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2つの世界を繋ぐ者  作者: きっこー
重力制御
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ここは……人間界!?

 ふと目が覚めたら私、星月夜翡翠(ほしづくよ ひすい)は知らない場所にいた。店主の間で寝てたはずなんだけど……

「ここどこなんだよ!!」

 思わず声を大にして叫んでいた。

 本当に当てがない。でも、見覚えがないわけでもない、よく分からない場所だった。

「翡翠ちゃん!?」

 聞き覚えのある声が聞こえた。

「るる!?」

 そう、青い髪が首の真ん中あたりまであり、赤い瞳をした子、花苗るる(かなえ るる)だ。昔からの友達だ。

「彼女はるるの友達でございましょうか?」

 そして、るるの隣には誰か知らない人がいる。

(わたくし)天宮 光輝(てんぐう みつき)と申しますの。星月夜さん、よろしくお願いいたしますわ」

 淡い黄色の綺麗な髪を腰あたりまで伸ばした人だった。頭には白いリボンをつけている。るると同じ制服であることから、私達と同じ学校であるということが推測できる。

 ん?

 私達?

 私は自分の服を見る。

 希望学校の制服だ。

 私は今、希望学校の生徒なのだった。

 よく表情を観察すると、2人とも私の制服を怪訝な目で見ている気がする。

 希望学校の制服は少々独特な気がする。

 この辺りにこんな制服を着ている学校などないのであろう。

「ちなみに、翡翠さんはどこの学校の生徒ですの?」

 天宮さん、そうですよね。

 聞きますよね。

 馬鹿正直に希望学校と答えていいのでございましょうか?

「天宮さん、翡翠ちゃんもうちの学校だったと思うんだけど……」

 るるマジ神です!!

「あら、ごめんなさいですこと。私、1ヶ月前あたりに転校してきたばかりですので……」

 確かに、ここ最近学校に私は行っていない。

 まあ、霊界と人間界で時間の流れが同じであるという保証はないのだが。というか、ずれている可能性の方が高い。私が霊界にいたのは1週間。で、天宮さんが転校してきたのは1ヶ月前。おかしいもん。

「あの、ここ最近不登校の星月夜翡翠です!天宮さん、よろしくお願いします!」

 天宮様って呼んだ方が良かったかもしれない。

 脱線しているが、私は今天宮さんの名家のお嬢様っぽい雰囲気に気圧されつつある。

「翡翠ちゃん。そんなことよりさ……今翡翠ちゃんが着てるのって、どっか他校の制服だよね?事情を聞いてもいいかな」

 るるは怒ると怖いのですね……

 るるの表情がものすごーく怖いです。

「あ、はい、すみませんでした」

 思わず謝ってしまう。

 この2人に霊界のことを話してしまっていいのだろうか?

 霊界から人間界に干渉できるのはれみさんと魔法屋店主の人たちだけのはずだ。

 だから霊界の情報が漏れているということはないだろう。多分。

 私の場合、人間界から霊界に干渉していただけなのだが……

 どうしましょう?

 るるは多分大丈夫だが、天宮さんは出会ったばかりで信用できない。

「詳しくは話せません!」

 私の結論はこれだ。

 やっぱり、ここで話してしまうのはなんか違う。

 口止めされているわけでもないけど、自分の中の何かが疼く。

 絶対霊界の存在を伝えるな、と。

 特に天宮さんには。

「るるの質問にはしっかり答えるべきですのよ」

 天宮さんは私の結論が不満なようだが、私はブレない。

「天宮さん、翡翠ちゃんが話さないって言ったんだから、言及しちゃダメだよ」

 るる、ナイス。

 天宮さんへの警戒はまだ解かないようにしよう。

「とりあえず、私たちの学校に籍を置きながら、他校に通うというのは問題行動ですの。先生達からのお説教は避けられないでございましょうね」

 なんか、しょうもないな、説教って。でも、やだな。

「るる、天宮さん、さようなら!」

 私は2人と逆方向に走り出した。

 るるがいた。ここが人間界であることは明らかだ。なんとなく見覚えがある景色だったことにも納得だ。

 だったら魔法屋を探すしかない。

 それならば、この2人を巻き込むわけにはいかない。

 あれ、なんで私、霊界に戻る前提なんだろう。



「るる、あの子はどうしますの?」

「天宮さん、頼んじゃってもいいかな?」

「もちろんですわ。動員人数はどのくらいにいたしましょう?」

「それだと私が天宮さんの主人みたいになっちゃうから、細かいところは天宮さんに決めて欲しいな、なんて……いや、これはこれでなんか命令してるような……」

「そうですのね。では、私にお任せくださいませ。まあ、人が走れる範囲などたかがしれてますもの。40人程度で問題ないでございましょう?」

「よ、40人!天宮さん、多い!多い!なんか頼んだこっちが申し訳ないよ」

「るるは私を誰と心得ていまして?」

「それは……」

「私にかかればこの程度、造作もないのでございますわ」

「うん、分かってるよ。でも……」

「私達は友達なのですから、頼ってくれていいのでございますよ」

「頼るの範囲を超えてるから困っているんだよね」

「では、50人にいたしますから、これで大丈夫でございましょう?」

「増えてるし!」

「あらら、40人じゃ少ないということではなかったのでございまして?」

「そんなわけないじゃん!てか40人多いって言ったよね!?よね!?」

「確かにそんなことも言っていたような気がしますわ」

「聞き流さないでよ!大事なことだし!」

「まあまあ、落ち着いてくださいませ。私も多少反省いたしますから。動員できる人数は財力によって大きく異なりますもの。価値観の違いというものはありまして」

「普通の一般家庭は1人として動員できないから!!」

 夜の街に、このような声が響き渡っていた。


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