さんが体を震わせている。
多分、さっきみたいな感じで身体狩りは天宮さんには見えないけど、それを言ったら怒られそうだから黙っておこう。
「翡翠ちゃん、気を付けてね」
るるの言葉に私は気を引き締める。今、身体狩りへの干渉を外している状態だけど、どうすべきだろう。今の状態だと、気が付かないうちに真後ろに何かいるなんてことになりかねない。まあ、襲われても怖いからそのままにしておこう。
「……次、質問。るるはなぜ、魔法屋に入れた?」
そういえば、魔法屋に入ってきた私に向かって、望初さんがしつこく何者かと聞いてきたな。普通の人は入れないとか……
「えっ!?」
突然質問されたるるが動揺している。
「るるも翡翠神の魔法を持っている可能性を指摘するんだぜ」
操乗ちゃんが呟く。夢叶さんがそれに納得したように頷いている。
「そんな!?」
るるがさらに驚く。なんかどんどん話が飛躍していくぞ。
「……とりあえず、翡翠が魔法を持っていることは確定しているし、おそらく翡翠神の本体でもある」
翡翠神って神だよね。なんか、実感わかないけどさ。
「理解しましたわ。記憶が封じられているにもかかわらず、魔法を扱う、オッドアイにも納得ですわ」
……!?
みんなの目を見る。オッドアイはいない。
私か……
「ごめん、誰か、鏡もってない?」
私がそういうと、天宮さんが手鏡を渡してくれる。流石お嬢様。
鏡を見てみた。
鏡って多くの人が毎日見るものなんだろうけど、私は鏡を見ずに過ごしていた。というか、無意識に避けていた。
鏡に映る私。
真っすぐな黄緑の髪。翡翠の色の左目。水色の右目。
そういえば、柘榴神が暴走したとき、れみさんの目が両方柘榴色になっていた。それが、記憶と魔法が蘇った結果だとしたら?魔法のみ蘇っている私の目はどうなるのだろうか。
結果はオッドアイだ。
たしかに、これは目立つな。身体狩りの言う通りだ。
「前会ったときは両方水色だったけど……」
るるが不思議そうに私の顔を覗き込む。
干渉制御を初めて使った時に色が変わった感じかな……
「……多分、記憶が戻らなくても魔法が全部使えるようになれば両方翡翠色の目になる。魔法が全部使えなくても、記憶が戻ればそれはそれで両方翡翠色になるだろうけど」
夢叶さんの思考は高度すぎてよく分からない。
「翡翠神が完全復活したら暴走した柘榴神っぽい感じになるだろうから、目の色が変わるのに完全復活は必要ないと考えられるんだぜ」
操乗ちゃんの思考も高度すぎてよく分からない。
「っと、のんびり話してる場合でもないんだぜ」
操乗ちゃんが突然ロボットに乗り込む。ロボットが素早く動き出す。
「……もう襲撃が」
夢叶さんがぼんやりと辺りを見渡す。
そっか、身体狩りが来るのか。みんなどうやって気づいたんだろう。
「干渉制御」
私は身体狩りへ干渉した。話し合えたほうが都合がいいよな。多分。
『来るんだぜ!』
操乗ちゃんの合図と同時に、人が突っ込んできた。操乗ちゃんのロボットが縦になり、みんなを守る。
オレンジの髪と赤い目。容姿が柘榴神に近いな。完全に目の色が柘榴なわけじゃないから違うんだろうけど。
とりあえず、戦わないと。人間界でも戦うことになるなんて……




